いいじゃないか キャンバスは君のもの ~ yojiomi shoes & crafts/ card case

「緊急事態宣言の準備入り表明見通し」なんてまだ何もしてませんと同等の速報が昨夜流れ、けっきょく明日正式に宣言の予定となったそうですが、きちんとした補償が出るならこれに合わせ当店もしばし休業を検討しますし、出なければ座して死を待つか変わらず営業を続けるかを迫られることになります。

補償については嫌な予感しかせず(それが外れることを祈ります)、実際内容を調べても今までの自粛要請とあまり変わらないとはいえ、さて今後の身の振る舞い、どうしていくべきでしょうか。
のっぴきならないとはまさにこのことです。

ただこうしてクダクダと戯言を書いていられるのもまだある程度の余裕あればこそ、ニューヨークの様子を見るに2週間後くらいがわれわれ日本人にとって大いなる局面となるのかも知れません。

と、ついつい陰鬱な話ばかり垂れ流してしまう昨今ではありますが、舞い散る桜の下、多くの人々が大きな希望と一抹の不安を抱きながら新生活の一歩を踏み出す季節でして、学生さん、新社会人の皆さんのみならず、フレッシュな環境を迎える方は実際のところ多くいらっしゃるわけです。

となると新調したくなるのが名刺入れ。

せっかくの春です、こんな暗澹とした時代への抵抗の意も込めて、絢爛極まる美麗な逸品をご用意しました。

以前のブログで今季の新ブランドはsmoothdayだけとお伝えしていましたが、緊急参戦。
ご紹介しましょう、yojiomi shoes & crafts(ヨウジオウミ シューズアンドクラフツ)。

その銘の如く本来は靴に主体を置いたブランドで、靴職人である近江洋司氏によって2017年に発足した新星です。

ハンドソーンウェルテッドシューズの技術を基盤とした完成度の高い靴づくりは前提として、最大の特徴は色使い。
近江さんご自身の手によって染色が施され、実用品としての靴を超える新たな価値が吹き込まれています。

名刺入れにもこの染色技術が活かされ、お好みに合わせ2種類の革からお選びいただけます。

まずはタンニン鞣し。いわゆるヌメ革です。

使い込むほどに色が深まり、コクのある艶が生まれます。

もう一方が白鞣し。

その名の通り無染色状態の色が白という、実はかなり珍しい種類の鞣しが施された革です(余談ですが、一般的に無染色だとタンニン鞣しの革は淡いベージュ、クロム鞣しだと青みがかった灰色になります)。

染料を遮る地の色がないため、たいへん鮮やかに、透徹な調子で仕上がるのが大きな魅力です。

また、一枚の革を糸留めしただけの禁欲的な構造でありながら見た目以上の収納能力を備え、20枚程度は難なく収めてしまいます。

すべての名刺入れは近江さんがそのときの気分、感覚で染め上げるため、似た系統はあっても同じ表情のものは存在しません。

皴や細かい傷など革の自然な風合いをそのまま残して用いられていることもあり、どれもこれもが独自の顔つき、まさしく一期一会です。

本当であれば店頭でひとつひとつ吟味してお選びいただきたいところですが、さすがにそうも言っていられませんので、全部ではないもののオンラインストアでもご購入可能となっています。

気の沈みがちな世だからこそ、心ときめく一品を。

オンラインストアはこちらです


溜め息の後の インディゴ・ブルーの果て ~ HAVERSACK/ ライトデニムワークジャケット

わが県もご多分に漏れず現実的な補償の話などほぼないまま週末ハ外出ヲ自粛セヨとのお達しが下されるも、その声が民に届いていないのか無視されているのか、なんだかんだで天下の往来人繁し、だからといって多くのお客様が当店にいらっしゃるかといえば、いえいえまったくそんなことはございません。

