汚れてる野良猫にも いつしか優しくなるユニバース ~ KESTIN HARE/ DUNBAR FIELD JACKET

週末の快晴から一転してしばらく雨や曇天が続くようですが、そんな暗澹とした中にも麗らかな陽気にも馴染む、軽やかなジャケットです。

エディンバラから電車で40分程度の場所に位置する港町ダンバーの名を冠したこのジャケット は、”The Leithers”-港町リースの港湾労働者や建造物、現在の周辺環境など-という今季のKESTINのテーマが比較的イメージしやすい一着といえるかも知れません。

コットンとポリエステルを混紡した高密度ポプリン生地を一枚仕立てにしており、乾いた質感、程よい光沢が一層軽さを引き立てています。

その細やかな生地を大きめのステッチで縫い、優しさを内包しながらワークテイストを引き上げました。

フロントはボタンとファスナーの二重となっていて、しっかりと風を防ぐだけでなくカジュアル度を抑えています。

なお、このファスナーにはアウトドアウェアでもよく用いられるYKK製の樹脂モデル”VISLON”が採用されてました。
マットな質感が控えめな印象を生み出すだけでなく、その軽さゆえジャケット本体に負荷がかかりにくくなっています。

両脇ポケットのフラップや袖口はボタン留めとなっています。

と、細かく見ていきましたが、大きな魅力はその着心地でありシルエットであり、カジュアルでありながら過剰な男らしさを削ぎ落とすことで実現した汎用性です。
それらを生み出すための素材、ディテールであることは、袖を通していただければご納得いただけるはず。

ご紹介前に動いてしまいもうラスト1点を残すのみという現実が、それを物語ります。

気になる方はどうぞお早めに。

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蛙なく ゐでのわたりの山吹の花 ~ comm. arch./ Hand Framed Linen C.D.

思いの外暖かな週末に少しばかり戸惑いながらも、暦を見ればもうじき啓蟄。
早いものです。

ニットも、厚手のセーターはすっかりその存在感を潜め、薄手のハイゲージや、こうしたウール以外のものに気が向く時候となりました。

今回ご紹介するコムアーチの春の新作は、豊満な魅力を湛えたリネンのカーディガンです。

リネンニットといえば、一般的には薄手で軽やかなもの、涼しさを前面に押し出したものですが、このカーディガンはひと味違います。

用いられている最上級のフレンチリネンは、その繊細さゆえ、機械でスピーディーに編んでしまうと傷がついてしまいかねません。

そのため、東北の手横編み職人によって、ゆっくりじっくり編み立てられます。

結果、ぎゅっと目が詰まり、その清涼感はそのままに肉感豊かな風合いが生まれました。

カーディガン自体も、シンプルなようでいてその素材の魅力を活かすべく細部まで気の配られたデザインが施されています。

面白いのがボタン使いで、黒蝶貝のボタンを通常と表裏逆に用いています。

光沢の少ない面を表に出すことで、ざっくりとしたリネンの素材感と見事な調和が生まれました。

まったく心憎い一枚です。

これから毎年、今の頃合いから初夏にかけて大活躍することは疑いないでしょう。

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さわって・変わって ~ HAVERSACK/ リネンシルクショップコート

まだ朝晩は冬の残像が感じられるとはいえ、昼間はだいぶ暖かい日が増えてきて、自然と気持ちも和らぎますね。

当店でも春物のアウターはほぼ出揃い、臨戦態勢は整っております。

逸品ぞろいの今季のスプリングコートのなかでも、とりわけ濃密な、しかし物理的には軽快至極なこのコートは見逃せませんよ。

インディゴのヘリンボーン生地で仕立てられたショップコートですが、まずこの素材が尋常ではありません。

ぱっと見はコットン、またはコットンとリネンの混成と思いきや、リネンとシルクをほぼ半々で用いた至極ラグジュアリーな素材使いです。

リネンのシャリっとした質感にシルクのとろみが合わさり、重さや硬さのない、官能的な手触りを実現しています。

この贅沢な生地を一枚仕立てにしているわけですが、細かなディテールに至るまで、妥協のないデザインが施されました。

適所にパッチポケットを配し

縦型のスラントポケットは貫通し内側のジャケットのポケットに手が入る構造となっています。

袖口も手抜かりありません。

ボタンは水牛の骨を採用、マットな白色、冷たさのないやさしい触感が特徴です。

いろいろと要素の詰め込まれた服ながら、着てみると意外なほどにパンチが強くないのも面白いところで、普段の装いにも容易に溶け込みます。

ばさっと羽織るのもよし、ボタンを留めて襟元から覗くものを楽しむのもよいでしょう。

何にせよ、(特にハバーサックの服全般に言えることですが)着てみるのが一番理解するのには早いと思います。

冒頭で述べたように、だいぶ春らしい気候にもなりました、是非ご来店ください。

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ファンタスティック・フォー ~ ORDER BORDER &…

