山里に荒れたる宿をてらしつつ 幾世へぬらむ 秋の月影 ~ comm. arch./ Super 120’s Merino High Neck PO

日ごと深まる秋、表の風も漸う冷え、ついに我慢できずに暖房をつけたよといった声をちらほらお聞きします。

店主も先日ついにタートルネックを解禁しました。
娘の運動会を観るにあたり、校庭の寒さを凌ぐためです。
当の子供たちは半袖や裸足だったりしますが、おじさんには到底真似できません。

首回りが暖かいだけで、体感はだいぶ違います。
とはいえ、ふっくらした厚手のセーターはさすがにまだ暑く、その加減は慎重にいきたいもの。

こんな薄手のものがあれば、重宝するはずです。

ニットでおなじみコムアーチ、今回はウールのカットソーをご紹介します。

Super 120’sという極細繊維(繊維の断面の直径の平均が17.5μm)の羊毛を梳き、撚ったジャージー用の極細糸を用いて編み立てたこの生地のとろけるような肌触り、艶。

いわゆるセーターと異なり生地を裁断、縫製して仕立てていますので、Tシャツに近い気安さが生まれています。

薄いわりに暖かいだけでなく、肌の敏感な方でもほぼ気にならないであろうほどチクチクせず、やわらかいため、肌着として活用するとその機能を最大限に発揮します。

耐久性も高いため、ネットに入れれば家庭での洗濯も可能。
気兼ねなくどんどんお使いいただけます。

なお、洗うと縮みが発生するのですが、最初からそれを想定し、1サイズ分大きめに作られています。
この優しさがまたコムアーチらしさですね。

オンラインストアはこちら→ ダーククラウズ/ レッドビーンズ


FACYにて私的プレイリストを公開致しました

おなじみFACYが大幅なリニューアルを行い、先日β版が発表されました

それに伴い、しばらくまとめ記事中心となっていたメディア機能も刷新、読み応えのあるコンテンツがぐっと増えています

そこに便乗するかのように、当店も久々の登場と相成りました。

あのお店のプレイリスト|仲町台Euphonica vol.1「素晴らしきインドネシアンポップスの世界」-FACY MEN

今年店主が個人的に夢中になったインドネシアのポップス。
その私的プレイリスト公開です。

基本的に一アーティスト/バンドにつき一曲の縛りを(とくに指定はありませんでしたが、なんとなく自発的に)設けています。

詳しくは本文中をご覧いただくとして、なんとなくトロピカルでエキゾティックな先入観をお持ちの方も多いかと思いますが、きっとその洗練されたスタイルに驚かれるはずです。

昔シコシコ作ったマイベストのカセットテープの如く曲順にも留意しました。
ですのでシャッフル再生でなく頭から順にお聴きいただければうれしいです。

ともあれ、どうぞお楽しみください。

余談ですが、偶然にも現在FACYのグラフィックデザインを手掛けているのはインドネシア出身のデザイナーさんだそうで、不思議なご縁を感じますね。


ライナスの毛布 ~ EEL Products/ ブランケットカーデ

俄かに冷え込み、暖かな衣料がうれしい気候となりました。

連日の悪天候につき撮影がなかなか捗らないのもありますが、オンラインストアや幣ブログがまったく追い付かないほど秋冬の新商品が続々と届いております。

ゆえにブログでのご紹介を待たずして店頭から姿を消す商品も少なからず存在し、このカーディガンも気がつけばラスト1枚となってしまいました。

名前こそ”ブランケットカーデ”とカーディガンを匂わせながら(ただし”Carde”が”Cardigan”の略と安易に判断するのは惰性的ではないかという思いは捨て難く)、見方によってはジャケットのようでもあり、不思議な立ち位置。

さらにその定義を曖昧にするのが、このブランケットステッチです。

毛布の端かがりなどでよく用いられるこの縫い方により、まるで手作りの人形の服のような風貌に。

身幅が広く肩が落ちた形状がさらにその感を強め、そしてこの大ぶりのスナップ。
着ている自分は人間なのかそれとも人間と錯覚しているだけの悲しき人形なのか、確信が持てなくなりそうです。

“Cogito, ergo sum”
その言葉も疑念を抱く自分自身の存在しか証明できませんが、だいじょうぶ、そこまで思い詰める必要はありません。

ご心配なくお召しください。

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2000万パワーズ ~ Ithe × G.F.G.S./ No.44-NB-F

