愛のことばを 走り書きして ~ EEL Products/ ペーパーチェスター

何十年ぶりらしい大寒波が横浜にも到来しました。
不思議なもので気温って下がり過ぎるとそこまで寒くないものですね。
防寒対策さえしっかりしていれば、ひんやりとした空気が寧ろ心地好く感じられます。

さて、そんな本日1/25、当店は無事3周年を迎えることができました。

ひとえに皆様のお陰です。
本当に有難うございます。

さて、4年目に突入し最初の商品紹介となりますのは、EEL Productsの新作コートです。


以前展開していたPaper Coat同様、薄く合成樹脂をコーティングすることで紙のようなパリッとした質感を生み出したコットンの高密度生地で仕立てられています。

スプリングコートの部類ではありますが、防風性や多少の撥水性も備えているため、本日のような極寒の真冬日は別にしても、中に着るもの次第では南関東ならば冬にも活躍することでしょう。

さて、これだけでもじゅうぶん魅力的なこのコート、さらにおまけとしてパッカブル機能まで備えています。

裏地の腰部分に走るファスナー、

これを開けると中から共生地の袋が現れ…

そのままそこにコート本体を収めてしまうことができます。

調整可能なストラップも設けられていますので、持ち運ぶにあたってそのときそのときで一番やりやすい方法を選べるのも嬉しいですね。

春が近づくと、今より昼と夜の寒暖差が大きくなってきます。
その時候にとても有難い機能となるはずです。

色は3色、どれも春のみならず秋にも使えるトーンですから、先ほど述べた防風性などの機能的な面を含めて、スプリングコートという括りで考えず、汎用型コートととらえてお楽しみいただきたいと思います。

毎シーズンいくつもの逸品を送り込んでくるEEL Productsのなかでも、3周年の節目の商品紹介として相応しい完成度を誇る傑作です。

まずは一度店頭にてお試しください。
きっとお気に召していただけることと思います。

オンラインストアはこちらです→ グリーン/ ネイビー/ ブラウン


春の歌 愛と希望より前に響く ~ HAVERSACK ATTIRE/ チルデンニット

表に出れば大寒の冷気が身に染みる今日この頃ではありますが、則ちあとはこれから春に向かうのみということです。

店頭では当然まだ秋冬物衣料中心の構成とはいえ、だんだんと春らしさを感じる品の割合も増えてきています。

今回は、正直ちょっと時期尚早かなと思いつつ、まずもってその気分を先駆けてくれる爽やかなニットを紹介致します。

最近あまり見ることもなくなり、その名さえ忘れられてしまいそうなチルデンニット。
当店でも初登場の型となります。

余談ですが、これは愛用者であった往年の名テニスプレイヤー、ビル・チルデン氏(さらに豆知識ですが、ラコステ創業者ルネ・ラコステと全米オープン決勝戦で対戦したことがあるそうです)に因んだ和名で、本来はCricket Sweaterと呼びますが、本稿ではチルデンニットと表記します。

さて、歴戦の服飾愛好家の紳士諸氏に於かれましては、チルデンといえば『炎のランナー』かも知れません。

しかしながら当店はトラッドショップに非ず、そこは原型を尊重しつつも新しい服として提案させていただきます。

最大の特徴は襟元。

Vの開きをぐっと狭く設定し、その分襟周りのライン幅を広く拡張しています。

この仕様と透徹な配色により、トラッドアイテムからともすればモードの匂いすら感じさせるものへと進化しました。

素材はさらりとしたコットンで、春から初夏にかけて快適に着られる厚さです。

今の時期ですとジャケット(それこそ『炎のランナー』よろしく)やコートが必須ですが、それでも潜まれたこの明るさが次の季節へと気分を誘ってくれることでしょう。

男性用ではあるものの、女性が身に纏うのも素敵です。
数量は多く積んでいませんので、琴線に触れる方はどうぞお早めに。

オンラインストアはこちらです→
オフホワイト×レッド×ピンク/ グリーン×オフホワイト×ネイビー/ ネイビー×オフホワイト×イエロー


FOR YOU ~ 4THE/ British Harness Leather Pass Case

一体洋服屋のオリジナル商品というのは、その店の姿勢、真価が問われるべきものです。

以前も書いた通り、服作りを学んだわけでもそこに携わる仕事をしていたわけでもないうえ、自分のアイディアも想いも大して入っていない品にタグだけつけて「オリジナル」を名乗って販売する行為の欺瞞たるや。

