バラ色ですか ブルーですか 明日見る夢は ~ ZDA/ Marathon 2400FSL & 2300FRL

10月というのに盛夏を思わせる暑さが立ち込め、仲町台ではまだ蝉の残党の気配が漂っています。

なんでも、今年は真夏日が90日以上あったそうで、となると一年のうち4分の1が真夏ですから、もうとんでもない状況です。

が、天気予報によれば明日からようやくだんだんと気温も落ち着いてくるそうで、これだけの猛暑に体を慣らされた我々は、きっと気温以上に肌寒く感じてしまうことでしょう。

そんなわけで、店内に豊富に揃った秋物を、是非皆さまにご覧いただきたいところです。

新作はもちろん服に限らず、季節とは関係なさそうなZDAのスニーカーも、心なしか秋めいているように見えます。

今季登場するのは2種類、いずれも型は継続品ですが、素材や色の変化によってまた印象を新たにしました。

まず先にご紹介するのは、2400FSL。

ZDAといえばこれ、とイメージする方も多いはず。
2016年の再始動時からずっと展開され続けている代表モデルです。

今回の新色は紫がかったワインレッドで、軽さと落ち着きが両立した絶妙なカラーバランスとなっています。

おそらく1980年代にランニングシューズとして設計されたこのモデルは、テクノロジーの進化の過渡期にあった東欧の靴ならではの魅力に溢れています。

複数のパーツが重なりあったアッパーは、単なる見映えのためにこうなっているのでなく、靴紐を引くことでさまざまな角度から足をホールドしてくれます。
機能そのものが視覚化されたデザインです。

硬さの異なるEVAフォームを積層したミッドソールは、クッション性と安定性を兼ね備えています。

マラソンソールと呼ばれるアウトソールは、グリップ性以上に独特の浮遊感を伴うポワンポワンした履き心地に驚かされます。

もう一型2300FRLは、4年前に復刻し、色違いも含め何度か弊ブログでも登場してきた2300FSLをリアレンジしたモデルです。

リアレンジとはいうものの、ひょっとするとこちらのほうがオリジナルに近いのでは。

例によって記録に乏しいブランドにつき、断片的な情報を搔き集めながら背景を推測していくしかないのですが、店主の見立てでは、このモデルはZDAでも作られたかも知れない一方で、1980年代にSPORTVYROBAブランドで製造されていたランニングシューズとひじょうに近似しています。

戦後期チェコスロバキア靴製造の歴史を研究しているЮрай Шушка氏のサイトで確認できるこのシューズは、ソールや細部に差異はあれど、ZDAとまったくの無関係な靴と言いきることは難しいでしょう。

何にしても、各パーツの金型が残っていたからこそ復刻ができたわけですから、SPORTVYROBAもZDAの別ブランドだったのか、それともZDAがOEM生産を請け負ったのか、実態はそんなところだろうと察せられます。

と、そうした背景はさておき、兎にも角にも不思議なデザインの靴です。

乳白色とブルーの組み合わせに掛け合わせた、まさかのオレンジとピンク。しかもエナメル。

2300FSLはこのブルーの部分が水色のスウェードでしたが、今回はSPORTVYROBAを踏襲し、もう少し濃い色目のヌバックが採用されました。
また、オレンジとピンクも蛍光色に近い調子になり、全体のコントラストが強まっています。
より80年代テイストが増したとも言えますね。

配色だけでなくアッパーデザインも珍妙です。

とくに三つも鳩目を打ち付けていながら、穴が貫通してないため一切ベンチレーションの役割を果たしていない謎ディテールには、思わず頭を抱えます。

積層EVAに2400FSLと同じマラソンソールを搭載さいていますので、履き心地は意外と快適です。

同じブランドの同じシリーズでありながら、まるで性格の異なる2型。
当然優劣は存在しませんから、どちらが得かどうかなんて比較もできません。
ご自身の感覚ひとつでお選びください。
どちらを取ったとしても、きっと愛すべき相棒として活躍してくれるはずですよ。

オンラインストアはこちらです→
2400FSL ワイン
2300FRL ブルー


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