当店でボーダーシャツといえば、言わずもがな春の風物詩ORDER BORDERですよね。

オーダーできる愉しさはもちろん、耐久性の高さや心地好い着心地といった品質面でもたいへん優れ、2枚目3枚目とリピートオーダーされる方も珍しくありません。

毎回大好評賜り、お陰様で今年の春には第6回目を迎えました。
もちろん(コロナ禍の状況次第ではありますが)来年も開催予定ですので、ご期待ください。

ゆえに当店、わざわざボーダーシャツを仕入れることはあまりなく、しかも秋冬となれば、開店以来片手で数えるほど。

そんななか入荷してきたとなれば、むろん然るべき理由が存在します。

ボーダーシャツにしてこのクールネス。
無地ばかり手掛けてきたItheでは初となる柄物ですが、しかしやはりそれでも同ブランドらしさは変わりません。

相変わらずのんびりした納期設定で、10月中旬にしてようやく今季1回目の納品となりました。

フランス軍で用いられていたものをサンプリングし、身幅を広げて袖をやや詰め、リラックスしたシルエットにまとめあげています。

なお、気になるサイズ感ですが、1で一般的なM程度、2でL程度です。
ItheのTシャツ”No28-HTO”をお持ちの方であれば、目安としてボーダーの1がTシャツの1~2の中間くらい、2が2~3の中間くらいとお考えいただければよろしいかと思われます。

裾はスリット入り。

袖口と裾は一般的なボーダーシャツと異なり、裁断して縫製するのではなく、袋状に編み立てられています。
裏返すと判りやすいですかね。

これにより、全体的にたっぷりしたボリューム感に対し末端がすっきりし、軽やかな印象が生まれます。

No.28-HTO同様、ブランドのタグは襟裏にはなく

品質表示タグと兼用となっています。

と、この写真をご覧いただいての通り、実はこのボーダーシャツはORDER BORDERを手掛けるG.F.G.S.が生産を担当しています。
ゆえに、使用されている生地はG.F.G.S.の代表的な素材”PLAY”です。

ふとした縁から、当店を仲立ちとして両者が結びつき、特別なコラボレーションが実現しました。

奇遇にもItheのデザイナーである吉﨑氏は新潟県上越市出身、そしてG.F.G.S.は同じく新潟県の加茂市を拠点としています。
そのため当店が関わる以前に新潟関係の仕事で一度対面したことがあったとかで、今回の企画は想像を遥かに超えるスピードで具現化に至りました。

シンプルながら、両者の得意分野が相互作用でより濃く引き出された、素晴らしい一着です。
早期の完売は必至ですので(実際、すでにメーカー在庫はほぼ残っていません)、気になる方は是非ともお早めに。

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ディア・ハンター ~ tilt The authentics/ Fine Wool Beaver Hunting Jacket

健全で良識的な印象の裡、シーズンを重ねるごと徐々に狂気の淵へと向かっているtilt The authentics。

もっと、もっと良い服を、もっと、もっとだ、そんなデザイナーである中津さんの飽くなき求道心はいったいどこまで進むのか、怖くもあり楽しみでもあります。

思い起こせば当初から素晴らしく高次元の完成度を見せつけてきたブランドですが、あらためて最新作と比べてみれば、当時はまだ正気を保っていたことが理解できます。

このジャケットがそれをよく表していました。

画像から見て取れるほど艶めかしい光沢を湛えた、上等なウールビーバーで仕立てられたハンティングジャケット。
ちなみにビーバーは縮絨・起毛処理された柔らかく肉厚な毛織物の呼称で、その毛足の長い質感や肌触りが同名の動物を彷彿させることから名付けられたと云われています。


かばん要らずなほどに豊富なポケットの、ユニークな配置。
この多さ、この数にも拘わらず、ポップに着地せず、きちんと大人の着用に堪えるものにまとめ上げているのは、流石の技巧です。

ハンティングジャケットですから、もちろん腰にはゲームポケットが設けられています。
ただ、当然ながら仕留めた獲物を収めるほどの大きさではありません。

裏にも左右内ポケットが。

この身頃裏には光沢が抑えられ耐久性の高いコットン×キュプラの生地を、袖裏には滑りのよいキュプラ100%の生地を当てています。

前立てはボタンとダブルファスナーの二重構え。

ボタンには水牛の角が採用されました。
前立てといいポケットといい、これだけ大量に使っていますから、ボタンだけでかなりのコストがかかったのではないでしょうか…

体の構造にあわせ計算された袖のカーブ。
袖に限らず、肩なども服の重さが点でかからず面で分散されるよう計算されており、その結果驚くほど軽い着心地となっています。

どこを見ても、ここまでやるかという徹底ぶり。
さらに輪をかけるように、一着一着出荷前にデザイナーご本人による検品、手入れが施されたうえで納品されています。
入魂の極みです。