激しい嵐が通り過ぎ、ぽかぽか陽気と三月が到来しました。

これから春も本番に向かって突き進むのみです。

春といえば…そう、当店の春の風物詩として完全に定着したORDER BORDER、今年もやって参ります。
3/17(土)~25(日)の開催です。

お陰様で、開店以来4度目となりました。

まだご存じない方のために簡単な説明を致しますと、ORDER BORDERは新潟県加茂市に拠点を置くカットソーブランドG.F.G.S.さんの展開する、産地ならではのシステムです。

糸見本やサンプルを基に、ボーダーシャツをお好みの配色、ボーダー幅でオーダー、それを一着ずつ生地を編むところからシャツに仕立てていきます。

ただ特別な一着というだけでなく、その品質はきわめて高く、のびやかな優しい着心地にすぐれた耐久性も備えており、開催のたびに支持者は増えるばかり。

基本は二色をチョイスして、オーソドックスな形状の中でボーダーの幅や袖丈などを遊ぶ方式ではあります(公式サイトでシミュレーションもできます)が、そこは常に進化を止めないG.F.G.S.。

トップ画像のトリコロール(昨年オーダーした店主私物です)のように3色展開のモデルや、

今回初登場となる型、

新しい編地を増やして、今までで最も充実した内容でのお届けとなります。

なお、この新しい編地”Metheny“は、通常既製品のみのラインですが、今回の受注会では特別にオーダー対応もしていただけるとのことです。
もっちりしてのびが良く、澄んだ発色のその生地は、当日店頭にてご確認ください。

そして、3/17と18の二日間、新潟からG.F.G.S.を率いる小柳さんが在店、直接その魅力をお客様に語っていただきます!(18日は夕方ごろまで)
前回は4時間のみだったところ、今回はたっぷり時間をとっていただきますので、前回会えなかった方は是非この機会をお見逃しなく。

以上でも過去最高クラスの内容となるわけですが、ここにさらに強力な布陣が。

小柳さんの在店に合わせ3/17と18の二日間、11月のHAVERSACKのイベント同様、センター北のクリーニング店LIVRERの茂木さんと

狂気のトランクスでお馴染みOlde Homesteaderの福原さんも在店、イベントを盛り上げてくれることとなりました。

茂木さんは当店の店先で洗剤の量り売りを行い(写真は11月のイベントのときのものです)、

福原さんは新作である入魂のアンダーシャツと、靴下(5サイズ展開!)の受注会を開催します。

と、充実をきわめた今回のORDER BORDER。

ちょうど仲町台もミモザが盛りの頃合いで、第二回となるミモザフェストとも時期が揃っています。

最高に素敵な春になりそうです。
皆様のお越しをお待ちしております!


すてきさ 天使がぼくらを誘惑する ~ EEL Products/ ステッキジャケット & ステッキパンツ

当店、単に店主の気分的な都合で今年はセットアップは控えめでいこうと思っています。

そんな状況下でも登場するということは、それだけムムムと唸らされてしまったということ、このステッキシリーズがまさしくその一例です。

ジャケットはネイビーのみ、パンツはネイビーとカーキのご提案となります。

ステッキジャケットは肩パッドを省略したライトな構造のジャケットです。
ピークトラペルが仄かなドレス性を添え、厭味なく装いの品格を高めてくれます。

同じくステッキパンツは深い股上から裾に向かって細く絞った、短め丈のパンツとなっています。

パンツの裏地は吸湿性に富み、さらりとした質感の目の粗い綿布を用いており、ポケットの中もべたつきにくくなっているのがうれしいところです。

前述した通り丈が短く、くるぶしがはっきり出ますので、その特性を活かして飄々と穿いてみてください。

どちらも単品としても、(ネイビーのみですが)セットアップ着用もお薦めできます。

春だからこそできる軽快な装いを、お好きなようにお楽しみいただければ何よりです。

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ステッキジャケット ネイビー
ステッキパンツ ネイビー/ カーキ