かく言う当店にしたって自粛しようにも生活の糧を得ねばなりませんので通常営業しているわけですが、マ、結果的に自粛しているようなものです。

こんな曖昧な日々が続く昨今、それでも有難いことにご来店されるお客さまのなかで、少なくない方々から熱い視線を集めているジャケットがこちら。

デニムのワークジャケット、その二つの要素が絡み合う属性はGジャンでないにしたって良くも悪くも無骨で粗野な味わいが特徴と言えます。
ところが一体これはどうしたことか、すっきりと洗練された雅味に満ちているのだから油断なりません。

流麗な曲線を描くラペルが目を惹きますが、この返しを無視してボタンを上まで留め襟を立て、チンストラップを装着することでスタンドカラーのジャケットにも様変わりします。

両胸両脇に設けられたベロウズポケット。
マチが設けられ収容力に優れています。

ポケットの角など要所要所に入れられた閂止めステッチの糸は敢えて白色が用いられ、実用面のみならず、清涼なアクセントにもなりました。

意匠の話が続いてしまいましたが、なだらかな肩の傾斜の美しさ、腕に沿う袖、身に纏うことで改めてさすがハバーサックと唸らされます。

裏面の丁寧な仕事ぶりもまた、このブランドの強さ。
目の肥えた服好きも納得です。

薄手の生地ですから、春に限らず夏の冷房除けであったり夕涼みの羽織ものとしても有用でしょう。

どうしても気の塞ぐ先行き不安な時代だからこそ、服を通して少しでも楽しい未来を想起する、それは決して無駄ではなく大切な自衛策だと確信を新たにする今日この頃です。

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すばらしくて NICE CHOICE ~ EEL Products/ NICE PANTS

EELの服の大きな特徴のひとつが商品それぞれに授けられた名前ということに異論を挿む方はそうありますまい。

言わずと知れたサクラコートを筆頭に、少年パンツ、エレベストなど、一捻り二捻り、ときに半捻り程度、或いは捻り過ぎてどこへ向かうのか、かのように思い浮かぶもの多々ございます。

その中に異様な存在感を放って割り込んできたのが、このNICE PANTSです。

ナイスパンツ。

ナイスなパンツ。

いくらなんでも安易に過ぎるのではとハラハラします。

しかし、そんな名前を付けたくなるような完成度であることは期待させてくれます。

素材は目にも肌にも涼しいコットンリネン。

すとんとした幅広の形状にやや短めに設定された裾丈(9分丈くらいです)と相まって、春はもちろん真夏まで快適にお楽しみいただけます。

また、いっぷう変わった仕様も装備されておりまして、ひとまず腰の裏面をご覧ください。

ここですね。

この謎めいたエラスティック素材のバンドは両脇の腰内部に通されており、ボタンを外してぐっと引っ張ることでウェスト自体を絞ることができます。

バンドを留めるボタンはそのためのものです。

全体にバンドが通されているわけではありませんので、絞っても両脇にギャザーが寄るだけで、前面後面の見た目上の影響はごく軽微に抑えられています。

体型やお好みのシルエットにあわせ大いに可能性を感じさせてくれる仕様、そして爽やかな素材使いに上品なルックス。

ウムム、認めざるを得ません。
これはたしかに、ナイスパンツです。

オンラインストアはこちらです→ オリーブ/ チャコール/ ネイビー


セパレイト・ウェイズ ~ YOAK/ JOURNEY

悪天候、サーバーのトラブルが相次ぎ、久々の投稿となってしまいました(天気が悪いと店内が暗くなり、商品撮影ができないのです…)。
皆様ご無沙汰しております。

その間にも浮世の状況は混沌とするばかりで、憤懣やる方なしといったところですが、何のなんのとお構いなしに素敵な商品が次々届いているところです。

革靴とスニーカーの中間に位置した靴を武器に、ブランド立ち上がりから数年をかけて独自のポジションを築いてきたYOAK。
そうして培った流儀はそのまま軸として、ここに新しい風が吹き始めています。

