空と海 溶け合う日を夢見てた ~ CURLY/ HORIZON CAP SHOULDER HS TEE

その淀みない諧調の奥行きに、はたと言葉を奪われます。

地平線の名を冠したCURLYの新作は、偽りなくその景象を彷彿させる一枚です。

京都で着物の染色に携わっていた職人の手で製品染めを施されたことで、この調子高いグラデーションが現れました。

肩から上はパイル地に切り替えられており、

その素材の違いにより染まり具合も異なるため、またここでひとつの変化が生まれています。

なお、フットボールTを再構築したデザインにつき、運動性は非常に高く、それはこの切り替し部分と脇下の接ぎからも窺えますね。

そういったパターンの妙だけでなく、生地そのものものびやかなため、着心地は頗る快適です。

則ちふだんの生活の中で、気兼ねなくこの美麗な色の移り替わりを楽しめます。

店頭でもご好評につき、現在ラスト一枚を残すのみ。
気になる方はお早めにどうぞ。

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涙の数だけ働いて ~ HERVIER PRODUCTIONS/ Raglan Work Jacket

この週末は俄に暑くなって、すわもう初夏か夏かと言わんばかりの陽射しに面喰います。

が、それも朝晩は落ち着いたもので、まだまだ春のさなかであることを改めて思い知り、適切な上着の重要性も再認識させられるもの。
たとえばこんなジャケットを。

昨年ご好評のうちあっという間に完売したHERVIER PRODUCTIONSのワークジャケットが、マイナーチェンジを経て再びやって参りました。

今回はリネン100%の表地+コットンの裏地で、ジャケットに仕立てたのちに製品染めが施され、スモーキーな色調を帯びるとともに生地がくったりとこなれ、柔らかくなっています。

そんなわけでタグも染まっていますね。

袖付けはジャケットには珍しいラグランスリーブで、

胸ポケット、両脇のポケットが肩と並行しているため、ハの字のラインが全体として強調されています。

シルエットが独特なうえ着丈は短く、ジャケットというよりはブルゾン寄りかも知れません。

通常のテーラードジャケットではちょっと硬すぎるな、という方の春の羽織りものとして最高の一枚です。

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潮の流れの 目ざめの色に ~ Jens/ BLOUSON(MEN)

昨年初登場したJensのメンズラインが、今年も魅せてくれます。

漸う暖かくなってくると上着といっても軽快なものに気が向いてくるもの。

となればシャツにも用いる高密度ポプリンシャンブレーで仕立てられたこのブルゾンから目が離せません。

ネイビー、カーキ、どちらも見る角度で表情を玉虫色に変えます。
特にカーキだとその艶やかさがよく判りますね。

襟元や袖口など、ボタンはすべて本体と共生地くるみで目立たないようになっており、さらに全体的に縫い目がほぼ出ないようになっています。

こうして諸要素が禁欲的なまでに削ぎ落とされ、この服がもともと内包しているシンプリシティが次のステージまで押し進められました。

前立て比翼の下はファスナーです。

開閉の滑らかさに優れ、また金属の光沢が上品な、YKK最高級グレード”エクセラ”を採用しています。

このように細部までその美学が貫かれた、まさにJensそのものと言えるようなブルゾンに仕上がっています。

普段の装いに良質の緊張感を添えてくれる鋭角性を持ち、しかしその着心地や使い勝手には気が配られている、表現が適切かどうかいまいち自信が持てませんが、ツンデレなブルゾンと言えるかも知れません。

冒頭でも述べたように気候はまさにちょうどいい頃合い、是非早速のお試しを。

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二人で写真を撮ろう 懐かしいこの景色と ~ niuhans

一時期気温も下がって空模様も暗澹としていましたが、それもすっかり晴れてくれて、これから週末にかけてぐんぐんと暖かくなるようですね。

となると当店のいつもの流れだと(前回ご紹介のMAISON CORNICHONを例に出すまでもなく)明るく澄んだ色で、となるところですが、この時期なればこそこんな色目もまた新鮮ではないでしょうか。