なお、この原型となったのは、懐かしきtilt The authenticsファーストシーズン、2018AWに提案されたコーデュロイジャケットでした。

今回、ここから生地だけでなく、着丈を伸ばし全体のバランスを変えるなど、もとの佳さを残しながらバージョンアップが図られています。

その展示会で最初に足を運んだのが当店だったらしいのですが、予算上の都合でオーダーは絞ったものの、このブランドは近いうち必ず化けると確信。
のちの記念になると思い展示会資料を保管しておいたのが、今になって活用できました。

こうしてブランドが着実に大いなる階段を上るさまを間近で見られるのは、店をやっているなかでの大きな醍醐味の一つですし、それは当然自力でどうにかなるものでもなく、たとえ無名でも服自体を見てご判断いただける聡明なお客様方のお力添えあってこそ。
個人的な感慨ですが、そんないろいろな思いを喚起する、そんな一着でもあります。

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今を見るだけで悲しむのやめて 光にまかせ飛んでみるもいいさ ~ ZDA/ Trainer 2918S

いわゆるメゾンブランドから大手スポーツシューズメーカーまで広く仕掛けられた退廃的な「プレミアム」スニーカーブームも、ようやく少しずつ落ち着いてきたように見えます。

足し算ばかりの安直安易な発想に基づく一切の合理性のない表層だけのデザイン、そうでなくとも往年の名作のリスペクトなき焼き直し。
生産数やコラボ相手などの付加価値で値段を吊り上げた、泡沫的資産価値。

それは悪名高い90年代のハイテクスニーカーブームを上回る軽薄さで、実に醜悪な流行でした。
これが時代についていけない中年のボヤキなのか否かは、後年審判が下されることでしょう。

いったいスニーカーの大きな魅力は、あくまで実用靴として設計されていることです。

ただ履きやすいとか合わせやすいとかだけでなく、何に用いるためにその靴が存在するのか、実現に至るにあたり求められる機能とは何か。

これらの結果としてのデザインであり、ゆえに最先端の道具としての役割を果たしてもなお、時代を超える普遍性が残るのではないでしょうか(とはいえ、raison d’êtreが転売によって発生する利益や刹那的な充足感であっても、ひとつの尊重すべき価値観であることは認めます。けれど、それではあまりに一過性の享楽に過ぎるように思えます)。

実用靴としての進化の積み重ねは何かを捨て何かを得ることでもありますから、逆説的に旧いディテールの魅力を認識させることにも繋がります。
いわゆる定番は一朝一夕に生まれるものでなく、こうして弛まぬ超克の反復と時間の篩にかけられ残った結果ですから、ローテクだからスタンダードといった単純な話でもないわけです。

ゆえに、各大手メーカーにおかれましては、熾烈なテクノロジー競争に身を置き、大いに鎬を削っていただきたい。
最近だと駅伝で話題になったナイキのドーピング厚底靴、ああいうのはまさに技術革新の最たるもので、ワクワクしますよね。


2020箱根駅伝 “厚底”に履き替えた青山学院大が優勝奪還/ナイキ着用率はナント84.3%に急増!(Yahoo!ニュース)

今ローテクと呼ばれるかつての名品も、もとは当時の最先端テクノロジーの結晶でした。
この靴だって現役時代はなかなかのものだったのではないでしょうか。

3年目を迎えだいぶ当店でもお馴染みとなってきたZDAのバレーボールシューズ、Trainerの2918。
この秋はスウェードバージョンが登場となりました。

横への伸びを防ぐ2本のライン、内部の湿気を逃がすべく各所に設けられたベンチレーションホール、紐と連動し爪先からサイドを抑え込むアッパー構造。
どれも純然たるスポーツシューズだからこそのデザインです。

今もなお謎の多い”S-KAISER”ソール。
しかしその耐久性とグリップ性能は本物です。
なお、今回はより室内に特化し、床に痕の残りづらいガムソールが用いられています。

