心から好きだよ チャコ  ~ EEL/ チャコールヘンリー

8月も下旬に突入し、いよいよ秋物の入荷が加速してきています。

EELからも新作が届いておりまして、今回はそのなかの一点、チャコールヘンリーの今季バージョンをご紹介します。



夏季モデルとしては去年今年と展開し、いずれもご好評いただいておりましたが、当店では初の秋冬モデル登場となります。

基本的にはヘンリーネックのプルオーバーシャツとして同型ですが、やや短めだった袖は伸びて、保温性の高い長袖となりました。

生地は柔らかなウールの綾織生地、これをカットソー工場にて下着のような縫製で縫い上げています。

9月ごろから一枚でご着用いただけ、もう少し気温が下がればたとえばツイードのジャケットなどのインナーとして活躍するのではないでしょうか。

オンラインストアはこちらです→ チャコール/ オリーブ/ ネイビー

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オレ達の国境は地平線さ ~ CHARLIE BORROW/ BELT TypeⅡ

ベルト一つ見ても、武骨で、重厚で、作り手の人柄が偲ばれます。

CHARLIE BORROW(チャーリー・ボロウ)は、若きデザイナーであり職人であるチャーリー・ボロウ氏が2013年に立ち上げたブランドです。
ロンドンに小さなアトリエを構えて独りで切り盛りしています。

少し前にチャーリーが来日した際に一時間ほど本人と話す機会があり、革の匂いの話で盛り上がったのですが、いかつい肉体の割に笑顔の可愛い若者でした(当日はカメラを忘れたうえスマホが故障しており、写真は残っていません…)。

その作風は質実剛健そのもの。
すべての資材は耐久性を基準に採択され、全商品がチャーリー本人によって一点一点作り出されています。

このベルトに用いられているブライドルレザーは、英国南西部デヴォンのJ&FJ Baker社によるもの。
今やイングランド国内で唯一となった、オークバークという樫の木の皮から抽出されるタンニンで鞣す技法を継承しているタンナー(皮革製造業者)です。

オークバーク鞣しは、皮を革にするまでに18ヶ月もかかるという非常に効率の悪い技法ですが、時間をかけた分繊維が詰まり、結果として強靭な革となります。

鞣した革にじっくりと蝋と油脂、染料を滲みこませることで柔軟性と強度を高めたのがブライドルレザーなのですが、通常蝋や油を浸透させるために銀面を削るところ、Baker社は削ることなく革の芯にまで滲みこませます。
この方法は長い時間と高い技術が必要なうえ、表面を削らないためトラと呼ばれる血管痕や革の小さな傷がそのまま残ってしまうのですが、繊維が最も緻密に絡まっている銀面がそのまま残されているため、きわめて頑強です。

このBaker社製のブライドルレザーが世界最高級の革のひとつとして称されるのは、こうした理由あってこそ。
ただ、硬く、重く、表面が荒々しく、匂いも独特なため、万人向けというよりマニア好みと言えそうです。

この革をチャーリー自身がハンドカットし、角を落として蜜蝋ワックスで裁断面を整え、金具が取り付けられるわけですが、この金具も当然彼の厳しい目で選ばれたものです。

馬具用金具を得意とする英国王室御用達の鋳物工場Abbey製バックルは、強力な圧力にもびくともしません。
表面にはメッキ加工などは施されておらず、燻されたような質感へと経年変化していきます。