男性用のポケット付きTシャツに、


(もちろん女性用の)ノースリーブワンピース、


niuhansらしいすっきりしたデザイン、そしてそれを引き立てるのは優美なカッティングととびきり上質な素材。
薄くはなくともいわゆる半袖スウェットとまではいかない中厚手の裏毛スウェット生地で仕立てられています。

画像で見るとその抑制的な深い色調と相まって、重たく暑く見えるかも知れませんが、実際そこまでの厚みがないだけでなく、滑らかな表面にさらりとした裏面で、これから一層気温が上がっても快適に着用可能です。

店頭でもご試着いただいた方からはその快適な着心地、そしてポケTなのにカジュアルに見えない品位の高さに驚きの声を頂戴しています。

それはリブのない襟元の仕様など、細かい点の積み重ねによるもの。

たしかな普遍性と、しかし雛型をなぞるだけでないその寡黙なオリジナリティがここにはあります。

男性にも女性にもこの魅力を知っていただくべく、Tシャツとワンピースというラインナップをご用意しました。

まずは一度袖を通してみてください。
デザインとはただお絵描きすることではないということが、はっきりと感じられることでしょう。

オンラインストアはこちらです→
Smooth Cotton SS Sweat Tee ネイビー/ カーキ/ ブラウン
Smooth Cotton Sleeveless Sweat One-Piece ネイビー/ カーキ/ ブラウン


幸せになるための恋のレシピ ~ MAISON CORNICHON

Cornichon(コルニション・小きゅうり)はきゅうりの一種で、学名は同じCucumis sativusです。

フランスでは中世の頃から栽培されていると云われており、今でもそのピクルスはそまま食べたりタルタルソースの材料に使われるなど、食卓の定番として彼の地で広く愛されています。

2016年、フランスの青年ティボー・ネグラ氏と2人の友人たちによって設立されたMAISON CORNICHON(メゾン・コルニション)はそんな小きゅうりの名を冠した新進カットソーブランドで、ピクルスを作るが如く良質の素材で”レシピ”に気を配りながら丁寧に製品を生み出しています。



彼らはTシャツをデニムと並ぶ優れた実用的な衣料品ととらえ、その本質的価値を追求しています。

大量消費を前提とした大量生産品ではなく、ロゴなどに依存しない、快適で、耐久性の高いものを。

フランス南西部ドルドーニュにて70年近くの歴史背景を持つ、とあるニット工場。
ここでは1950~60年代製の旧い機械を使っており、11人の精鋭が昔ながらの方法でMAISON CORNICHON製品を作っています。

この機械は操作やメンテナンスが厄介なうえ生産性が悪く、編むのに多くの時間を要します。
が、その生地はふわっとしたボリュームがあり、強靭さと柔らかさを兼ね備えたものとなります。

生地以外にも見どころがあり、まずは襟元をご覧ください。
幅広のリブは耐久性に優れ、かつ裏の縫い目はは布帛テープで覆われています。
そう簡単には伸びきることはないでしょう。

やや短めの袖丈がなんともフランスらしいバタ臭さを醸し出しています。

ただ、残念ながらこうしたディテールの説明や写真では伝わらない、驚くほどの生地ののびやかさ、柔軟な着用感こそがこのTシャツの最大の特徴ではありますので、そこは直接お確かめいただきたいところです。

