あゝ嘘でもいいから ほほえむふりをして ~ DESIGN AGAINST TREND/ パペットソックス

そろそろ晩夏の足音が聞こえだしています。
ご来店のお客様も、秋物をお探しの方が増えてきました。

実際はまだしばらく暑い日が続きますが、
気分的には素足に履物という装いにも別れの予感です。

秋冬も靴下は何種類か入荷予定ですが、
先日こんな一風変わったものが入ってきていますのでご紹介します。

基本的にはシンプルなローゲージの靴下です。
オフホワイトがどこか素朴で、柔和な表情を見せます。
締め付けもそれほど強くなく、履き心地も良好です。

靴下というものとしてはオーソドックスな良品といえます。

つま先に赤い丸が並んでいなければ。
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この赤丸により、ただの良質な靴下に命が宿りました。
手を入れれば謎の生物に早変わり、
そんなパペットとして遊ぶことができます。
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足に履いてもTRIOPなどに合わせればストラップの先からちょこんと覗く瞳が愛らしく、
殺伐とした人間関係も改善されるかも知れません。

ちなみにこちら、メンズ、レディースともにサイズ展開しています。


夏文庫

世間様より2テンポくらい遅れて話題にしますが、『火花』、売れに売れているようですね。
“売れに売れている”、素晴らしく甘美な響きです。
羨ましい。
閑話休題、しばらく目立った話題の無かった出版業界にとって久しぶりの明るい話になっているようで、喜ばしいことだと思います。

とは云うものの、恥ずかしながら実はまだ件の作品は読んでいません。
又吉氏の本は以前共著で出ていた『カキフライが無ければ来なかった』は持っていてなかなかの良作だと思いましたし、
『火花』のレベルも水準以上は期待できるとは思っていますが、なぜか手が出なくて。

読書家とは名乗れないまでも別段本が苦手なわけではなく、話題の小説や話題の映画、特に理由もなくなんとなく後回しにしてしまう接客業の人間にあるまじき懶惰な性分なのです。
大ヒット作品を毛嫌いしているとか、そういうことはありません。
ジブリ作品もバックトゥザフューチャーも好きですよ。
ただ、どうにもだいたいがタイミングが合わないと言いますか…

さてそんな体たらくなのですが折角の『火花』ブームに便乗して、Euphonica的に夏向けの本をご紹介するのも一興かというのが本稿の主旨です。

衣類に限らず、聴きたい音楽など季節ごとに気分が変わることはないでしょうか。
店主は毎年その時期が来ると読み直したくなる本というものがありまして、茹だるような蒸し暑さ、耳に響く蝉時雨、蚊遣り線香の煙の匂い、そんな時候にぴったりと思われる読み物を厳選してご紹介します。

ここで張り切りすぎて斎藤緑雨や岩野泡鳴を挙げても誰も喜びませんし、入手が容易なものでないととも思いますので、
一般的な認知度の低過ぎる作品は選考から外し、且つ文庫本のみで選定致しました。

1.谷崎潤一郎/ 陰翳礼賛(中公文庫)
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言わずと知れた美の聖典です。
闇、翳というものが日本的な美意識にどれほど大きな意味を成しているのかがきわめて易しい言葉で述べられています。
決して格調高い文体ではないのですが、それもこの名著が幅広く読まれる一つの理由かと。
観念的な話をだれもが解かるように伝えるには高次元の文章構成能力が必要で、そんな文豪谷崎の技巧を手軽に美味しく味わうには最適の書ではないでしょうか。
所謂美術についてのみならず食や生活様式に亘って言及されながらスノビッシュな嫌味を感じさせることなく読者を心地好い暗黒の世界に誘ないます。
当店内の薄暗さは、店主が若い時分にこれを読んで感化されてしまった所為かも知れません。
私は、吸い物椀を前にして、椀が微かに耳の奥へ沁むようにジイと鳴っている、あの遠い虫の音のようなおとを聴きつゝこれから食べる物の味わいに思いをひそめる時、いつも自分が三昧境に惹き入れられるのを覚える。茶人が湯のたぎるおとに尾上の松風を連想しながら無我の境に入ると云うのも、恐らくそれに似た心持なのであろう。日本の料理は食うものではなくて見るものだと云われるが、こう云う場合、私は見るものである以上に瞑想するものであると云おう