いくら当店が貧乏零細商店であるとは言えど、そこへの抵抗感と短期的な利益を天秤にかけたとき、まだ後者には行かないぞという気概は捨てていません。

という前提ありきで、初のオリジナル商品の登場です。

服はさすがにまだ企画できませんが、店主はかつて生産管理担当者として革製品業界にいた人間。
意図を理解してくれる作り手さんとの出会いが、この挑戦を可能にしました。

都筑ふれあいの丘を拠点として吉田大祐氏が手掛ける4THE(フォーザ)は、手縫い、なかでも駒合わせという技法を得意とし、基本的にはオーダーメイドにて様々な革小物を製作する新進ブランドです。

ご近所であることもあり、お取扱いを検討し打ち合わせを進めていく中で、ふとパスケースの話題になりました。

最近はほんとうに便利な世の中になったもので、PASMOなどの交通系ICカードがあればコンビニはおろかマクドナルドや薬局など、幅広い場所で買い物ができますよね。

店主自身もちょっとそのへんに細かいものを買いに行くときは、PASMO一枚だけポケットに入れていきます。

財布に一緒に入れて持ち運ぶ方も多いとはいえ、夏場の移動など、やはりポケットに気軽に入るサイズ感というのは何かと便利です。

かつてはパスネットなども存在したため、複数カードの入るケースが重宝したものでしたが、現在はこれだけ収まればじゅうぶんではないでしょうか。

そこで、カード一枚を収めるという最小限の機能に特化しながらも、世界のどこへ出しても胸を張れるデザインおよび品質を徹底的に追求したパスケース製作の運びとなりました。

最も重要な革については、J&FJ Baker社(チャーリー君のベルトでも使われていましたね)のオークバーク鞣しハーネスレザー”Harness Back”を採用しています。

ハーネスレザーというのはあまり聞きなれない名ですが、これはブライドルレザーの一種で、ハーネス用としてより強度を高めた革です。
そのままだととても小物に使えない厚さのため、今回は2mm厚に漉いて使用しています。

オークバーク鞣しは古代ローマ時代より伝わる手法で、工程に一年以上の時間を要しますが、そこから生まれる革はずば抜けた耐久性を誇る最上級品となります。

ベイカー社では自社の牧場で飼育した牛を用いているため、市場の供給や品質の変動にも左右されず、生産数こそ限られながらも常にその品質が保たれています。

また、同社の革全般に言えることで、一般的にブライドルレザーにつきもののブルーミング(蝋分の浮き)がほとんど見られません。
これは蝋分が少ないのではなく、丹念に時間をかけて表に浮き出ないほど深くじっくりと浸みこませているためです。

皮本来の傷、血管痕、皺などは革になってもそのまま残され、また色落ちや色抜けも発生するため日本の百貨店的価値観での「綺麗な革」の部類には入らないかも知れません。
しかし、そうした表層のファッション性や合理性を超越した魅力に溢れる革と言えます。

パスケースは毎日、そして長年使い続けるもの。
それでいてハンドバッグなどと違いファッションアクセサリーにはなりづらい性質も備えています。
ゆえに、粗野ではあっても自然な風合いをもち、きわめて剛健なこの革が最も適しているのではと考えました。

肉厚で頑強至極につき、裏張りは施していません。
ですからケースの内側はバサバサしています。

この裏面がほどよい摩擦を持つため、ケース自体にカードを出し入れしやすい幅を確保しながらも、望まない場面で滑り落ちるような事態を防ぐことが可能となっています。

角はカーブをつけず鋭角的に落とし、カード一枚が収まるだけの構造ゆえのシンプルなデザインに、ほんのささやかなアクセントをつけました。

先述しましたが手縫いに長けた4THEさんによるものですから、当然このパスケースもミシンでなく手で縫われています。

縫製強度に優れているだけでなく、肉感的な程よいボリュームのある縫い目で、且つ裏表がなく、どちらから見ても美しいステッチワークです。

そのステッチについては、黒や白といった定番的な色のみならず、オレンジやピンク、パープルなどといったものも含め10色の中からお選びいただけます(画像サンプルはブラックの革×ダークブラウンの糸、ダークウラウンの革×パープルの糸です)。

このパスケースは完全受注生産品となっており、革(ブラックとダークブラウン)とステッチの色を指定の上オーダーいただいてから一点ずつ作ります。
納期はだいたい3週間程度とお考えください。

なお、専用の箱に収めてのお渡しとなります。

あまりこのブログでは価格のことには触れないようにしているのですが、素材や縫製など本質的な要素は極限まで突き詰めながらも、余計な機能や虚飾を削りきった(ロゴ等の刻印も不要と考え省きました)ため、ここまで作りこみながらも税抜き価格でアンダー一万円を実現しました。
来たる進学や就職などをきっかけとした若い方の新生活に向けてもお薦めできます。

店頭に製品サンプルや上の画像にもあるステッチサンプルもありますので、是非一度ご覧ください。

これからの日々を共にする相棒の配色について、きっと想像力が拡がるはず。

手前味噌と言われても、胸を張って誇れる自信作です!