その名の通り旅など行脚を支えてくれる頼もしいテクニカルモデル、JOURNEYの登場です。

アッパーは耐摩耗性の高いコーデュラナイロンと牛革スウェード。

履き口は伸縮性に優れたスパンデックスを採用し、沿うように足を包み込みます。

靴紐はプラパーツで調整、緩みにくいだけでなく、脱ぎ履きの多いシチュエーションだととくに有難いのではないでしょうか。

Vibram社製のミッドソール一体型ラグソールは、当然のことながら高いグリップ力と強度を誇り、また見た目以上にやさしいクッション性も備えています。


ここにYOAKならではの低反発フォーム+豚革のインソールが加わるわけですから、

その履き心地と安定感たるや、どこまででも歩いて行けそうな心持ちにさせてくれます。

アウトドアブランドやスポーツブランドの同等品にくらべ落ち着いたルックスですから、日常の相棒としてもその実力を遺憾なく発揮してくれることでしょう。

コロナ禍が終焉し、この靴で自由にどんどんいろんな場所へ繰り出していける、そんな日が一日でも早く来ることを祈ります。

オンラインストアはこちらです


ORDER BORDER、本日まで!

日々悪化の一途を辿るコロナ禍のなか開催中のORDER BORDERも、ついに千秋楽。

県からの週末外出自粛要請(ただ昨日の様子を見ると、守っている方、もといご認識されている方自体少ないようでした)にくわえ、ここに来てまさかの雪ではありますが

最終日ですし、本日は告知通り16:00まで営業しております。


今週末の営業について

外出自粛要請が発表されたことを受け、ORDER BORDER終盤ではありますがこの週末の営業時間を下記の通りに変更致します。

3/28(土) 12:00-18:00
3/29(日) 12:00-16:00

通販の発送やお問い合わせ対応、また最終日のイベント撤去作業でどちらにせよ店は開けているため、休業でなく時短営業となります。

さすがに是非とも皆さまお越しくださいとは言いません。
日用品買い出しのついででふと「あれ買い忘れてたな」なんて場合に立ち寄りいただければと。


赤い光弾 ~ writtenafterwards/ Double Face Coat

店主、人生のうちでこれほどまでに赤いものを見たことがありません。

モニター越しに伝わるかどうかわかりませんが、リトゥンアフターワーズから届いたこのコートの鮮烈な色彩は、まったくもって常軌を逸しています。

昨年ご紹介したマンダリンジャケットで用いられていたコットンリネンの生地を染めたところ、ここまで赤く仕上がったとのこと。

とくに晴れた日に屋外で見ると、眩しすぎて目に刺さるようです。

ボタンは透明なプラスティックを採用、もちろんこちらも赤く、生地と調和します。
着ているとまるで自分が人形にでもなったかのような気分になるその大きさも見逃せません。

仕立ては意外と(失礼)本格派、裏地には滑りのよいキュプラが使われています。

そして、店頭で冗談半分でお試しになるお客様の多くが、着用時のシルエットのあまりの美しさに驚かれます。

後ろ姿もとても綺麗。

どうしてもその赤の禍々しさばかりに気を取られそうになるものの、実は服として完成度の高い洗練された一枚となっています。

男性用のフリーサイズ(表記上はM)を入れましたが、女性がばさっと羽織っても素敵です。

白、黒、赤と続くリトゥンの魔女三部作の締めを飾るに相応しいコート、是非一度お試しを。
(オンラインストアはこちらです)

ところで、白、黒、赤といえば、昨年末リトゥンアフターワーズのデザイナーである山縣さんが絵本を上梓されました。

『ぼくは0てん』(朝日出版社刊)

まだリトゥンが現アシードクラウド玉井さんとの二人三脚だった10年ほど前、故郷の鳥取へ帰るバスの中で思いついた、半自伝的な物語となっています。

版元の説明文では

「点数」「クズ」「ゆうめい」といった
“レッテル貼り”“他人の評価”から自由になって、
自分の得意なことを見つけ出していくストーリーを、
愛らしい「てんすう」たちのキャラクターで描く。