2.永井荷風/ 日和下駄(岩波文庫『荷風随筆集 上』より)
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荷風といえば『つゆのあとさき』『濹東綺譚』ですが、これらは真夏というよりは梅雨時向けのため除外しました。
都市開発に伴いどんどん破壊されていく江戸の名残を路地裏の目線で追い綴った随筆集です。
熱い怒りではなく平熱の諦観で、散り行くからこそより募る別れ難さを丹念に描いています。
荷風は文章の構築力という点では今一つなのですが(特に一人称の主語の置き方が若干引っかかることがあります)、高い教養に裏打ちされた圧倒的な語彙力と情感豊かな描写力で、実にじっくりと読ませます。
それにしても新国立競技場を例に挙げるまでもなく景観破壊も顧みぬ無軌道な乱開発は、この時代からずっと変わらない近現代日本の宿痾なのですね。
ついこの間も麻布網代町辺の裏町を通った時、私は活動写真や国技館や寄席などのビラが崖地の上から吹いて来る夏の風に飜っている氷屋の店先、表から一目に見通される奥の間で十五、六になる娘が清元をさらっているのを見て、いつものようにそっと歩を止めた

3.樋口一葉/ たけくらべ(岩波文庫『にごりえ・たけくらべ』より)
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5000円札でお馴染み一葉の代表作であるにも拘らず、雅俗折衷体のためかその知名度の割に現代はさほど読まれていない作品でもあります。
姉同様遊女になる予定の勝気な少女、その同級生である内気な僧侶の息子、少女と仲の良い質屋の腕白少年たちが、子供の社会から巣立ちそれぞれの社会構造に属する大人になり、やがて完全に別れてしまうであろうその第一歩の時間を清冽且つ瀟洒な文章で書き綴っています。
現代の説明過多な小説の作り方からは考えられないほど抑制された描写は、読み手にも高みからの見物を許しません。
待つ身につらき夜半の置炬燵、それは恋ぞかし、吹風すゞしき夏の夕ぐれ、ひるの暑さを風呂に流して、身じまいの姿見、母親が手づからそゝけ髪つくろひて、我が子ながら美しきを立ちて見、居て見、首筋が薄かつたと猶ぞいひける、単衣は水色友禅の涼しげに、白茶金らんの丸帯少し幅の狭いを結ばせて、庭石に下駄直すまで時は移りぬ

4.織田作之助/ 夫婦善哉(講談社学芸文庫)
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妻子持ちのダメ男と、彼と駆け落ちした若い芸者のふたりが、次々と事業に失敗し喧嘩を繰り返しつつも結局別れられずに寄り添って逞しく生きていく…とあらすじだけ書くとどうにも陳腐なのですが、戯作朝のリズミカルな文体がこの類の話につきまとう生臭さやドロドロ感をかき消して、妙に爽やかな読後に導きます。
年中借金取が出はいりした。節季はむろんまるで毎日のことで、醤油屋、油屋、八百屋、鰯屋、乾物屋、炭屋、米屋、家主その他、いずれも厳しい催促だった。路地の裏で牛蒡、蓮根、芋、三ツ葉、蒟蒻、紅生姜、鯣、鰯など一銭天婦羅を揚げて商っている種吉は借金取の姿が見えると、下向いてにわかに饂飩粉をこねる真似をした

5.フアン・ルルフォ/ ペドロ・パラモ(岩波文庫)
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日本文学ばかりなのも芸がないので、メキシコ文学を一点。
ペドロ・パラモという名しか分からない父親を捜しに彼が住んでいるという町に辿り着いた主人公でしたが、父親はすでに死んでおり、さらにこの町は生者と死者の境がなく…という幻想的な小説です。
登場人物の人間性、舞台の描写、すべてが徹底的に乾いており、命の尊さ云々といったウェットな概念が前提として存在していません。
さらに物語の構造も現在進行形かと思いきやそうでもなかったりと、時系列すら交錯しています。
こんな特殊な小説でありながら、読者に不思議と負担を与えません。
あっという間に読みきってしまうことでしょう。
物語も短いため、何度も何度も繰り返して読むことをお勧めします。
きっと読むたびに発見がある筈です。
『おれたちのすぐ上を誰かが歩いてるみたいだ』『もう恐がらないでいいよ。もう誰もおまえさんを恐がらせることはできないさ。楽しいことを考えるようにした方がいいんだよ。うんと長いあいだ土の中にいなくちゃならんのだからね』

思いついた順から5作挙げてみましたが、
この中の一冊だけでもどなたかの読むきっかけになれば幸いです。

保存

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真夏のピークが去った 天気予報士がテレビで言ってた

当店、扱っている商品はすべて適正価格だと認識しておりますので
大々的な投げ売りセールは行わない方針です。

とはいえ暑さ寒さも彼岸までと申しまして、
いくら一年二年程度では古ぼけないデザインとはいえ
今年に関しては夏物を着られる時期ももう折り返し地点です。

そのためオンラインストアでは
すでに一部のシーズン性の高い商品をお値下げしていますが、
それに加えて8月31日までは実店舗限定で
オンラインで対象になっていない夏物商品も特別価格にてご提供致します。

是非この機会をご活用ください!