分厚い革を打ち抜きしっかりと固定する銅のリベットは、バーミンガムのリベット専門工場Sapphire社によるものです。

これらのパーツが組み立てられてベルトとして生まれ変わった日は、付属のタグにチャーリーが手押しスタンプにて残してくれています。

完全にファッションアイテムではなく工芸品の域に達してしまっていますが、長い時間を伴にする一本としてはこれ以上望むべくもないものです。

もうベルトのことで悩みたくない、一生愛せる一本が欲しい、そんな方は是非お試しください。

オンラインストアはこちらです→ BELT TypeⅡ


My Dear Friend ~ CURLY/ CONFUSED LS BORDER TEE

あれだけ猛暑になるぞと煽られて、いざ蓋を開けてみれば8月の横浜は記録的悪天候。

腰の重い黒雲に覆われて真夏気分を味わいきれないまま、じわりと秋の気配を感じるようになってきました。

それならば9月の残暑に思いを馳せつつも、次の季節への準備を始めることにしましょう。

一枚でも何かと重ねても着られる長袖のTシャツは、こんな季節の変わり時にはとても有難い存在ですね。

当店初登場且つ神奈川県初上陸のCURLY(カーリー)は、香川県発のカットソー専業ブランドです。
カットソー工場が母体であるという強みを活かし、きわめて高品質なアイテムを自社開発しています。

なお、お馴染みの手袋ブランドhandson gripに続く香川県産製品となりますが、handson grip同様、当初は手袋工場としてスタートしました。
そこで培われた繊細な縫製技術をもとに、約50年前からカットソー工場を稼働させたようです。

CURLYの最大の特徴は、フルアイテムをカットソー技術で作ってしまうその応用力にあります。
Tシャツ、スウェットは言うに及ばず、シャツ、パンツ、ジャケットにコートまでその範囲は驚くばかりです。

それもすべては基礎がハイレベルだからこそ。
今回ご紹介のTシャツも、触ればはっとするほどの高い品質を誇ります。

毛羽の少ない糸を高密度に編み立てた生地は、ぎゅっと詰まった質感、滑らかな肌触りを備えています。

袖口と裾にはセーターを思わせるジャカード編みのカットソーが接合されました。
白×黒モデルには黒が、白×紺モデルには茶色があてがわれています。

ちなみに、同じ生地が肩にもあしらわれています。

単品着用時にはもちろん、ジャケットなどのインナーとして着た際にもここが過剰にならない程度に違いを見せてくれることでしょう。

なお、女性用から男性用までサイズも取り揃えました。

このシャツをはじめとしてデザインの匙加減、高い品質を備えたカットソー界の風雲児CURLY、これからもいろいろなモデルを展開していきますので、どうぞご期待ください。

オンラインストアはこちら→ ホワイト×ブラック/ ホワイト×ネイビー×ブラウン


きこえるか きこえるだろう はるかな轟き ~ Jens/ SHIRT(MEN)

すっかり当店のレディースブランドの一角として確固たる地位を築いているJens(イェンス)ですが、実は男性からの人気がとても高いブランドでもあります。

「こんな感じのでメンズないの?」

お客様からしばしば尋ねられては返答に詰まっていました。

しかしながら、もう胸を張ってYESと答えられます。
待望の男性用シャツの登場です。

コットンとシルクを混紡した生地を用いたこのシャツ、ただシンプル、ミニマムなだけではありません。
細部まで驚くほど入念にデザインされています。
では見ていきましょう。

まずこの透徹な印象を生み出すのが表に出ているステッチの少なさです。
襟、肩回りに一切出ていません。

これもただ裏で縫っただけではなく、袖ぐりには丁寧にパイピング処理が施されています。

Jensの服全般に言えることですが、裏返しても美しい。
いい服とは何かという見本のような作りです。

前立ては比翼仕立て、清涼な貝ボタンが隠されています。

襟元、剣ボロ、カフスといった表に出ている部分にはくるみボタンが採用されました。
これによりボタン自体の主張が抑制され、シャツ全体のすっきりした印象に馴染みます。

ここまでミニマムにまとめると、通常襟は主張しないよう小ぶりになるのですが、そこはJens。
一筋縄ではいきません。
低い台襟の割に大ぶりな襟を設け、まるでワークジャケットのような首回りとなっています。

着丈は若干短めで、ドレス感がやや抑えられました。

また、個人的に好きなディテールが脇の仕様です。
通常裾までしっかり縫われ、モルティマーのようにガセットが設けられるところ、前側の布が被さるように重ねられ、ふわりとした柔らかな色気が演出されています。