とありますが、実際に読んでみますと、これはいわば自虐と逃避の詩です。

しかしだからこそなのか、読者にその先を想像させる余地を与え、不思議な読後感を残します。

独自のメソッドを持つ教育家としての側面もある山縣さんならではの一冊です。

余談ながら、アマゾンでひときわ熱烈なレビューを書いている方がいて、お名前を拝見すると思想家の内田樹氏でした。


ふると流れる刻をうつして ~ Jens COMPOSITION/ ドライタフタロングカーディガン

お陰様で絶賛開催中のORDER BORDER(29日までです)、もちろん通常の春物もお買い求めいただけます。

今すぐ着られるものもよし、もう少し先を見据えてこんな涼しげなものも。

JensのCOMPOSITIONラインから、女性用ロングカーディガンが登場しています。

このほどよい透明感はドライタフタ素材ならでは。
見た目通りの涼しさのみならず、吸水性、速乾性も備えています。

春本番はもとより、真夏の冷房除けとしても活躍します。

フロントはボタンでなく紐で留める仕様です。

両脇に深く切り込まれた裾のスリットは、動きやすさのみならずこの生地の軽やかな動きを一層引き立てます。

シンプルでいて確固とした世界を持った服ですから、着こなしや合わせに関しては語るだけ野暮というもの。
お好みやシチュエーションで自由にお使いください。

オンラインストアはこちら→ ブラック/ クラウディー


ORDER BORDER、本日より開催!

これ以上望むべくもないほど麗らかな快晴。

本日正午より、いよいよ第6回目となるORDER BORDERが始まります。

今回は、お馴染みの定番をはじめ

食品廃棄物などから抽出した染料を用いたFOOD TEXTILEシリーズ、

二重ボーダーのオーバーサイズ半袖Tシリーズ、

発色の鮮やかなペットボトル再生繊維シリーズなど

過去最高のバリエーションに富んだラインナップとなりました。

本日と明日(20日、21日)は12時ごろから夕方までG.F.G.S.代表の小柳さんも在店され、直接作り手とお話を楽しみながらボーダーをオーダーできます。

イベント自体は3月29日まで開催しますので、ご都合に合わせて是非魅惑のボーダーワールドをご堪能ください。

こんなご時世ではありますが、アメリカから送ってもらった強力な消毒セットで環境を整え、換気をよくして、皆様のお越しを心よりお待ちしております!


太陽の季節 ~ RHYTHMOS

毎シーズン楽しみにしている方の多いリュトモスの季節限定色。

今季は、デザイナーである飯伏さんが旅したアメリカ南西部-察するところニューメキシコあたり-の景観に着想した、淡い桃色”タオス”としっとりした紺色”ピエドラ”、この2色がシーズンカラーとして発表されました。

“タオス”(Taos)はもともと色を指す言葉ではなく、ニューメキシコ州中北部の町名です。

現地のネイティブアメリカンが話す北部ティワ語では「赤い柳の渓谷の口」を意味するȉałopháymųp’ȍhə́othə̀olbo、あるいは単に「村の中」tə̂othoと呼ばれ、後者の音韻からスペイン人がTaosと呼びだしたそうです。

ここで有名なのが11~15世紀ごろのあいだに建てられたとされるネイティブアメリカンの歴史的な集合住宅(なんと、まだ現役だとか!)、

その彩りに着想したのかどうかは定かではありませんが、あたたかみのある、佳い色ですね。

素材の持つ本来の風合いを損なうことなく、質感があまり変わらないように仕上げられた革で、ゆっくりと、穏やかに馴染んでいきます。
できるだけ財布を綺麗な状態に保ちたい方にお薦めです。

一方の”ピエドラ”(Piedra)、こちらはおそらく町の名ではなく、スペイン語で”石”を表します。

こちらも推測に過ぎませんが、強い日差しとの美しいコントラストを描く、山や岩の深い青さから名付けられたのかも知れません。

やわらかなシボ革で、先述のタオスと対照的に、使い込むほどどっしりとした奥行きのある艶が生まれそうです。

どちらもそれぞれの魅力に満ちた素敵な色ですから、お好みでお選びいただくに限ります。

毎度すぐに完売してしまうシリーズゆえ、どうぞお早めに。

オンラインストアはこちらです→ タオス/ ピエドラ