箱入り息子の恋 ~ KIMURA/ BOX

もちろんまだ油断はできないものの、冬の寒さが途切れたような暖かい週末に、「おや?春?」と感じた方も多かったのではないでしょうか。

さすがに一枚で使うには早くとも、新しいシャツに気が向き始めるころです。

そんなタイミングで、KIMURAから実にちょうどいい塩梅のシャツが届きました。

昨年の初夏に登場したBOXシリーズの、長袖バージョンです。

長袖バージョンといっても胴の基本構造のみが同じで、あとはまったくの別物ですから、あらためて見ていきましょう。

素材はくすんだピンクが美しい、スーピマコットンの100双ブロード。
高密度に織られており、やわらかいだけでなくしっかりとしたコシもあります。

いつも何かを仕掛けてくるKIMURAのわりに、ぱっと見は「普通」のデザインのようですが…

両脇を見ればやはりKIMURAでした。

通常シャツの胴部分は、前身頃の左右+背面で、肩のヨークを除けば3枚のパーツで構成されます。
が、このシャツは1枚だけ。
ひと続きの生地で体をぐるりと包み込んでいます。
ですので、先の画像をご覧の通り、両脇に接ぎ目がありません。

これにより、生地の流れが左右の接ぎ目で途切れず、円みを帯びた流麗なシルエットが生まれます。

ボタンはちょっと珍しい3つ穴。

2つ穴や4つ穴ボタンは機械で取り付けることができますが、3つ穴は対応していないため、手付けにせざるを得ません。
ですので、手がかかっているというのが判ると木村さんは胸を張りますが…KIMURAのシャツはどんなボタンでもいつもひとつひとつしっかりと手で付けられています。
せっかく3つ穴を採用したのに、いつもが丁寧すぎてその手仕事の特殊性がいまひとつ伝わりにくいなんてところも、KIMURAの愛すべきところです。

ちなみに当店では約7年にわたってKIMURAを取り扱ってきましたが、ボタンの糸がとれたというお声は一度も聞かず、店主の私物もそんな気配は微塵も見せていません。
ほんとうにしっかりと縫い付けられています。

細かい入念ポイントは背面のヨークにも。

ヨーク線は肩甲骨の上に位置するのが、機能的に正しくまたドレッシーとされています。
が、もともとジャケットやコートの裏に付ける想定でデザインされたKIMURAのブランドタグは大きく、どうしても細いヨークだと幅に収まりません。
そのためいつも広めに設定されていたのですが、今回は「堂々とはみ出そう」との意気込みで、エイヤっと細めに作られました。

先の画像のヨーク下にある2つのぽちっとした玉が、タグ下部の縫い付け糸です。

ちなみに縫い付け糸、タグ上部にはタグに合わせて白いものを、下部はシャツの生地に合わせてくすんだピンクのものを採用しています。
そこを2トーンにしてしまうのもまた、KIMURAらしさと言えましょう。

と、見れば見るほどにKIMURAを感じるこのシャツは、スタンドカラー版もご用意しました。

もちろんKIMURAのことですから、ただ襟を変えたのみに非ず。

たとえばレギュラーカラーのものではフレンチフロントだった前立ては、二重のプラケットフロントと、変則的な仕様になっています。

裾もやや長く、また背面はスクエアにカットされ、よりデザインシャツとしての要素が強まりました。

一枚繋がりなのに三角ガセットで補強、昨年末のhook front shirtを踏襲した外連味溢れる意匠にニヤリとさせられます。

あきれるほど切れ味を増しながら円熟味を深めつつあるKIMURA。
今年もこのブランドの躍進は止まりませんよ。

オンラインストアはこちらです→ BOX regular collar shirt LS/ BOX stand colar shirt LS


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