まだ正式に発表はされていないものの、横浜はおそらく梅雨が明け、一気に灼熱の季節へと変貌を遂げました。
その夏本番にギリギリ間に合わせるように、KIMURAの夏の新作も揃ったところです。
定番の20needles CUBA shirtsは、昨年の夏(ちょうどほぼ一年前でした)に鮮烈なインパクトを残したマルチカラーステッチが新たな配色で再登場。
鮮烈なインパクトといっても、鮮烈すぎてご紹介後わずか数時間で店頭から姿を消してしまったため、ほとんどの方にとってははじめましてかも知れませんね。
ですから、あらためて説明してまいりましょう。
まずシャツの構造からお話ししますと、本来脇のすぐ下にあるはずの縫い目が胸のあたりまでずれており、その接合箇所に20連ステッチが走っています。
1.2cm幅に20本という異常なほど細かく執拗に打ち込まれたステッチによって生地が引きつり、波打ち、それが結果として美しい刺繍のような印象に。
そしてこのステッチには、複数の色が規則的に移り変わっている糸を用いており、
木村さんの言葉を借りればこの”揺らぎ”と1列ずつ20本のステッチを入れることによる”揺らぎ”が重なることで、無作為的なカラーグラデーションが生まれます。
上品な艶を湛えた目の細かい生地(140双ブロード)に、この色彩が筋となって流れるさまは、美麗の一言ですね。
また、このマルチカラーには、だれも予測しえなかった仲間も加わっています。
古くからのファンの方はご存知かと思いますが、KIMURAはシャツ専業ブランドではありません。
ただ、発足時からいまに至るまで、シャツ(とシャツカーディガン)しか作ってこなかっただけです。
大ぶりのブランドラグはそもそもジャケットやコートの裏で映えるようデザインされていますし、オールドファンや当店は、次なる一手をいまかいまかと待ち構えてきました。
この流れから、すわジャケットかコートか、と期待されるのも宜なる哉、しかし奇才・木村嵩之はそんな尋常なる我々の予想をいとも簡単に超えてきます。
シャツに続く待望の新カテゴリー、それは…
まさかのショートパンツ!
斜め上すぎて動揺してしまいますが、しかしこれがブランド初となるパンツと思えぬほど高い完成度を見せつけてくるものだから、ますます油断なりません。
生地はシャツと異なり、高密度に織られたコットンウェザークロスを採用。
一般的に、パンツには肉厚で引き裂き強度に優れた綾織の生地を使うことが多いのですが、そのうえで敢えて平織生地を選んでいます。
それはこの20連マルチカラーステッチゆえで、綾織の生地だとこの糸が生地の綾目に沈み込んでしまうためだとか。
偏執的なKIMURAらしさは、パンツに於いても何も変わっていませんね。
もちろん平織のなかでも強度に優れた生地を選定していますから、その点はご安心を。
なお、生地とステッチの組み合わせは、シャツと逆にしてオーダーしてみました。
ついステッチの話ばかりしてしまいますが、丁寧なつくりもKIMURAの真骨頂。
裏返して粗を探そうにも、何一つ手抜きが見つかりません。
なお、ホワイトに限っては透け防止のため、薄い裏地が設けられています。
ついにシャツの枠を超えて、次なるステージへ飛び出したKIMURA。
これを皮切りに今後どんな世界を見せてくれるのか、ますます期待を高めてくれるパンツです。
オンラインストアはこちらです→
20needles/ CUBA shirt HS ブラック×マルチカラーステッチ#7/ ホワイト×マルチカラーステッチ#3
20needles/ side line short pants ブラック×マルチカラーステッチ#3/ ホワイト×マルチカラーステッチ#7