まったくどこを見ても唸るばかりの完成度です。

通年着用可能な素材ですので、いよいよ夏が終わりを迎えようとするこの時期からさっそく装いの一部としてその実力を発揮してくれることでしょう。

シャツ愛好家の紳士諸氏、是非ともご検討ください。

オンラインストアはこちらです→ ホワイト/ ネイビー

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マラソンマン ~ ZDA/ Marathon 2800FSL

先日公開されたS MAGAZINE掲載の90年代ファッション座談会、有難くもたいへんご好評いただいているようです。
<雑誌で振り返る。おじさんたちの90年代ファッション座談会・前半>
<雑誌で振り返る。おじさんたちの90年代ファッション座談会・後半>

もともと自分たちがお酒を飲みながら服の話がしたかっただけだったのが、メディアに載せていただけることでこれほど多くの方と話題を共有できたこと、とてもうれしく思います。

さて、夏季休業も明けたところで新商品のご紹介をさせてください。

昨年の鮮烈な復活以来、LUNGEと並び当店でのスニーカーの代表格として多くのお客様に愛されているZDA。

靴ブランドBata(バチャ)の工場の従業員のために作られた、まさに靴の町であるスロバキアの計画都市パルティザンスケにて、昔のままの製法で作られているスニーカーブランドです。

ブランドの詳細についてはこちらをどうぞ。
Z・刻をこえて
Believing a sign of Z

ちなみに、パルティザンスケはこんな感じのところだそうです。

そんなパルティザンスケのZDAより新作が想定より早く届きました。
店頭で一部のお客様に「9月に入ります」とお伝えしていた新作、こちらです。

マンネリに陥ることなく長く扱っていきたいと考えているため、今季は敢えて人気モデル2400番はお休みし(来年春からまた復活します)、こちらの新型”2800FSL”のみを提案致します。

見た目こそ違えど2400と同じMarathonシリーズで、タンにはマラソンランナーの絵が描かれたタグが縫い付けられています。

なんだか温かい心持ちにさせられる、素朴なタッチです。

この絵だけでなくその名の通り長距離走を想定して設計されているのですが、そこはZDA、ただのランニングシューズに収まらない不思議な魅力に満ちています。

70年代のスニーカーにしばしば用いられた大きなトウガードは、爪先の保護という本来の役割とともに、華奢になりがちなランニングシューズの見た目に安定感を与えます。

そんなトウガードもあって重厚感溢れる印象を与えつつ、ナイロンをベースにレザーやスウェードで補強したつくりのため、持ってみると意外と軽量です。
そこはやはりランニングシューズということですね。

シューレースを通す部分には一部D管を用いています。
これも70~80年代にかけて多く見られた仕様です。

ミッドソールは2層の積層EVA。

白い部分が柔らかく、衝撃を吸収するだけでなく屈曲性に富んでいます。

一方グレーの部分は少し硬めにすることで沈み込み過ぎを防ぎ、着地した際の足のブレと走行エネルギーの無駄なロスを軽減します。

3層構造の2400番のほうが柔らかい履き心地ですが、これはこれで安定感があり快適です(靴の疲れにくさとクッションの柔らかさは必ずしも比例しません)。

アウトソールはヘリンボーン。
これもまた70~80年代的な意匠です。

こうしたヴィンテージ感溢れるディテールの数々ですが、無彩色でまとめられることで特有の泥臭さが消され、結果的に都会的でありながら冷たさのない、絶妙な位置に着地しました。

「ありきたりのものでは面白くない、しかしそうは言っても奇抜なものは好ましくない」
そんな高い要求にも見事応えられる一足ではないでしょうか。

オンラインストアはこちらです→ 2800FSL

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振り返れば奴がいる

昨日公開されたS MAGAZINEの夏休み企画、『雑誌で振り返る、おじさんたちの90年代ファッション座談会(前半)』は、もうご覧いただけましたでしょうか。

その後半部が、さっそく本日公開されました。

未読の方はまずは前半から、続きが気になる方はこちらからどうぞご覧くださいませ。

(2023/6/13修正:FACYサービス終了につき、当店ブログにてアーカイヴ保存しました)