私たちの生涯最高の瞬間 ~ ZDA/ Trainer 2900FSL

靴の町パルティザンスケにて、昔のままの製法で作られているスニーカーブランドZDA。

ブランドの詳細についてはこちらをご覧いただくとして
Z・刻をこえて
Believing a sign of Z

今まで当店ではそのランニングシューズカテゴリにあたる”Marathon”シリーズを展開して参りましたが、実はこのブランド、かつてはMarathon以外のラインも存在していました。

そのひとつである”Trainer”は、室内での球技に特化したシリーズです。

体育館履きを思わせる懐かしいルックスで心を和ませるこの2900FSLは、バレーボールではなく(体育館履きはバレーボールシューズです)ハンドボールシューズです。

ハンドボール、日本ではサッカーや野球の陰に隠れ、だれもが知る球技ではありつつもそれほど競技人口の多いスポーツではないものの、本場ヨーロッパでは非常に人気があり、男子大会のみの時代からであれば1938年から世界大会が行われています。

スロバキアハンドボール連盟(SZH)のオフィシャルサイトはスロバキア語のみのため、店主の言語能力ではそこから多くを読み取ることができませんが、ZDAの生まれた彼の地でのハンドボール事情についてご興味のある方は、是非リンク先をご覧ください。

アッパーは体育館履きと同じく、牛革スウェードとナイロンのコンビです。
肌理が細かくコシのある、良質なスウェードですね。

フットサルシューズなど、室内競技用の靴ではゴムの色が床に付着するのを防ぐのと、その粘り気のある素材ゆえの適度な滑りづらさで、ソールには生ゴムが好んで用いられます。

2900FSLもその例に洩れず、質の高い生ゴムが採用されました。

接地面には、”S-KAISER”のロゴが入っています。
靴底メーカーなのかZDAのオリジナルなのかなど詳細は不明ですが、Trainerシリーズではよく使われていたようです。
程よい柔らかさ、しっかりとしたグリップ力を備えています。

タンにはボールを扱うアスリートのイラストが描かれています。
2800FSLのマラソンマン同様、緊張感のない暖かな絵柄ですね。

ハンドボールでの使用はもちろんのこと、街履きとしても先日ご紹介したKESTIN HAREなどと合わせれば面白い化学反応が起きると思います。

世間ではダッズシューズと呼ばれるスニーカーが流行の兆しを見せている今だからこそ、そのエッジィな世界観とはまた異なるベクトルでの愛くるしい野暮ったさ、そして甘酸っぱい青春の日々のフラッシュバックを、是非お楽しみください。

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されば 港の数多かれど ~ KESTIN HARE/ BERWICK SHOP COAT

昨年GW年末に二度のポップアップイベントを開催し、大変ご好評いただいたKESTIN HARE。

今季より改めて正式に取扱い開始となります。

このブランドの唯一にして最大の欠点が、納期の不安定さでした。
一昨年ちょっとだけ扱ったときも、記憶では5型オーダーし届いたのが2型、全部でシャツ2枚。
いくら服が素晴らしくとも、さすがにこれでは定期的に展開するのは難しいなと判断せざるを得ませんでした。

ところがこの春夏。
今までの英国生産ラインはそのままに、ポルトガルなど欧州の他国で生産していたものを日本製に変更することになり、その問題が見事な形で解決してしまいました。

そうなればやらない理由などありません。

今回ご紹介のショップコート”BERWICK”はじめ、春夏に向けて続々と入荷が始まってきています。


2018SSのテーマは”The Leithers”。
エディンバラ北部の港町リース(Leith)の歴史的建造物や港湾労働者、周囲の環境やコミュニティに着想しています。

このリース、『トレインスポッティング』の舞台としても知られる町ですが、かつては様々な産業で栄えたものの次第に衰退し、一時期は過疎に悩まされたそうです。
その結果である安い家賃がクリエイターを呼び、デザインコンシャスな場に変貌し、造船や工業の町としてだけではない新しい姿として再生しています。

