Walk out to winter ~ CURLY/ AZTEC CN VEST

いつの間にか8月も下旬。
真夏のピークが去って、朝晩は涼しくなり、昼も蒸すものの酷暑とまではならなくなってきました。

こうなってくると、だんだんと秋の装いが現実味を帯びてきて、一層気になり始めてきますね。

とはいえ急にガラリと切り替えるのも妙な話、となるとまずはいつものTシャツなどにこんなベストを重ねてみるのも一興かも知れません。

AZTEC CN VESTはオーソドックスなものと思わせて、見るほどにカットソーブランドであるCURLYらしい妙味の効いたニットベストです。

さまざまな糸を配合して編み建てられたダブルニット素材リップルリブジャージーは、ふんわり、もっちりとした質感とのびやかさを兼ね備え、また保温性にも優れています。

肩幅、身幅をやや広めに設定し、裾をリブでなくスリットにすることで、記事の特性も相まって圧迫感のない開放的な着心地を実現しました。

また、こうしたタイプのベストにしては珍しく、両脇にはシームポケットが。

開口部を両脇の縫い目に沿わせポケットを表に出さないことで、機能を損なうことなくボリュームが抑えられています。

ですので、もっと寒い時期になれば上にジャケットやコートなどを羽織ってもよいでしょう。

このところはトレンドの檀上に上ることもなく、プルオーバータイプのベストをお使いの方はだいぶ見かけなくなりましたが、あれば意外なほどに重宝します。

ふだんは意識しづらいものであっても、せっかくの季節の移り替わる過渡期だからこそ、一度気にかけていただければ幸いです。

オンラインストアはこちら→ グリーン/ ブラウン


君の心へつづく 長い一本道は ~ TULIP EN MENSEN/ LOOP BELT(LONG)

まったく当店のお客様の嗅覚の鋭さには恐れ入るばかりで、先月初めてご紹介したTULIP EN MENSENのシャツもあっという間に嫁いでいき、その後も「あれを見せろ」「なんだもうないのか」などと厳しくもうれしいお叱りを受け続けています。

そんな盛り上がりを見せるTULIP、デザイナーの横山さんは革製品に携わってたこともあって、実は服のみならずバッグや革小物も得意としています。

このベルトを見れば、たちまちその実力をご理解いただけることでしょう。

はてさて不思議な佇まいです。

ベルトには当然つきものの金具がなく、ループがちょこんとご挨拶するのみ。

どう使えばいいのか、悩ませますね。

こうしてループを穴の下から通して…

ベルトの先を、穴から抜けたループにくぐらせ…

引っ張ると…

ほら、できあがり。

ご覧の通り、金具がなくともしっかりと固定されます。

使いはじめのうちは手間取るかもしれませんが、すぐに慣れるはずです。

金具がないことで重量がとても軽く仕上がり、また見た目も軽快なため夏の装いのバランスを崩しません(もちろん、夏に限らず四季を通して活躍します)。

くわえて、ひび割れ加工が施されたイタリア製タンニン鞣し革は、使い込めばより迫力のある風貌へと変化していきそうです。

なお、ハンドメイドにつき、ループの破損などの際には修理対応も可能となっています。

オーダーにあたってロングサイズを指定しつつ穴数を増やし、男女も体形もほぼ問わずお使いいただけるようにしました。

透徹なライトブルーの箱に収められており、プレゼントにも最適です。

夏がだんだんと終わりに近づき、しかし秋というには蒸し暑すぎる今日この頃、いまひとつ服を探す気になれないかも知れません。
そんな方にもそうでない方にも今すぐ使えるものとしてお薦めできるベルトです。
是非一度ご検討ください。

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サインはV ~ ZDA/ Trainer 2918L

昨年の秋に登場し想定以上の人気を博したあのバレーボースシューズが、帰ってきました。

今季は前回から継続展開となるブラックに加え、配色を反転させたホワイトも仲間入りしています。

ZDAのラインナップのなかでも室内球技用として位置づけられるTrainerシリーズ、それはタンに描かれた愛嬌豊かなイラストにも表れていますが、

ブラックにも増して旧き良き室内球技の匂いに満ちた佇まいに、なんとも郷愁を誘われます。

(ここで余談をば。かつてはバスケットボール用のtempoというラインも存在していました。こちらはソールメーカーが廃業してしまったため、残念ながら復刻できないとのこと。過去のZDAについて調べるには欠かせないЮрай Шушка先生の資料によると、1980年代にアッパーをこの2918Lと共用し、バスケットボール専用ソールを装着しているモデルが生産されていたのを確認できます)

と、あまり室内球技を強調しすぎると外履きに適さないのかと思われてしまいそうですね。

いえいえ、このS-KAISERソールは、背景や詳細は不明ながら、体育館の外でもしっかりとその役割を果たします。

ソールは踵を包むように支える形状となっており、足のブレを軽減してくれます。

さらに、上下方向の動きによってアッパーとソールが剥離するのを防ぐため、太いステッチが入って補強されているのも見逃せません。

細かいところですが、こういうところがやっぱりスポーツシューズです。

さすがに機能は最新のハイテクシューズには及ぶべくもないとはいえ、アスリートのために培われた当時の技術が詰め込まれています。

実際にバレーボールで使う使わないはさておいて、こうした靴を愛で、昔日の東欧に思いを馳せるのも乙なものではありませんか。

オンラインストアはこちらです→ ホワイト×ブラック/ ブラック×ホワイト


いざ 進めや キッチン ~ Handwerker ASEEDONCLOUD/ HW cook shirt

お盆休みから帰って参りました。

さて、いよいよ8月も後半戦。
続々と届く秋の新作をどんどん紹介していきましょう。

もはや当店でも定番としての地位を確立したHandwerkerのシャツ、補充分や新柄、


そして今季限定モデルも登場しています。

活版印刷雑誌編集に続く「知り合いのためのワークウェア」シリーズ、2019AWは料理です。

料理教室studio SPOONを主宰し、さまざまなメディアでも活躍する人気料理家・坂田阿希子さんから意見を吸い上げて制作されました。

われわれがシェフの服としてまず想起するのはコックジャケット、コックコートと呼ばれる上着ですね。

しかし、これはともすれば厨房では暑い、ということで、すでに歴史に研磨され完成されているプロダクトであるジャケットの機能としてのディテールを活かして、HW collarless shirtをベースに、料理をしやすいシャツとしてデザインされました。