当店では敢えて定番的な色は外し、フランスならではの春らしい3色を取り揃えました。

予報では今週末はずいぶんと暖かくなるようですし、この季節の流れに乗って、是非一度手に取ってみてください。

オンラインストアはこちらです→ ミレニアルローズ/ カリイエロー/ プラシッドブルー


Shake Hip! ~ RICEMAN/ Tapered Pants

改めて、どんなおかずにも合う白いご飯のようなブランドだと認識させられました。

RICEMANより届いたこのパンツのことです。

深い股上、ゆったりした腰回りからすっと裾に向かって細くなる形状で、リラックスした穿き心地と第三者から見た際のスマートさを両立しています。

生地はバックサテン。
超長綿の甘撚り糸を経糸に用いて織っているため、とても柔らかく滑らかな質感を備えています。

硫化染料ならではのスモーキーな風合いもまた魅力的ですね(ブラックもチャコールグレーのような色目です)。

前開きはジップフライとなっています。

トップボタンには生地の色目に合わせた水牛の角が採用されました。

腰は帯無し(共生地ウェストバンドを省略した仕様)です。
生地の重なりが少ないため、圧迫感の少ない開放的なフィッティングとなっています。

こうしてひとつひとつのディテールを覗けば細部までデザインの思考が行き届いているわけですが、それでいて冒頭にて述べたように合わせるおかずに悩まない、すぐれた汎用性を備えた逸品です。

昨年の座談会記事で「パンツは実はベースにならない。一番流行に左右されるし、ご飯でなくおかず的存在です」と発言したことは自分でも忘れていません。

しかしながら座談会での発言とはまた意味合いや前提が異なるとはいえ、このパンツならご飯にもなるかな、と思ってしまいました。
それが一体如何なるものか、気になる方は是非店頭にてお確かめを。

オンラインストアはこちらです→ ブラック/ ベージュ


女たちよ! ~ CABINET/ HAND WEAVE COTTON + DENIM REVERSIBLE TOTE BAG

スタンフォード大学で政治学を学んだ米国人サリー女史が、インドール藩王国のマハーラージャたるホールカル家の末裔と結婚し、インドに移住したのは1966年のことです。

マヘーシュワル(かつてインドール藩王国の都でした)の伝統的な機織業が瀕死の状況に陥っていることに気づいた彼女は、それまで男性中心だったこの仕事に於いて女性職工を支援することを思いつきました。

未来のない低賃金労働と見なされていた仕事に嫌気がさしていた男性、今までもっと過酷な労働に従事していたところから屋根のある所で安心して働けるようになった女性両者がその変化を受け入れ、結果として、この産業はめざましく回復していくことになります。

1978年、サリー女史は夫リチャード・ホールカル氏とともにマヘーシュワルにて非営利の慈善団体Rehwa Societyを設立、その後2002年にはRechaの運営を離れWomen Weaveを設立しました。

農村地域の女性を対象とした、収益性の高い、充実した、持続可能で尊厳のある収入活動を実現すること、それがWomen Weaveの目的です。

現在彼女はインド全域の若手職人にコンピュータの使用、英語などを訓練できる研究所の設立に向けて取り組んでいます。
それもすべては地域、産業、人のため。

現地の女性職工は彼女について聞かれれば、まるで神について話をするかの如く語るとか…

さて、そんなWomen Weaveの背景を活かし、英国ブランドCABINETがデザインしたコラボレーション品であるトートバッグが入荷致しました。


CABINETは英国在住の日本人デザイナー、トモコ・ヤマナカ女史が手掛けるニットブランドです。
このブランド自体は当店初登場なのですが、実は別名義のメンズラインを過去一度だけ取り扱ったことがあります。
気になる方はリンク先をどうぞ。
ハル・ノート ~ note & book ltd./ ジャージーカーディガン

閑話休題、このトートバッグは先述の通り表面はCABINETデザインの手織り生地(なお、現地のオーガニックコットンを原料に天然染料で染められた糸を用いています)となっているわけですが、
実はひっくり返して裏面のデニムを表面として使うことも可能です。

デニム面にはロゴのニットがアクセントとなった小さなポケット(これは内ポケットでもあります)が設けられています。

本業はニットブランドだという静かな主張が窺えますね。

また、それぞれのバッグには表地を織った方のサインが入ったタグが添えられています。
個人が手作業で織っているため、柄によって署名が違うのがまたそそられます。


昨年展開していたaiayu然り、ただ倫理的なだけでなく、ものとして純粋に魅力があった上でそうした背景がある、というのはとても大切なことです。

偽善よりも露悪が現実的な考え方と評価されがちな世の中ではありますが、そんな風潮のなかほっとさせてくれるような優しいバッグをお伴に、これからの爽快な季節を過ごしてみるのも乙なものではないでしょうか。

