いちご水を入れた透明なビン それを突き抜けた光が ~ Rencontrant/ 12G LS CN PAPER

ここ数日は風がきりりと冷たく、夜などはすわ冬の帰還かとおののくばかりですが、それでも陽射しの強さは確かに春のそれであり、そして初夏がそう遠くないことも教えてくれているようです。

そのためか、スプリングコートなどの上着と並び、Tシャツや薄手のサマーニットをご覧になる方は確実に増えてきています。

気がつけば残り一枚となってしまったこのニットのご紹介を、急がねばなりません。


鮮烈ないちご色が瑞々しいこの編地は、ポリエステルと和紙が用いられています。

薄くて風通しが良いだけでなく、さらさらと乾いた肌触りで、肌離れがよいため、初夏から真夏に至るまで快適に愉しめます。

襟周り、袖口、裾のリブの端はレースのように透かしが入り、甘ったるくない程度に柔和な印象が生まれました。

男性用のニットであるにも拘わらず女性のお客様がご覧になることも多いのは、この中性的な雰囲気によるものかも知れません。

こんなに素敵な色でありながら、なんと当店しかオーダーしなかったらしく、実質当店エクスクルーシブ(大袈裟…)となっています。

このブログを書いている時点ですでにLサイズ一枚を残すのみ。

気になる方は、どうぞお早めに。

オンランストアはこちらです


勇気の鈴がりんりんりん 不思議な冒険るんるんるん ~ EEL Products/ SUN PANTS BAKER

ベイカーパンツには不思議な魅力があります。

正面に堂々と貼り付けられた大きなポケットに、フラップつきのバックポケット、そしてバックサテンのくすんだ色。
お洒落とか洗練とかとはまた違う、道具ならではの心地好さは、時代やトレンドを完全に超越しています。

しかし、このバックサテン、タフなのはいいのですが、そんなに厚手でもないわりに、真夏にはちょっと暑いんですよね。

それでも我慢して穿くか、あるいはいっそ涼しいものを作ってしまうか。
EEL Productsのデザインチームは、後者を選びました。



その名もSUN PANTS BAKER。
ただの薄手のベイカーではなく、夏の定番SUN PANTSをベイカー仕様にした、ハイブリッドモデルです。

さらりとしたタイプライター生地にベイカーパンツならではのディテールを載せ、

背面のみにゴムを配し、実質的にイージーパンツとしています。

軽く涼しい穿き心地、シャツでもTシャツでも軽快な装いであれば難なく対応してしまう汎用性、初夏から真夏にかけて大いに活躍するであろう一本です。

まだ涼しい今のうちに、どうぞお手元へ。

オンラインストアはこちらです→ ベージュ/ オリーブ


真を込めて尽くしたあとの あとの一手が値打ちを決める ~ Handwerker ASEEDONCLOUD/ HW collarless shirt

毎シーズンご好評いただいておりますHandwerkerのノーカラーシャツが、今年の春も届いています。

ピンポイントオックフフォードやストライプ柄のタイプライターなど、過去さまざまな素材で展開されてきましたが、今回用いられているのはコットンのバリエーションではなく、リネンです。



40番手のリネン糸で織り上げ、染色後に優しく叩きほぐすことで、清涼な通気性はそのままに、ふんわりした風合いを生み出しています。

デザイン、サイズ感の変更はほぼありません。
洗濯可能な紙パッチもいつも通り。

さて、前文で「ほぼありません」と述べたのは、ここが今回から新しくなったからです。

判りづらい画像でたいへん恐縮ですが、いちばん上のボタンのみ、Handwerkerを表す”HW”と、”lehrling”の文字が刻印されています。

ここでちょっと脱線し、ドイツのマイスター制度について簡単な説明を。

中近世のドイツでは、職人が各地のマイスター(Meister:親方)を訪ね歩く遍歴修行の旅が行われていました。

こうした遍歴は14世紀にはすでに行われていたようですが、それが職人の義務とされたのは15世紀に入ってからで、16世紀には全国的に広まり、1731年にはドイツ全域にわたって法文化されたとか。

そもそもは各都市に於ける人口増加と都市経済の規模が頭打ちになったことに端を発します。
各都市のツンフト(Zunft:手工業職人ギルド)が親方株を一定数に限定し、それでも毎年修行を終えた職人の数は増える一方だったため、親方に並ぶ腕を持つ職人でもマイスターになれない、つまりどんなに修行に勤しんでも将来の見通しが立たないといった事例が増えていきました。