すてきな三にんぐみ

S MAGAZINEにて、店主参加の座談会記事がアップされました。

S MAGAZINE
<雑誌で振り返る。おじさんたちの90年代ファッション座談会・前半>

(2023/6/13修正:FACYサービス終了につき、当店ブログにてアーカイヴ保存しました)

90年代に多感な時期を過ごした四十路手前のおじさんたちが、雑誌を眺めながら当時のファッションについて語る、そんな酒席放談です。

実は当初個人的なツイッターのオフ会だったはずが、だんだんと話が盛り上がってきて、最終的にメディアの記事となってしまいました。
何がどう転ぶか、まったくわからないものですね。

三者ともお互い対面するのは初めてであったにも拘らず、同世代で共通の話題ということもあり、話はアチコチに逸れながら5時間以上に及びました。
一向に終わる気配のない会話をただ目の前にしてスタイラー編集部をひどく青ざめさせてしまったことは、まことにお気の毒です。

ここでアップされているのはその5時間のうち録音できた3時間。
それだけでもすべて収録してしまうと7万字という非常識なボリュームだったため、編集者さんが血の涙を枯れるほど流しながらぎゅっとこのサイズにまとめてくれています。

そういった事情で、AFFA、20471120、髭、栄養失調の勃起、卓矢エンジェル、オゾン、ヒス、ポールスミス、アニエスb.、パイドパイパーなど、ここで言及できていない往時の人気ブランドも数多くございます。
あくまで制限時間内に語られた一視点の思い出話ということで、何卒ご了承くださいませ。

ともあれ、当時を知る人もそうでない人も、なかなか楽しめる読み物となったのではと思います。
少しでも往時に思いを馳せていただければ幸いです。

なお、後半は明日8/12の夜に公開予定です!


改めて夏季休暇のお報せ

先日お伝えしました通り、8/11~13の間は夏季休暇とさせていただきます。

8/10よりオンラインストアにていただいたご注文は8/14が最短の発送日(銀行振込の場合は8/14以降のご入金確認日)となりますので、ご了承くださいませ。

ご迷惑をお掛けしますが、宜しくお願い致します。


ブルー・シティー ~ MOSODELIA/ JODHPURS

のんびりと、しかし日本列島を破壊しながら強い台風が通過しています。

直撃の中ではさすがに出歩くべきではありませんが、台風に限らず大雨の日はパンツの濡れなどがつきもの。
これから秋にかけて何度も来るであろうそんな機会を踏まえた、素敵な新作が登場しました。

ジョドパーズは19世紀、英国植民地であるインド進駐軍の将校が穿き始め、その街ジョドプールからその名をとった乗馬用パンツです。
ゆったりした太腿に深い股上、そしてゲートルを巻く必要がないように膝下からきゅっと細まった形状が特徴となっています。

そんなジョドパーズをMOSODELIA流に再構築し、都市での服として、また旅装束として機能する一本に仕上がりました。

素材はスーピマコットンとポリエステルを混紡したギャバジンです。
綿、ポリをそれぞれ染め分けているため、特にカーキに顕著なのですが艶や色目に独自のニュアンスが生まれ、角度によって異なる表情を見せます。

この生地には撥水加工が施されているため、前述の通り雨の日のあの不快感を軽減してくれます。
皺になりづらいのもうれしい特徴です。

また、裾の仕様が面白く、折り返して縫っているのではなく細いパイピングにて仕上げられています。

これにより裾の折幅を自由に調整することが可能となりました。

パンツ自体はジョドパーズにグルカパンツの要素を加味したデザインで、深い股上と幅広のウェストバンドはタックインの装いにも適しています。

秋冬物ではありますが、それほど厚手ではないため今の時期からも着用可能です。

どうぞご検討ください。

オンラインストアはこちらです→ ブラック/ カーキ