夏季休暇について

以前のブログで軽くお伝え致しましたが、
今年については特に夏季休暇を設けておりません。

お盆の時期も平常通り8/12の水曜日(定休日)のみ
休日とさせていただきます。

お盆休みの隙間時間にでも遊びにお越しいただければ幸いです。

ところで本日店内照明がLED化したのですが、
電球からの発熱がなくなった分エアコンの効きが快調な気がします。

過去最高とも言われるこの猛暑、どこに出るのも一苦労ですね。
ご来店の際はどうぞごゆっくり涼んでいってください。

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青い波間に深く深く ~ TAGE

秋物衣料入荷第一弾は新規お取り扱いブランドです。

東京発のTAGE(タージュ)は当店では珍しくレディース専門ではありますが、
マニッシュテイストを基本としており、
パンツを軸に「パンツに似合うアイテム」をメインに展開しています。
リアルクローズでありながらも程よくモード感を含ませた、
独自のバランス感覚が特徴です。

そんなTAGEからまずはカットソーとスカート、
そして十八番のパンツをご紹介します。

カットソーとスカートは同じシリーズで、
今シーズンのテーマである”Floating on the waves(波間に漂う)”を
切替しの配色で表現しています。
素材は圧縮ウール、品のある光沢と優しい手触りが魅力的です。
それぞれ単品でも、勿論セットアップでもご着用いただけます。
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パンツはポケットの切替し配色が特徴でありつつも、
会社勤めの方でも仕事に使用できるほどシックな印象を見せます。
素材はポリエステルとレーヨンを混紡した2重織り生地
ダブルスポンジクロスを使用しており、
ふわりとした質感と皺の回復力が魅力的です。
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どのアイテムもデザインの美しさだけでなく
実用品としてしっかり作られており、日常的に使用できるものばかりです。

デザイナーの高田さんはTAGEの活動のみならず
ソーイングブックも何冊か手掛けており、
国内のみならず海外でも翻訳版が出版されていますが、
作品を限られた場面、限られた人に向けてではなく、
もっと開かれたものとして提案する姿勢が
そこからも窺えます。

まだ気候が気候ですのでパンツのみ店頭に出していますが、
他のアイテムもお申し付けいただければすぐにご紹介できますので、
秋の準備をお考えの方は是非一度お試しください。

オンラインストアはこちら→
スイッチングスリムカットソー モスグリーン/ エクリュ
スイッチングミモレタイトスカート モスグリーン/ グレイ
スイッチングポケットスリムTR ブラック/ ブルーグレイ

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8月の現状 ~ EEL/ オーガストパンツ

いよいよきょうで7月も終わり。ついに8月の来訪です。

業界的には秋冬物のデリバリー開始時期ですが、
現実を見れば一年で一番暑い時期。
まだあと約2ヶ月は残暑も含めて夏着の季節が続きますので
当店も今のところは思い切り盛夏仕様の店頭でいきます。

さて皆様、お盆休みなどロングバケーションのご予定は如何でしょうか。
当店は特に連休を設けず平常通り営業予定ですが、
それはさて置き休暇にうってつけのパンツをご紹介します。
その名もオーガストパンツです。
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実のところ新入荷商品ではなくEELの春物なのですが、
生地の清涼感、デザインのカジュアルさ、履き心地の軽さ、
そして名前までまさにこの時期のために生まれたイージーパンツと言えます。

デザイン的な大きな特徴として腰回りのポケットの構造が面白く、
水平に前から後ろまで続いています。
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機能的にはサイドで一度区切られて前後独立したポケットです。
ポケットに手を入れると視覚的に何ともいえない愛嬌が生まれ、
これがこのパンツの魅力のひとつといえます。

また、内股部分はクライミングパンツ発祥のガセットクロッチ構造になっており、
180度開脚しても股が裂けることはありません。
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難易度の高い登攀を行ったり華麗なハイキックを披露する機会はなくとも、
日常生活のなかでそのイージーな履き心地は確かな快適さを齎すはずです。

とここまで紹介しておきながら何なのですが、
前述の通りすでに春に入荷しているため、もう残り僅かです。
7/31現時点の在庫は2色ともにXSが1本ずつのみとなっています。
お早めにどうぞ!