ツンフトはマイスターを中心とする絶対的なヒエラルキー構造の組織で、職人や徒弟にはじゅうぶんな社会的地位が認められていませんでした。
当然のことながら、そんな支配下のまま将来への道を断たれた職人たちは不満を感じ、マイスターとの対立が生じるわけです。
こうして鬱憤を抱えた職人たちが街に溢れるのは一般市民にとっても治安上望ましいことではなく、この対立はいつしかマイスターと職人だけの問題ではなくなっていきます。

そこでこの遍歴システムが考え出されました。
つまり修行を終えた職人が親方承認審査を受ける前に数年にわたり各地の同職組合を廻り、現地のマイスターの下で経験を積む、ということです。
この職人の流動は、親方への昇進を延期或いは阻止しながら、不満を抱えた職人の過密化を解消するだけでなく、経済発達中の地域への労働力の一時的補強につながり、当初はかなり有効な手段となりました。
また各地の職人の交流によって、言語、民俗、文学などの発達にも大きく寄与したようです。

しかし、やがてこの遍歴職人でさえ増加に伴い就労率が下がり、またツンフトそのものも独占的な性質を保ったまま腐敗して、崩壊への道を歩み始めます。
そこに起きたのが産業革命。
急速な工業化は社会構造をがらりと変え、営業自由実現の気運が高まっていきます。
そしてついにこのツンフト制度は、1869年の営業条例によって廃止されました。

一方で、手工業従事者たちは滅びかかっていた同業者組合イヌング(Innung:工業会議所)を発展させ、1897年の手工業保護法によって公益法人として手工業会議所を発足、正式に資格証明制度を導入します。
ここでマイスターのみが見習いに指導できることや、独立して事業を開始できることなどの決まりをあらためて定めました。
その後、社会の変化などに応じて改正を重ね、現行の制度へと引き継がれています。

現在マイスターの資格は手工業マイスターと工業マイスターの2種類に分かれ、ドイツを支える重要な柱として、その称号を得た多くのプロフェッショナルたちが活躍しています。

もちろん、いまもマイスターの資格を取るためには、何年も修行して多くの経験を積み、厳しい試験を乗り越えなくてはなりません。
また何より、ゲゼレ(Geselle:職人)の資格が必要となります。

まず最初はみな、レアリング(Lehrling:見習い)と呼ばれる段階からスタートします。

職業訓練コースの中等学校であるミッテルシューレ(Mittelschule:ドイツでは基礎学校を卒業する10歳で進路を決め、大学に行くのか、企業での一般就職を目指すのか、職業訓練を受けて専門職として働くか、この選択によって進学する学校が分かれます)卒業後16歳より始められますが、18歳くらいが多いそうです。

そして約3年間の実習期間中に、企業などで勤務しながら専門的な実技を学ぶのみならず、簿記、そして一般教養や外国語会話、政治や宗教学など、社会人になるための基礎講座を履修します。

ちなみに、これらの授業料はすべて税金でまかなわれ、逆にお小遣い程度の賃金も貰えます。
経済環境が教育環境に直結しがちな我が国とは違いますね。

その後、職人になるための国家試験(筆記と実技)に合格して、ようやくゲゼレを名乗ることが許されます。
マイスターへの道は、遠く、嶮しい…

さて、読み飛ばした方も多いかと思いますが、このマイスター制度の説明のなかで触れたlehrling。
ボタンに刻まれていたのは、見習いを表すこの称号です。

そして、品質表示タグに縫い留められたスペアボタンには…”geselle”の文字が。

つまり、ボタンがとれるほど着こんで、スペアボタンを使うころになれば、ようやくこのシャツもゲゼレに成長しているというわけです。

まさしくHandwerker(手工業者・職人)ならではの密やかなユーモアが、ここに込められています。

オンラインストアはこちらです→ ブラック/ オフホワイト

参考文献
阿部謹也『中世を旅する人びと―ヨーロッパ庶民生活点描』ちくま学芸文庫
藤田幸一郎『18世紀ドイツの職人遍歴』一橋論叢(1991-06-01)
後藤俊明『ドイツ第二帝制におけるイヌンクの再編成』經濟論叢, 122(5-6)(1978-12)


ぼくも帰ろ おうちへ帰ろ ~ LUNGE

暖かくなれば散歩も楽しくなるもので、となると何よりも歩きやすい靴の必要性が増していくわけです。

“HOME OF THE FEET”を自ら称し、当店でも「歩きやすい靴」の代名詞的存在であるLUNGEが入荷したのがちょうどつい先日のこと、何て素晴らしいタイミングでしょう。