そんなリース特有の空気感を、仕様、素材や色で表現したのが”The Leithers”というわけです。

このショップコートは、スコットランドの曇天、硬質なドックヤードに調和するイメージで仕立てられました。

同じ港町同士、横浜の海沿いの景色にもよく合いそうです。

生地は乾いた質感のコットン/ナイロン素材。
これを一枚仕立てにした軽快なつくりとなっています。

製品洗いを施すことで適度なワークテイストが引き出されました。

ステッチピッチはやや大きめに設定され、ケスティンの服特有の愛嬌が生まれています。

両脇のパッチポケットのサイズ感がうれしいですね。

と、春の羽織りものとして実に気持ちの好いコートに仕上がっています。

漸う3月も近づいて参りました。いい頃合いです、是非ともご検討ください。

オンラインストアはこちらです→ ストーン(ライトグレー)/ キャメル/ ネイビー


メディア掲載のお報せ ~ FACYにて店主登場しています

FACYにて店主が登場した記事がアップされました。

「いいモノなのに、実はまだ売れていないモノ。」 〜仲町台 Euphonica〜

いいものなのに売れない、「うちの店のものほとんどがそうじゃん」と自らツッコミを入れてしまいそうです。

せっかく各ブランドさんから素晴らしい商品を入れてもらいながらも単に自分の実力不足のせいで万年零細商店止まりという、厳しい現実を改めて突きつけられる企画でございます。

どうぞお楽しみください。


リリーの… ~ EEL Products/ アトリエシャツ

表に出ると、きりりと凍てつく空気に違和感を覚えるほど、おっとりした暖かな陽射しが降り注ぐようになりました。

季節がこうして進むにつれ、シャツをお求めの方もちらほらと増えてきています。

そんな折、EEL PRoductsの定番アトリエシャツの今季モデルが入荷しました。

上品な水柿色に風雅な趣を感じます。

生地は綿100%でありながら、レーヨンでも混ざっているかのようなとろみのある柔らかい手触りです。

基本的なディテールは過去のモデルと同一ながら

サイジングは従来よりすこしゆとりを持たせ、また縫製もドレスシャツ急に運針を細かく設定しています。

そうした調整に色調、生地の質感が相まって、今まで若々しいカジュアルさが魅力だったこのシャツがアカデミックな印象に変化しました。

すでに動きを見せており、現時点でMサイズ一着を残すのみとなっています。

気になる方は、お早めにどうぞ。

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コレよくない? よくないコレ? よくなく なくなく なく ~ YOAK

横浜はまだ寒いながら冬もようやく終わりが見えてきて、いよいよ次の季節の匂いも強まってきています。

装いを春仕様にするのはまだ難しくとも、まずは足元から軽快に変えていくのもよいのではないでしょうか。

そこでお薦めしたいのが、デザインから生産までを東京で行う新進スニーカーブランドYOAK(ヨーク)。
今まで基本的にはブランドのネット直営店からの直販のみであったのが、この春から本格的に卸販売を開始致しました。

すでに全国のコアなスニーカーフリークからは熱い視線を集めている同ブランドですが、ディレクターの広本氏はかつて仲町台のコンビニでアルバイトをしていたという、異色の経歴を持っています。

そんなご縁もあって、こうして皆様にご紹介できる運びとなりました。

当店ではまず2型を展開致します。

往時のテニスシューズに着想した、ブランドの代名詞的モデルとも言える”ULYSE”、

極限まで不要な要素を削り落とした、究極的にシンプルな”STANLEY”です。

スムースレザーとスウェードのコンビネーションが立体的な表情を見せるULYSEと

どこから眺めてもすっきりしたSTANLEY、
アッパーのデザインや印象にそれぞれの魅力がありますが、靴としての基本構造はどちらも同じです。

アッパーには肉厚な牛革を、そしてライニングには吸排湿性にすぐれ肌触りも柔らかな豚革を爪先まで配しています。

中敷も豚革を使用しており、そこに低反発フォームを合わせることで、履き心地を高めました。

ソールはオパンケ(オパンカ)製法にてミシンでしっかりと縫合され、履き込んでも周囲が剥がれる心配はありません。
加えて、糸で縫っているゆえスニーカーなのにオールソール交換なのもうれしいところ。

靴底は昔ながらのヘリンボーンとなっています。

どこを見ても本質的な機能性には配慮され、ただのローテクノロジーには収まらない現代の靴として高い完成度を備えています。
それでいてそうした要素が悪目立ちしない、靴自体も過剰な主張をしない、そんな抑制的な美学を貫く姿勢こそがYOAKの最大の特徴といえるかも知れません。

実に、新進ブランドと思えぬ高い完成度です。
ようやくオンラインから現実世界に舞い降りたことですし、男女サイズともにご用意しましたので、この機会に是非店頭にてお試しいただきたく思います。

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ULYSE ホワイト/ ブラック
STANLEY ホワイト