オンラインストアはこちら→ ブルー/ ベージュ


美しいと言ってみても 素晴らしいと言ってみても ~ LUNGE/ Adagio

ドイツ北部、ハンブルグの近郊にブラールシュトルフという町があります。

ここのとある煉瓦造りの酪農畜舎、
それも歴史的資料としての価値があるほど旧い建物なのですが、
現在は内装をリノベーションして靴工場となっています。

そこで作られているのがこのLUNGE(ルンゲ)のスニーカーです。

手掛けているのはドイツ版の宗兄弟ともいえる元マラソン選手のルンゲ兄弟。
そんな彼らが2008年に設立した新興ブランドとはいえ
アディダスのアドバイザーを務めるなどプロダクトに関しては精通しており、
自らの姓を冠して生み出すシューズはまさに異次元の性能を誇ります。

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当店で取り扱うAdagio(アダージョ)というモデルは
ランニングシューズというよりウォーキングシューズに分類されます。
イタリア語の”くつろぎ”の名の通り、柔らかくもどっしりと包み込む、
メルセデスの座席を彷彿させる(知ったようなことを書いて、昔乗せてもらったことがあるだけですが・・・)
履き心地は、一度足を入れれば体が覚えてしまうことでしょう。

ミッドソールは比較的シンプルな構造で、一見するとそれほどハイテクな感は受けませんが、
この素材自体が非常に高いレベルで衝撃吸収性、耐久性を備えています。
また、素材そのものが高額な上に一足分を成型するのに数時間かかると言われているほど、
とても大手が量産に使用できるような代物ではありません。
このミッドソールとラテックスの肉厚な中敷”GOMAX INSOLE”とが相まって
見た目以上のクッション性を生み出しています。
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なお、柔らかいミッドソールは安定性を損ないがちなため、
土踏まずあたりは敢えて硬い素材に切り替えています。
これによりクッション性を維持したまま足をしっかり支えることができるわけです。
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ヴィーガン(菜食主義)思想に基づく企業理念もあり
アッパー素材、ライニング素材ともに
レザーの代わりにマイクロファイバーを使用しています。
人口素材とはいえど質感、耐久性、通気性、軽量性に優れた高品質なものです。

これらに限らずあらゆる素材の品質を追求し、
それに加えて環境負荷にも徹底的に配慮しています。
そしてマテリアルほぼすべてがドイツ国内で生産されています。
頑なに理想を追求する彼らに、コストダウンの発想はないようです。

デザインもロゴなどが悪目立ちすることなく非常にすっきりしており、
ウォーキングシューズでありながら気品すら漂います。
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米国生産または英国生産のニューバランスを愛用している方ならば
何か琴線に触れるものがあるのではないでしょうか。

まずは店頭にてお試しください。
その感覚がすべての説明を凌駕します。

オンラインストアはこちら→ ネイビー/ ロイヤルブルー


You’re the Only… ~ DESIGN AGAINST TREND/ 顔のランチバッグ&トート

何であれ、自分だけ、世界で一つだけというのは嬉しいものです。

当店でのイベントでは毎回そうした機会をご提供できればと考えていますが、
そこまでしっかりしたものでなく、自身で簡単にカスタムしただけでも
オンリーワンであることに疑いはありません。

とはいえ人間は完全な自由を与えられても
なかなかそれを有効に活かせないもの、
少しの制限が却って創造性を導くこともあります。
ですのでこんなバッグは如何でしょうか。
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紐や糸がもしゃもしゃっと縫い付けられています。
適当な感じです。何でしょうか。
これを髪の毛に見立ててみましょう。
顔が足りませんね。

さてそこからが貴方の出番です、好きな顔を描いてください。
ご自身でもよし、お子さんやご家族、お友達などに描いてもらうのもいいでしょう。

ランチバッグと小ぶりのトートバッグの2サイズをご用意しました。
店頭ではコンセプトをお伝えする補助として
店主と娘が顔を描いた付箋を貼っていますが、
これに惑わされずお好きに創造していただければ何よりです。
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オンラインストアはこちら→