オンラインストアはこちらです→ ライン/ チェック/ スクエア


若草物語 ~ HAVERSACK/ 丸襟シャツ

涼しくなったり嵐になったり清々しく晴れたりと、日々絶えず変化を繰り返しながら、横浜も初夏に向かっているようです。

そんな中、店頭で注目度が上がってきているのがこちら。

白いオックスフォードに

若草色のリネン、

同じくリネンでネイビーのギンガムチェック、

と各種素材でそれぞれ異なる雰囲気を楽しませてくれる、ハバーサック定番の丸襟シャツです。

同ブランドが当店に初めて登場したときなど、同型は何度かこのブログでも紹介していますが、実はそれ以外にも紹介前に完売してしまったものなどがありまして、毎シーズン継続展開を行っています。

今季もすでに動き始めていますので、無くなる前に書かねば、と思った次第です。

首元のチンストラップや

アンティークを彷彿させる前立てなど、

仕様はいつも通りといえばいつも通りなのですが、説明の洩れていた箇所として、少し前に紹介したniuhansのシャツ同様のスプリットヨークが挙げられます。

肩ヨークの生地を中央で接ぎ合わせるようにして向きを斜めに配すことでフィット感や運動性を高める仕様です。

少し変わった形でありながら、一度袖を通せば唸ってしまう、それはデザインの特性だけでなくこうした細かい部分もきちんと気を配り、徹底的に作りこまれているからです。

今後も変わらず別柄別素材で展開を続けていきますが、この色が、この素材が、という方は是非お早めにどうぞ。

オンラインストアはこちら→
オックスフォード ホワイト
リネン グリーン/ ネイビーギンガム


ふたりの証拠 ~ MOSODELIA/ Christophe

桜花はほぼ散り切って、仲町台はすっかり若葉色に染まりました。

春も本番、このままいけば初夏もあっという間でしょう。

となると軽快なカットソーがだんだんと気になってくるもの。

そこでモソデリアからいっぷう変わったプルオーバーの登場です。

その名も”Christophe”、クリストフといえば一般的に思い出されるのは彼ですかね。
https://www.youtube.com/watch?v=W-oFqCVNnbM

そんな北欧を彷彿させる名の通り、彼の地の民族模様が載った布帛を袖に配した、ハイブリッドなデザインとなっています。

この袖の生地はテンセルとスイスコットン混成の”テレス”です。
さらりとした柔らかな肌触りはこれからの時期に快適至極でしょう。

一方胴部分もまた上品な艶となめらかな質感を誇る新彊の超長綿を編み立てた天竺を採用しています。

これらの組み合わせゆえ、素肌に快く、着心地はすこぶる良好です。

その品質と、一枚だけで様になり、大人の着用に堪え得るデザインが合わさればあとは何を求めましょうか。

悩むべきは黒かブルー、どちらにするか、それだけです。

オンラインストアはこちらです→ ブラック/ ブルー


たとえばそう ひたすら一本の愛を君に ~ KIMURA/ yoke_1_L.S.

その独創性豊かなデザイン、美しい仕上がりで、袖を通した方に驚きを与えるKIMURAのシャツ。

今年もKIMURAらしさに満ちた新作が届きました。

ヴィンテージのダービージャケットに着想し、背面のヨーク(切り返し)をそのまま延長してシャツ自体を一周させ、その下から袖が付けられた仕様です。

KIMURAのシャツは、すべてアトリエでデザイナーの木村さん本人によって仕立てられています。
それをふまえた上でこのシャツを眺めてみると、その労力におののくばかりです。

背面にはギャザーが寄せられ、運動性を確保するのみならず、ふわっとしたシルエットを生み出しました。

下半分は逆にオーソドックスな仕様で、それが却ってこのヨークを引き立てています。

これから一層暖かくなり、上着を脱いでシャツ一枚となる時候へ変わっていきます。
いつものシンプルな装いにほんのひと振りのスパイスを加えたい、そんなときに最高の手助けとなってくれるのではないでしょうか。

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