2018年春夏モデルのハンドボールシューズ2900FSLに使われていたものと同一ですね。

何度見ても緊張感も躍動感もない、Trainerくんのイラスト。
この意図されぬユーモアもZDAの欠かさざる魅力です。

もちろん性能だけに着目すれば現代の最新モデルには勝てません。
しかし発表からおそらく30年以上は経った今でもなお通用するそのデザインと適切にニーズを満たした機能性は、これからもきっと陳腐化することなく在り続けることでしょう。

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雨に濡れて歩いてる ここはアジア ~ moncao/ wool cashmere band collar shirt jacket

梅雨時によく出る言葉であるゆえか、同名のカフェの影響なのか、モンスーンはアジアの温暖湿潤な地域特有の現象といった印象を持たれがちですが、実際のところもっと広範囲にわたり発生します。
和訳の季節風と聞けば、あまり熱帯感は出ないのではないでしょうか。

その語源はアラビア語で「季節」を意味するموسم(mawsim)と伝えられています。

かつてアラビア海を行き来した船乗りたちは、一年が大まかに二種類の時期、すなわち海上に南西からの風が吹く季節と北西からの季節が吹く季節に分けられると理解し、航海に役立てていました。

この現象は、比熱が小さい(暖まりやすく冷めやすい)大陸と、比熱が大きい(暖まりにくく冷えにくい)海洋、この特性の違いに起因します。
夏季には比熱の小さい大陸側の空気の方が暖かくなって上昇気流を生じるため、その空気を補うために海洋から大陸へ風が吹きますが、逆に陸の温度が下がり相対的に海洋の方が暖かくなる冬季には、大陸から海洋へ風が吹きます。
大雑把ながら、これがモンスーンの原理です。

モンスーン気候のグローバル分布を示したKhromovの論文(1957)では、モンスーン域の定義としてふたつの条件が提示されています。

1) 1月と7月の地表面卓越風向の差が120度以上あること
2) 1月と7月の地表面卓越風の出現頻度が40%を越えていること

爾来これが長らく定説とされていましたが、気象衛星の発達とともに研究もより深化し、近年では概ね下記の3通りの解釈がなされているようです。

1) 海陸間の熱的コントラストに起因する、陸域の雨季と乾季をもたらすラージスケールの大気循環系、あるいは夏季と冬季で風向が反転するラージスケールの大気循環系
2)海陸間の熱的コントラストや海面水温の東西非一様性に起因する、雨季と乾季をもたらすラージスケールの大気循環系、あるいは夏季と冬季で風向が反転するラージスケールの大気循環系
3)低緯度域あるいは中高緯度域において、海陸間の熱的コントラスト等に起因する、夏季と冬季で規則的に風向が変化するラージスケールの大気循環系

実は日本に限らずこのモンスーンという言葉自体の定義ははっきりとしておらず、インドでは「モンスーンというと小学生でも知っているが、気象台ではこれについて何も知らない」とまで云われているとか。

さて。

話は一転し、当店で初のお取り扱いとなる気鋭の新星をご紹介致します。

moncao(monção)。
モンサオと読んでください
ポルトガル語でモンスーンを意味します。

その名の通り、風に吹かれるような軽やかな感覚を季節ごとに愉しませてくれる服を作る、ポルトガル発のブランドです。

お会いしたことはありませんが、デザイナーの二人はかつてミラノの某有名メゾンで研鑽を積んだ方々だとか。
そんなキャリアもあってか、どちらかといえば素朴な温かみのある服の印象が強い同国にしては比較的珍しい、落ち着いた上質な品を提案してくれます。

今回披露致しますのは、こちら。

一見するに、ごくごくシンプルなバンドカラーシャツ。

しかし生地に触れてみると、そのたっぷりとした瑞々しい肉感、潤いのあるなめらかな肌触りに驚かされます。

素材はカシミア混のウール。
シャツというよりむしろジャケットのような、豊かな厚みのある、そしてとても柔らかな生地です。

この直線的な裾もまた、羽織ものとして活用できそうな雰囲気に満ちています。

形状やボタンなどのディテールは完全にシャツながら、なかなか定義の難しい、そんなところもまたモンスーンの如しではありませんか。

ともあれ、身に纏っていただければその圧倒的な実力に、ジャンルだとかカテゴリーだとかの些末な疑念など吹き飛ぶはず。

さあ、生活の中に、新しい風を吹かせましょう。

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参考文献
村上勝人『アジアモンスーン-その気象と人象風景-』日本気象学会『天気』39.7(1992)
川村隆一『モンスーン循環の形成とその変動プロセス-大気海洋相互作用と大気陸面相互作用から謎を解く-』日本気象学会『天気』54.3(2007)