オンラインストアからのご注文はこちらからどうぞ


今じゃ言えない秘密じゃないけど ~ blanc/ no collar long shirts

寒さの盛りではありますが、一月も半ばになり少しずつ気分は次の季節へと向かいつつあるころです。

店頭でも実際春物や澄んだ色目のものをご覧になる方が増えてきました。

blancから届いたこのロングシャツは、春のみならず真夏まで着られてしまいそうな清涼感に多少戸惑いつつも、先駆けた気分には心地好く映ります。

型自体はblancの定番で、当店でも素材違いをおよそ二年前に展開したことがあります。
お久しぶりでございます。

今回は乾いた質感と通気性がこれから嬉しいラミーと綿の混成生地が採用されました。

甘さを抑えつつもふわっとしたシルエットや背面のプリーツの取り具合が、ともすればストイックな印象を与えがちなノーカラーのロングシャツに可憐なエッセンスを加えています。

そこにアンティークやメンズのシャツを思わせるディテールを挿し込むことで、シャツ全体が引き締まります。

普段の装いからちょっとおめかしした場面まで難なく溶け込み、ちょっとした変化と清潔さをもたらしてくれる一枚です。

春本番はまだ少し先ですが、まずは手に取ってみてください。

オンラインストアはこちらです


delightful toolのオーダー会を開催します!

大好評のdelightful toolセミオーダー会、第三回の開催が決定しました。

今月最終週、1/27(土)~28(日)の2日間にわたり、ブランドディレクターの寺田さんが終日在店、計測からオーダーまで対応致します。

delightful toolならではの完成度の高い雛型をベースに、アッパーの革、底付けの製法、ソールや細かい仕様などを指定し、ご自身だけの一足を作れる魅惑のひとときです。

前回オーダーいただいた靴もどれもこれもが素晴らしい出来栄えでした。

具体的なオーダー方法はブランド公式サイト(記事は前回のイベントを前提とした内容ですが、基本的には今回も同じです)にもありますので、どうぞご参照ください。

ベースとなる靴は既成モデルとして当店にございますので、店頭にてその靴を参考にするのもよいかと思われます。

イベントまであと二週間、それまでの時間も含めてお楽しみいただければ何よりです。

皆様のお越しを心よりお待ちしております。


弥生の空は 見わたすかぎり 霞か雲か 匂ひぞ出づる ~ EEL Products/ サクラコート

今年もこのコートが並ぶ時期になりました。

お馴染み、EEL Productsの名品サクラコートです。

いつものブルー、

ウォルナットに加え、

今季の限定色”スミクロ”が登場しています。

うなじ部分のみに台襟を設けることで立て具合を綺麗に調節できる襟、

冷たい風に吹かれるときはしっかり留めることで首を守れる襟元のチンストラップ、

袖口や本体の裾などからちらりと覗く清潔な白い裏地など、

仕様はいつもと全く同じですが、モノトーンに統一されることで新鮮さが生まれていますね。

早速店頭でも動いており、実はこのスミクロ、1/11の時点でXSとSL(XLに相当)一着ずつのみしか残っていません。

ブルーとウォルナットもだいぶ在庫が少なくなってしまいました。

桜の咲くその前には無くなってしまいそうです。
是非今のうちにお手元へ。

オンラインストアはこちらです→ ブルー/ ウォルナット/ スミクロ


足もとにからみつく 赤い波をけって ~ ヒラキヒミ。/ P-38

当店でもお馴染みのRHYTHMOSカタルタをはじめ、桜島の噴煙の如く次から次へと魅力的な創作者が現れている鹿児島。

そんな薩摩の地から、またもや新しい才能が輝き始めています。

皆様、幼少時などにテレビアニメを観ていて登場人物の装いに憧憬を抱いたことはおありでしょうか。

鹿児島市に隣接する姶良市の加治木という町にて尾之上正成氏が発信する”ヒラキヒミ。(イヌイットの言葉で「自然の声に耳を傾けよ」を意味します)”は、『天空の城ラピュタ』のパズーなどのアニメーションキャラクターやチャップリンといった映画俳優、ピアソラの音楽など、ファッションというより他のカルチャーからデザインを着想している、ちょっと変わったアプローチの靴ブランドです。