まずはInteger Walk Reboundの、当店では初展開となる配色”ダークグレー×ウィート×グレー”。


マイクロファイバーのアッパーは、型崩れしにくくしっかり足を固定してくれるのに、なぜか圧迫感がありません。

通気性、排湿性にも優れているため、長時間の歩行でも蒸れず、マメの発生も防いでくれます。

そしてポリウレタンを用いた自社開発のミッドソールは、その名が示す反発力だけでなく、スポンジのようなクッション性を備えています。

アウトソールは舗装路に向いた仕様です。

素材自体が耐摩耗性に優れているうえ、減りやすい踵の外側部分がやや厚くなっている、この控えめな気配り。

以前入荷し、すぐに完売してしまったシルバー基調の配色も、今回追加入荷致しました。

このReboundに加え、同じくInteger WalkシリーズのCushionも届いています。

昨年末ごろからお問い合わせの増えている、”リコリス(オールブラック)”。

そして同じくリコリス配色で、レディースモデルも入荷しました。


かつてLUNGEの定番として長く愛されたAdagioの後継機種Classic Walkです。

こちらはIntegerシリーズに較べ、安定感を重視した構造となっています。

ところで、ご愛用者の方にはお馴染みですが、LUNGEの極上の履き心地のひとつの大きな要素が、中敷”Feetality”です。

ラテックスで足の形に沿って一体成型され、破格のクッション性とサポート力を生み出しています。


その快適さゆえに、「ついつい履きすぎて、どうしても中敷が傷むんだよね」というお客様の声がちらほらと届いていたため、スペアの中敷の販売も開始しました。

LUNGEの靴はもちろん、他社の靴の中敷と交換して履き心地を向上させてしまうのも手です。

ますますラインナップの充実したこの春のLUNGE、お待ちいただいていた方も少なくなかったようで、すでに一足また一足と巣立ち始めています。
どうぞ、この機会をお見逃しなく。

オンラインストアはこちらです→
Integer Walk Rebound ダークグレー×ウィート×グレー/ シルバー×スノー×ホワイト
Integer Walk Cushion リコリス
Classic Walk W リコリス
Feetality Insole


FACYにてHAVERSACK ATTIREのコートをご紹介いただきました

FACYの本日公開の記事にて、HAVERSACK ATTIREのミノテックスフィッシュテールコートをご紹介いただきました。
有難うございます!

【突撃!巷の隠れヒット品番】〈ハバーサックアタイア〉のミノテックスフィッシュテールコート(仲町台Euphonica) – FACY MEN

実際、人気品番につき、現時点で残り在庫も一点のみとなっています。

気になる方は、どうぞお早めに!


袖ぬるる 泥とかつは 知りながら 下り立つ田子の みづからぞ憂き ~ HAVERASACK/ 泥染リネンノーカラージャケット

4月になりました。
多くの人にとって、新しい環境、新しい生活の始まりの日です。

長らく空いたままだったお隣りの物件にはなかなかに存在感の強い不動産屋さんが入られ、仲町台の景観も変化とは無縁ではいられないようですが、当店は相変わらずのんびりと営業しておりますので、引き続きどうぞ宜しくお願い致します。

さて4月ともなれば暖かさも増し、薄い羽織ものの出番が増えてくるころでしょう。

シャツなどの上にさらりと纏えば、清々しい風を適度に防いでくれる、そんな一枚がうれしくなります。

たとえばハバーサックのこの新作のように。

1930~40年代のフランスのハンティングベストに着想し再構築されたこのノーカラージャケットは、語りどころの多い服です。

使用しているのは、60単糸のリネン強撚糸で高密度に織り上げられた生地を使用しています。

リネンは、特有の節や糸切れのため、高密度に織り上げることが難しい素材です。
そこで一度糸を湿らせた状態で撚りを強くかける(「水撚り」と呼ぶそうです)ことで、それを可能にしました。

この生地の表側にあたる面に特殊な薬剤(企業秘密だそうで、詳細は公開されていません)を塗布して泥に漬け込むことにより、表裏の濃度の異なる褐色に染め上げています。

泥染はすべて手作業で行われるため、均一にはならず、また摩擦や水濡れによって色や風合いに変化が生まれます。
新品の状態でも、すでにその予兆が見られるほど。

これはある一面からするとネガティブなことかも知れませんが、素材の魅力を知る人にとっては、たまらない特長です。
着込み、洗いこむと、いったいどんな素晴らしい表情となるのか、期待に胸が膨らみます。