魔神転生 ~ THE CIRCA BRAND/ S103B & S201A

すべてはOlde Homesteaderの萌芽から始まりました。

やがてそれはOLDE THINGSという幹へと育ち、Olde H&Daughterへ枝分かれしていくことに。

この一本の力強い大樹から、また野太い何かが生まれたようです。

それが、THE CIRCA BRAND(ザ サーカ ブランド)。
今まで常に前提として肌着を基軸としていたOLDE THINGSのラインナップのなかで初となる、非肌着ブランドです。

とはいえ、手掛けるのは変わらず”下着の魔人”の異名を持つ福原夫妻、その怨念とも呼ぶべき服作りへの姿勢はしっかりと、むしろ一層色濃く反映されています。

挨拶に代えて入荷してきた2型、ともにご覧いただくことにしましょう。

まずは男性用ブラウス、S103B(THE CIRCA BRANDの服にはすべてこのような品番が授けられています)。

2020年に出たばかりの新品にして、幾年月を重ねたヴィンテージさながらの威厳を放射していますが、その迫力の一因が生地です。

経糸にウール混のコットン、緯糸にレーヨンを配し織り上げたサテンを裏面使いにしました。

それにより、表にはざらっとした質感の表情豊かなコットン/ウールの面が、

裏にはしっとりとした肌触りの艶めいたレーヨン面が当たります。

素材ごとの糸の染まり方の違いもあって生まれたこの奥行きに富んだ色調、風合いは、着用と洗濯を繰り返すことでさらに変化し、表面、裏面それぞれ固有の特色が際立っていきます。

当然魅力は生地のみに非ず、デザインもユニークです。

肩幅、身幅をたっぷりととり、裾を直線的に切ることで、胴部分はスクエアな構造となっています。

そして脇にガセットを当てがって(ここがOlde Homesteaderっぽいですね)

すとんと落ちた肩から

ふんわりとした袖に繋がります。

この曲線の美しいこと!

袖口のボタンを外したときの拡がりには驚かされます。

このボリュームを袖口で絞ることで、先のまろやかな曲線が生まれるわけです。

襟裏のタグはひっそり控えめに。

一方、身頃の裏にはずいぶんと立派な大物が隠れていました。

先にも少し触れましたが、タグに記載されている通り、なんとこのブラウスは洗濯機で洗えます。
ほんのわずかな縮みは出ますが(目安として着丈、身幅で1~1.5cm程度)、洗いによる変化を楽しめるのは大きな悦びです。

ご購入時には裾にもフラッシャーが縫い留められていますが、こちらは着用前に外してください。

まったく、どこまでも加減を知らぬ服です。

無論、パンツも然り。


往時のアメリカ製トラウザーズを基に再構築したS201Aもまた、THE CIRCA BRANDの名を冠すに値すべき存在であることを声高に主張します。

こちらは経糸にコットン、緯糸にリネンを用いて織りあげたツイルを用いて、ブラウスと同じく裏面使いで仕立てられました。

リネンの特徴である強度、光沢が表面で活きるだけでなく、肌触りのやわらかなコットンが裏面でいい仕事をしてくれます。

両サイドの縫い目は深くつままれていて、ポケットから裾に至るまで、側章のよう。

ベルトループがない代わりに、エロティックな貝のサスペンダーボタンが用意され、

そして尾錠も設けられました。

現在はほぼ絶滅した、二本針のシンチバックルです。
久しぶりに見ましたよ。

針を生地に貫通させると危険ですので、針先を生地に引っ掛ける程度にしてください。
それでもじゅうぶんにストッパーとしての役割を果たします。

なお、このパンツも洗濯可能ですが、最初の水通しでかなり激しく縮みます。

参考のため、当店にて一度洗ってみました。

ウェストに約2cm、ワタリ幅、裾幅に約1cm、そして股下に約7cmの縮みが発生しています。
これは家庭用洗濯機で一度洗ったものの計測結果ですから、そこから1~2回はさらに縮みが出る可能性があることはご了承ください。

