「狂気のシャツブランド」
いつしか全国的にそう呼ばれるようになったKIMURA。
たしかに5本針シリーズはじめ、このブランドのどのシャツからも、ただならぬ妖気が発散されていますので、かくの如き称号も宜なる哉ではあります。
しかし、長年の熱狂的フリークの皆さまならご存知のように、KIMURAはシャツ専業ブランドではありません。
昨年の夏に人々をどよめかせたショートパンツの突然の登場にはさすがに店主も驚きましたが、それは別として、この大きなブランドタグはもともとコートに使うことを想定されていました。
そうして早幾年。
この春、ついにKIMURAの新たなる一章が幕を開けます。
待望のスプリングコートの登場です。
ベルギーCastellins社製ブラックリネン(品種ではなく、諸条件によって黒味がかった色調をもつリネンをこう称します)とエジプトギザコットンを用いて中国地方の機屋さんで織り上げた平織生地は、木村さんの自宅に10年ほど眠っていたもの。
いま織るとなるとたいへんな金額になってしまうであろう、稀少な極上品です。
一枚仕立てながらしっかりとしたコシがありそれなりに厚みもある高密度生地ゆえ、肌寒い春先(そしてもちろん秋にも)の外套として問題なく用いることができます。
シャツ専業ブランドではないとはいえシャツで名を馳せたのは確かであり、その歴史が台襟のついたシャツ状の襟に表現されています。
襟先もシャツのように少しぴんと跳ねるように設計されているそうです。
内袋つきのポケットでもなければ一般的なパッチポケットでもなく、前身頃にビブ(胸当て)のようなパーツを重ねて、そこを区切って胸ポケットとハンドポケットにしてしまいました。
ワークウェアのような発想ながら、まったくその気配を感じさせない、KIMURAならではのユニークなディテールです。
細部の細部に亘るまで計算され尽くされた仕様、バランスは、初登場のジャンルの服であっても強烈にKIMURAらしさを感じさせます。
先述の通り、木村宅に眠っていたデッドストック生地を用いており、なおかつ今回それをすべて使いきってしまいましたので、この生地でこの型という組み合わせは最初で最後となります(加えて申し上げれば、このコートは当店のみの取扱いだそうです)。
可能な限りで多めには発注していますが、このブログ執筆時(2024/2/20)ですでにサイズ欠けが発生しています。
気になる方は是非お早めに!
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