そして、2つ目の大きな特徴として、ポケットが実にユニーク。
胸ポケットから脇へ続く、独特のデザインです。

何がどうなっているのかは、是非実物にてお確かめください。

全体的なバランスとしては、着丈が短く、身頃幅と袖にボリュームのある形です。

股上の深いパンツなどと合わせてそのまま着るだけでなく、その短い着丈を逆手にとって敢えてバンドカラーのロングシャツなんかに重ねても素敵だと思います。

もちろんこれはあくまで一例、強い服ならばこそ、どうにでも対応できるしなやかさを持っていますから、どうぞお好きなように、ご自由にお楽しみください。

オンラインストアはこちらです


臨時店休日のおしらせ

昨日を以て、本年のORDER BORDERが閉幕致しました。
お越しいただいた皆様、有難うございました!

さて、突然ですが明日3/30は、店主私用のため臨時店休日とさせていただきます。
水曜は定休日ですので2連休となり、次回の営業日は木曜日です。

ご不便をおかけしますが、宜しくお願い致します。


木綿疊 手向の山を 今日越えて ~ niuhans/ Typewriter Cotton Resilient Vintage Wash LS Shirt

当店には、そのときの流行がどうであれ、つねにシャツをお探しのお客様が一定数いらっしゃいます。
夏も冬も関係なく、シャツは欠かせない重要なアイテムです。

なかでも、春が本気を出し始めたころから夏にかけては需要が増し、そのためいまの時期は店内に多くのシャツが並ぶこととなります。

数あるブランドのなかでもっともプレーンなシャツを得意とするのが、言わずと知れたniuhans。

今季の新作も、型はシンプルながら、素材と色でフレッシュな気分にさせてくれます。



小さな襟、鋭角的な肩、すっきりしたシルエット、繊細な縫製は、いつものniuhansのままです。
世のトレンドなどお構いなしに、清潔で、透徹な道を歩み続けています。

このちょっとポコポコした質感の生地は、コットンの高密度タイプライター。
近江晒しと呼ばれる技法を用いてゆっくりと揉み洗いを行い、この独特のふっくらした質感を生み出しています。

軽い羽織ものと合わせてもよく、もちろん単品でも使いやすく、たいへん重宝する一枚となることでしょう。

早くも桜の盛りは過ぎて、若葉がどんどん芽吹いてきました。
シャツの気分は、日に日に高まるばかりです。

オンラインストアはこちらす→ キャメル/ ベージュピンク


いちばん素敵な 恋の魔法をはじめよう ~ Padmore & Barnes

温暖になるにつれ、気楽な靴が履きたくなっています。
スニーカーだけでなく、革靴でも、力の抜けた、のんきなものを。

その気分の高まりにあわせ、春の提案として、当店では初登場となるブランドをご用意しました。

40代くらいの方には懐かしいのではないでしょうか、Padmore&Barnes(パドモア・アンド・バーンズ、以下P&B)。

P&Bは1934年にアイルランドのキルケニーで創業した靴工場です。
1964年には英国C.&J. Clark社の傘下となり、”Clarks”名義の数々の名品を生産しました。

世界的に販路の拡大を図るClark社の望む生産規模を持ち合わせていなかったこともあり、1987年には資本関係を解消、MBOによって再度の独立を果たしています。

店主の記憶によると90年代後半…1997年ごろまではアイルランド製のClarksは普通に販売されていましたので、その後しばらくはClarksの工場として仕事を請け負ってはいたようです(ただ、これについては資料が見つからず、推測の域は出ていません)。

しかし、大手直属の下請け工場として過ごす時間が長すぎたためか、経営はうまくいかず、2003年に廃業してしまいました。

ところが2012年、Frank Bryan氏により創業の地キルケニーにて復活。
生産国こそポルトガルに変われど、当時の木型をそのまま使用し、あのころの面影と変わらぬ靴を今に至るまで作り続けています。

木型の話をもう少し掘り下げますと、1960年代からClarksブランドの靴の生産に使用していた木型は、現在Clark社ではなくP&Bが所持しています。

ゆえに、往時の雰囲気で同型の靴を手に入れるとなると、P&Bは有力な選択肢として成立するわけです。

さてそんなP&Bからは今回2型が届いておりまして、まずご紹介するのはこちら。



もはや一般名詞「ワラビーブーツ」としても通用するほどの名品”Wallabees”のP&B名義モデル、”ORIGINAL”。

“ORIGINAL”の名然り、中敷表記の”Originals”、”Designed in Ireland”といっても、べつにP&Bが考案したわけではないのですが、もっといえば実はこの靴、Clarksが最初に手掛けたのでもありません。