今回当店にてご紹介の”P-38″は、誰もが知る怪盗の足元を支えるブーツ。

捨て寸を多めにとったぽってりとした爪先は最初から大きく反り返り、とぼけた表情を見せています。

ちなみにこの木型は”LUPIN”という名前だそうで。

丈の短いスリムパンツなんかと合わせれば…

まさにあの彼ですね。

もちろん見た目だけでなく、その品質も確かなもの。

靴では少し珍しいタンニン鞣しの剛健な革を用いたアッパーは、最初は硬いのですが履き込めば馴染んでいき、やがて得も言われぬ存在感を放ちます。

約一ヶ月ほど使用している店主の私物も、少しずついい顔になってきました。

厚い革底はマッケイ製法にて中底に直接縫い付けられています。

コバの張り出しを抑えたこの製法により、つま先のボリューム感がより綺麗に見え、また比較的重量を抑えることにも成功しています。

ヒールのトップリフトには粘りがよく耐久性に富み、どこか古めかしい雰囲気をもったフランスTOPY社のラバーが採用されました。

純粋にプロダクトとしてのみ見ても、よく考えられたいい靴なのがお判りいただけると思います。

余談ですが、製作者の尾之上さんは、介護福祉士や社会福祉士等の国家資格を持つ福祉のプロでもあります。

障害を持った方々と一緒に働ける作業場を作る、という思いが現在の彼の工房として結実しました。

当店としては倫理的観点は尊重しながらもあくまでモノの完成度ありきで取り扱いをジャッジしていますが、先日ご紹介したKNITOLOGY然り、福祉の視点を持った創り手が続々と今までなかった面白い動きを見せている流れは、このところ強く感じています。

このヒラキヒミ。も、この膠着した時代に風穴を開けるポテンシャルを秘めた逸材です。

その実力、是非店頭にてお確かめください。

オンラインストアはこちらです→ P-38
(完売後、製法などが若干変更され再入荷しました。後継モデルについてはこちらをご参照ください)


輝きながら 明日のドアをあけて ~ MASTER & Co./ グリッターシリーズ

ブログでのご挨拶が遅れ失礼致しました。
改めまして明けましておめでとうございます。

さて、現在新年&3周年セールを絶賛開催中なわけですが、それはそれで春の新作も着々と届いております。

その中から最高に新春気分の高まる(この時期しか使えないわけではもちろんありませんよ)パンツとトートバッグをご紹介したいと思います。

MASTER&CO.から、煌くグリッターテープを再度に配したチノパンと、

同じくグリッタープリントが施された軽快なショップトートです。


チノは当店でも昨年から継続展開中のものと同型同素材で、しっかりした密度の高いチノクロスで程よい太さに仕立てられています。
腰裏のサスペンダーボタンなど、本格的な仕様です。

洗いのかかった素材感と、キラキラしたテープが面白いコントラストを見せてくれますね。

テープは腰から裾の折り返しまで伸びています。

一方トートバッグはチノパンツと同素材、ステッチも同様です。

こちらはテープでなくプリントが施されています。

裏には綿のヘリンボーン生地が張られており、見た目以上に高い耐久性を備えています。

さすがに両者を合わせて使用するとくどすぎますので、どちらかを装いのアクセント的に用いるのがお薦めです。

店頭では、特にパンツから『HiGH & LOW』やその他暴力的な雰囲気を感じる方が散見されます(黒に関してはある程度想定していましたが、最近は白いパンツにこそ暴力の匂いを嗅ぎ取る方が増えているようです)が、どちらの色も穿いてみるとその素材感やシルエットのお陰でまったくそんなワイルドさはありません。

いつものスタイルへの朗らかなスパイスとして、どうぞご検討ください。

オンラインストアはこちらです→
チノパンツ ブラック×ゴールド/ ホワイト×シルバー
トートバッグ ベージュ×ゴールド/ ホワイト×ゴールド/ ホワイト×シルバー


3周年&新春特別アーカイヴセールを実施します

「なんでこんな人の来ないところに…」

と色々な方から言われ続け、もうすぐ丸3年になります。

細々ながら何とか生きながらえ、今年もユーフォニカ店主として年を跨ぐことができました。
皆様のお陰です。
ほんとうに有難うございます。

さて、毎年お正月には福袋をお出しして参りましたが、在庫バランスの関係上ちょっと難しく、今回はご用意できません。

その代わりと言っては何ですが、ちょうど3周年も近いことですので、過去に当店を彩った商品を中心に、大々的な感謝セールを実施することに致しました。

1/2より、該当商品につきましては30~80%割引の特別価格にてご提供致します。
秋冬物はもちろん、これから活躍するであろう春物も含めての展開です。

メンズ、レディースともに対象ですが、特にレディースに関しては(個々の差はあれど)ボリュームも割引率もお得な傾向となっております。

なお、対象商品の多くが店頭限定価格です。
オンラインストアでは定価のままのものも多くありますので、その内訳については是非店頭にて直接ご確認ください。

改めまして、今年も有難うございました。
2018年も宜しくお願い致します。