立秋とはいえ不快極まる蒸し暑さは依然としてへばりつき、まだあまり服のことは考えたくないなという方も多そうですが、だからこそ次の季節への期待感が前を向かせてくれるというもの。
秋を見据えながらも、現実的にこの気候でも着られる、そんなパンツが届いています。
前回のmandoに続き、きちんとご紹介するのは初となります、shinyaseki(シンヤセキ)。
その名の通りデザイナー関慎也さんが手掛けるユニセックスブランドです。
関さんはお祖父さまが営む縫製工場を遊び場として育ち、文化服装学院で学びながら数々の国際コンクールを受賞、2011年に自らの名を冠したアトリエを設立しました。
2017年にコレクション発表の場をパリに移したのもあって、その名は国内以上に海外で知られ、フランスはもちろん、アメリカやスイス、ギリシア、エジプトなど多くの国で展開されています。
そのブランドコンセプトは「目に見えないものにこそ価値がある」。
昨今のトレンドのように、ぱっと見てわかりやすいロゴや表層的な意匠を足すのではなく、素材、パターン、裁断で服を表現します。
就中、留学時にかのアズディン・アライア氏のもとで磨いたドレープ表現は評価が高く、ブランドのひとつの代名詞的な技術として挙げられます。
とはいえ、ドレープを駆使したものやコレクションの多くはエッジがかなり立っているため、当店に並べると少々浮くのも確かでして、豊富なラインナップのなかから、あくまでユーフォニカの服として自然に馴染むものを選ばせていただいています。
経糸と緯糸を異なる色の糸で染色して織り、さらに時間をかけてじっくりと揉みこんだ生地で、その不均一な風合いや皴が遠州の荒波を彷彿させるところから、そう名付けられたとか。
リネンといってもそれほど薄くなく、かといって極端に肉厚でもないため、真夏だけでなく春から秋にかけて長い期間お愉しみいただけます。
また、通常のリネンにくらべ穿きこむことでより豊かな風合いと柔らかさが引き出されるのも、見過ごせない特徴です。
もちろん特筆すべきは生地のみに非ず、関さんが得意とする立体裁断の技術が遺憾なく発揮されたパターンは見事の一言に尽きます。
湾曲したパネルで挟み込むような独特のパターンは人間工学に基づき、身体を動かしたときに生地がつっぱらないよう計算されています。
シルエットは裾に向かって急激に窄まる強めのテーパードシルエットで、この見た目の印象の強さと快適な着心地の不思議な両立が、shinyasekiの真骨頂と言えます。
ユニセックスモデルにつき、サイズ感はレディスでいえばM~L程度、メンズならS程度です。
パンツは不思議なアイテムで、なぜか上物に比し軽視されがちですが、実は一点で装いの印象をがらりと変えてくれます。
まだ秋冬のもろもろを考える気にはならない、けれど何か気分は新たにしたい、そんな方はどうぞ一度お試しを。
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