しかし、それだけ縮んだだけあって、がらりと風貌が変わりますね。

未洗いの新品と比べると、生地の迫力が段違いです。

これから着こみ洗いこむことで、どのような成長を遂げるのか、楽しみでなりません。

なかなかな長編となってしまいましたが、2型とも語りどころが多すぎるゆえ。
THE CIRCA BRANDの底知れぬ恐ろしさ、少しでも伝わりましたら幸いです。

オンラインストアはこちらです→ S103B/ S201A


BEST CRUSADERS ~ EEL Products/ ビークルベスト

店頭でもオンラインでもじわじわと注目度上昇中のEEL Products・ビーグルジャケット

その名から兄弟分かと思わせて、否まったく別物の、しかし同じくらい完成度の高いベストが登場しました。

ではご覧ください、ビークルベスト。

紛らわしいことに、ビーグルジャケットのBeagle(ビーグル犬)でなく、Vehicle(車両、乗り物)です。

さてそんなビークルベスト、軍もの、アウトドアウェア、ハンティングウェア、どれにも当てはまるようで当てはまらない、独自の魅力を放っています。

撥水性の高い生地にキルティングされた中綿はダウンでなく化繊です。
東レのSunstate(サンステート)Ⅱを採用しています。

サンステートⅡは薄さ、軽さからは想像もできないほどの保温性(同じ厚さなら羽毛の2倍だとか)を備え、なおかつ虫害や黴に強く、そして洗濯も可能で形状回復力にも優れているという、きわめて高性能の素材です。
一般的な中綿素材にくらべ繊維が細く、繊維缶の空気の層を細かく区分、暖かさを閉じ込めます。

裏地には目の細かいポリエステルフリースが張られています。

構造上どうしても冷たい風を通してしまうフリースも、表地と中綿と合わされば欠点が補われ、その大いなる強みである肌触りのよさと暖かさを存分に発揮してくれます。

この薄さと保温性能は、ベストに圧倒的な汎用性をもたらしました。

Vehicleよろしく積載能力は抜かりなく、両胸、

両脇に

パッチポケットが設けられ、秋にはちょっとしたライトアウターとして活躍。

冬はこの上にコートを羽織れば、保温性がさらに高まります。

そして春は春で意外と肌寒い日が多いもの。
スプリングコートの下にこっそり装着すれば、見た目は軽やかなまま、快適に過ごせます。

もう10月、秋はこれから冬に向けどんどん深まっていきます。
来たる季節に臨み、是非お手元へ。

オンラインストアはこちらです→ ネイビー/ ブラック


今はここで そう Bye For Now ~ smoothday

今年の春夏シーズン、当店初登場であるにも拘わらず、その洗練されたデザインと恍惚の着心地により、瞬く間に多くのお客さまよりご支持を得たsmoothday。

待望の秋モデルが2型入荷してまいりました。

まずはクルーネック長袖T。

さらりとした肌触りに上品な光沢を備えたコットンスムースで仕立てられています。

弾力性に富み、型崩れしにくいため、着用を繰り返しても凛とした表情が長く維持するのがうれしいですね。

袖と裾はリブのない仕様で、すとんとしたシルエットを楽しめます。

もう一型はハイネック。

先ほどのクルーネックに比べやや黄味を帯び、風合いのあたたかなウールの天竺が採用されました。

Super140’sの極細繊維を撚り合わせた糸で編み立てられているこの薄手の生地の肌触りは、とろけるよう。

ウールのハイネックでありながら、まったくチクチクしないどころか、心地好さしか感じられません。
ですので、単品としてのみならず、インナーとしても最適です。

クルーネックのものより若干長い袖の先は、リブ仕様となっています。

相変わらずどちらも素晴らしい。
いつまでも触れていたく、着ていたくなります。

今後に向けて、ますます期待が高まります。

…が。

まことに遺憾ながら、smoothday、今季を以てブランド自体が一旦休止致します。
再開の目途は現在のところ立っていません。

さらに、2020AWのほかの商品につきましても、少なくとも当店のオーダー分に関してはすべてドロップ、すなわち生産中止となってしまいました。

つまり、今回が当店に於けるsmootday商品の(暫定的な)最終入荷です。

きわめて痛恨の事態ではございますが、ゆえに図らずも稀少な品となりましたこのTシャツ、是非今のうちにお買い求めくださいませ。

オンラインストアはこちらです→
Men’s 60/-シルキースムースCN長袖T
Super 140’s 双糸ウール天竺ハイネック長袖T