顔のトートバッグ 生成×グリーン/ 生成×黒/ ブラック×オレンジ/ ブラック×イエロー


君がいた夏は遠い夢の中

日に日に蒸し暑くなってきました。

そよ風にすら爽やかさはなく、おじさんの湿った吐息のようです
(余談ですが、店主は過去2度それぞれ別の場所で、
通りすがりのおじさんとすれ違いざまに顔面にふっと息を吹きかけられたことがあります)。

もうこうなれば昼から冷えたビールや白ワイン、
お酒がだめな方はラムネでも飲んで
美味しいものをつまみながらのんびりするのが一番ですね。

と、ちょうどタイミングのいいことに明日から2日間
仲町台の夏祭り”グルメフェスタ”が開催されます。

とんかつ屋さんのカツカレーなど町内の飲食店が出店する本格派の模擬店や
マリノスやベイスターズ等の協力もあって
さまざまな催し物が詰め込まれたこちらのお祭り、
仲町台という小さな町では普段考えられないほどの賑わいを見せる
人気イベントです(毎年2万人ほどが来場すると云われています)。

Euphonicaは飲食店ではないためお祭りには参加しておらず、
この期間中も通常営業しています。

当店にお越しの際は、会場がほんとうにすぐ近くですので是非寄ってみてください。
もちろん夏祭りメインで仲町台にご来訪されたついでに
当店にお立ち寄りいただくのも大歓迎です。
店内カウンターにイベントスケジュールの冊子を設置しており、
ご希望の方には差し上げています。

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プレイボーイたる君、プレイボーイたらんことを欲する君に ~ SANDERS/ Hi Top Chukka

取扱店としてインポートものの恐ろしいところは納期の見えなさに尽きます。
今回も梱包を開けて「今、コレか!」と思わずだれもいない店内で声を発してしまいました。

きょうの天気はともかく先日梅雨も明け、いよいよ夏本番。
そこに一枚目の秋を落とすのがこの靴です。

聖地ノーザンプトンで100年以上の歴史を誇るSANDERSから、タバコ色のスウェードといっぷう変わったソールが魅力的な”プレイボーイチャッカ”の異名を持つこのブーツをご紹介します。

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サンダース社はイギリス国防総省向けに供給される靴の多くを手掛け、工場の約50%をその製造ラインとして割当てています。
その利権の大きさゆえに自社コレクションに於いても名門他社と同様の本格的な製法、上質な素材を使用しながら製造コストを抑えることが可能となります。

欧米製の革靴は、特にここ数年恐ろしいほど値上がりしています。
店主が中学生の頃から考えると各ブランドとも倍程度の価格になってしまっているのではないでしょうか。

そんな状況でもまだこのサンダースの靴はギリギリ値頃感が維持できていますので、民間企業と政府との甘い関係も一概に悪いこととは言えないなと思ったりします。

さて今回入荷のこのチャッカブーツですが、前述の通りソールが目を引くデザインとなっています。
通常は革やラバーのソールをグッドイヤーウェルテッド製法で…というところクレープソールでぐるりと巻かれ、若干厚底でもあります。

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このソールはマッドガードと呼ばれ、文字通り泥除けの機能です。
底の高さと形状自体も役割を果たしていますが、底付けの縫い目を構造上廃することでそこからの水の浸入も防いでいます。

厚みのあるクレープソールはスニーカーのような履き心地を提供し、気楽に履ける革靴としてとてもバランスがとれた品です。

映画『ブリット』でスティーブ・マックイーンが履いていたのがこれと同じデザイン(別ブランドのようですが)で、茶色のツイードジャケットにサルヴィアがかったブルーのタートルネック、チャコールグレーのスリムパンツにこれを合わせています。

映画自体は大した中身でもない(マックイーンがカッコイイ、それだけの内容です)もののこの着こなしを見るためだけでもDVDを買う価値はあるのではないでしょうか。
それほど痺れる装いです。

さすがに時候を考えるとマックイーンの出で立ちは数か月後でないと再現できませんが、スウェードの毛羽立ちが短く整えられていますのでとても暖かな素材感という程でもなく、今の時期だとショートパンツに合わせれば秋冬感が中和されて、暑苦しさを印象付けることなく履くことができます。

底の交換は少々難しい靴ではありますが、クレープソールは継ぎ足しが可能な素材ですので、靴底が減った際は腕のいい修理職人さんにご相談いただければ前向きな回答が返ってくるはずです。

タフでありつつ粗野でないこの靴を履くことで、プレイボーイの紳士諸兄に是非あやかってみたいものですね。

オンラインストアはこちら→ Hi Top Chukka