真のオリジナルは、ドイツSioux社の”Grashopper”です。

代々アメリカに住んでいたドイツ系移民の末裔であるSiouxの創業者Peter Sapper氏は、アメリカの優れた靴であるモカシンをドイツの市場向けに作るビジネスを思い立ちドイツに帰還、ブランドにもモカシンを彷彿させるネイティブアメリカンのスー族(Sioux)の名を冠し、Grashopperを発表しました。

このGrashopperに目をつけたClark社は、Siouxとライセンス契約を締結。
その数年前に買収したP&BにてGrashopperを生産し、販売数に応じたロイヤリティをSiouxに支払うこととなりました。

そして英国を越え海外展開を計画、アメリカ進出の準備をしていると、すでに”Grashopper”の商標が登録されていることが判明します。
そこで、袋のような靴→有袋類のイメージから、WallabyをもじったWallabeesと名づけました。

余談ですが、なぜかSiouxとの契約では当初Clark社の名は出せなかったようで、P&Bが生産した”Moccasin”なる謎ブランドの靴として販売されたとみられる写真が残っています。

あらためて靴を見てみますと、ここしばらくのトレンドから完全に隔絶されたデザインが、いまとても新鮮な輝きを放ちます。

前述の通りWallabeesの名の由来となった、足を覆うように包み込む、肉感豊かな袋状の構造。

木型はやや細めで、現行のClarksにくらべすっきりした輪郭を描きます。
斜めに流れるスクエアトウも特徴的ですね。

天然ゴムを使用したクレープソール。
屈曲性に優れ、また自然なクッション感もあり、春の軽快さを引き立てます。

この素材はどうしても汚れが付着しやすく、すぐ黒ずんでしまうため、最初から濃色のものも出てはいるのですが、汚れるのもクレープソールの経年変化のひとつとらえれば、自然な風合いの淡色こそ儚い美しさを感じるものです。
ゆえに、敢えて白色のものを選びました。

さて、もうひと型の”WILLOW”もご紹介せねば。



靴全体をぐるりと囲むハンドステッチが印象的なこのモデルはClarksでは”Weaver”という名でリリースされているもので、Wallabeesを下敷きとしてClarksとP&Bで共同開発されました。

ORIGINALにくらべ肉薄の履き口から、

円みを帯びたシルエットがふんわりと拡がります。

見た目通りに、圧迫感のない、開放的な履き心地です。

こちらも白色のクレープソール。

店主もさっそくこのWILLOWを履いていますが(お客様分とは別で自分用に一足追加して発注しました)、実に快適で、足取りも心も軽くなります。
薄いベージュが少し煤けてきて、それがまたとてもいい具合です。

どちらの靴も独特の魅力に満ち溢れ、格好つけすぎない大人の普段履きとして、ひとつの最適解ではないでしょうか。

まずは初回ということで少量のみの入荷です、気になる方はお早めにどうぞ。

オンランストアはこちらです→
ORIGINAL MID テラスウェード
WILLOW MID ライトベージュスウェード


シルキー・ハート ~ Rencontrant/ 12G LS CN SILK

生活様式の変化のためか、今年は春物のニットをお探しの方が例年より多く見られます。

もちろんどれもこれも胸を張ってお薦めできる逸品のみを選んで仕入れていると自負してはいますが、その中でもトップクラスの上質感を楽しめるのが、こちらです。


久々のご紹介となりました、Rencontrant。

旅とニットを愛するフランス人デザイナーSara Dubois女史がディレクションを行い、彼女が旅先で出会った人や生産地の思い、技術を伝えるべく素材や工場を選定してニットを生み出すニットブランドです。

このニットの生産は、そうして彼女が知り合った日本の工場で行われています。

意匠については、何も申し上げることはありません。
ご覧の通りのクルーネックニットです。

しかし、実物を手にされた方は皆さま「エッ」と驚かれます。

それもそのはず。
きわめて高品質のシルクをふんだんに使用し、もっちりとした質感が出るほどの厚みで編み立てた、贅沢極まる一枚なんです。

上品な艶、とろみ、さらりとしつつも潤いのある肌触り、心地好い重み…言葉では到底伝えきれない官能性が、ここにはあります。

オンラインストアはこちらです