襟、前立て、カフスのそれぞれの端には少しだけ曲線を入れ、女性らしい柔和なまるみを引き出しています。

首に布が当たるのは料理をしているときに煩わしいため、襟は低く抑えられ、そして間に隙間を設けられています。

おなじみとなった紙タグは、料理に邪魔にならないよう背面側の脇に配置されました。

坂田さんが上の画像で着ているものがもともとのモデルで、ストレッチの入った白い生地で仕立てられているのですが、さすがに当店で扱うにはコック感が強かったため、ストライプのタイプライター版のみ仕入れました。

特別奇を衒わず、だれもが知る洋食を、適正な素材と適正な調理法で美味しく作る、そんな坂田さんの料理にも通じるシャツ。

これをさらに着る人によって美味しくしていただければ幸甚です。

オンラインストアはこちらです→
HW cook shirt ストライプ
HW basic shirt ホワイト/ ストライプ
HW collarless shirt ホワイト/ ストライプ


飾らないことばで なくせない心で ひとつになれる ~ EEL Products/ フラットシャツ

極限まで諸要素を削ぎ落し尽くすことで、意外な新しさが生まれました。

EEL Productsの新作フラットシャツは、いつもと異なるアプローチでデザインされたシャツです。

引きで撮影した写真からは、何がどう新しいのかは判りづらいかも知れません。

もう少し近づいてみましょうか。

そろそろお気づきの方も出てきましたかね。

では背面からも。

そう、このシャツにはヨークにあたるパーツがありません。

ヨークは、肩から背中にかけて配置される別布で、シャツの構造を立体的にし、可動域を広げる役割をもっています。

(画像はヒマワリシャツです)

前見頃から背中にかけて大きな一枚の布を用いて、ダーツでその役割と見た目上の再現を試みたのが、このフラットシャツの最大の特徴となります。

このひそやかなデザインワークが、普通のようで何か秘めたる意思を内包したような、静かで異質な佇まいを生み出しています。

是非一度お手に取って、じっくりとご覧ください。

オンラインストアはこちらです→ ホワイト/ サックス/ ベージュ


メディア掲載のお報せ ~ NIKKEI STYLEにて店主登場しています

NIKKEI STYLEにて、またまたえらそうに喋らせていただきました。

大人のサンダルスタイル ふらっとお出かけにレザー -NIKKEI STYLE

今回はサンダルについて。

『プロのコーデ』コーナーなのに、コーディネイトなんてそんな考えなくていいんじゃないかと前提をひっくり返すような話をしています。

ちなみに、NIKKEIさんに掲載されるときは段取りとしてこちらで校正・校閲ができないため、内容に一切のコントロールができません。
たとえばインタビュー中「おしゃれ」という言葉は使っていないはずですが、記事をよりわかりやすくするため言い回しが変わっていたりします。
それでも一番問題になるであろう骨格の部分はそのまま残していただけました。

ライターさん、編集者さんの懐の深さとご英断に、心より感謝致します。

店主着用のものも含め、紹介した商品はこちら→
ISHMM/ AD:lib
TRIOP/ TERRA ARMY
handwerker ASEEDONCLOUD/ HW basic shirt
MASTER&Co.×Euphonica/ コットンリネンウェザークロスパンツ

前回のNIKKEI登場記事はこちら


あのね うんとね うまくは言えないけど ~ KIMURA/ due stand collar shirt

時代やトレンドといった相対的な価値観に惑わされることなく、あくまで独自のクリエーションを追求するKIMURA。

過去商品でも生地が残っていれば作れてしまうこともあり、混ぜて陳列するとどれが新作でどれが旧作かよほどのファンでもないと判断できないと思われますが、今回ご紹介するシャツは新作です。

もちろん、期待通りKIMURA節は健在。

さっそく見ていきましょう。

まず目を惹くのが独特な構造のスタンドカラー。

文章では伝えづらいのですが、二段のボタンが斜めに配置され、第二段だけ留めて襟先を折り返し、第一ボタンホールを二段目のボタンに留められるようになっています。

もちろん、対になるボタン×ボタンホールの組み合わせも可能です。

襟以外の意匠はごくオーソドックスにまとめられていますが、それでも体の形状に沿った、細身ながら立体的な構造はKIMURAの真骨頂で、袖を通した多くのお客様がその流麗な美しさに驚きの声を上げられます。

今回採用されている生地は新疆綿の高密度タイプライター。
新疆綿は油分を多く含んだ超長綿で、しっとりとした肌触り、上品な光沢、高い強度を持ち合わせています。

ともあれ、KIMURAを理解するにはまずは実物を見て、触って、袖を通していただくのが一番です。
どうぞ店頭にてお試しを。

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みせつけろ横浜を この胸の誇りを ~ LIVRER/ Sport

私事ながら、先週末はわれらが横浜F.マリノスVS清水エスパルスの試合を娘と観に行ってまいりました。

幸いにも、自由席角の最前列近くという個人的に好きな席を確保、

新しいパートナー企業のおかげで劇的にパワーアップしたスタジアムグルメを堪能し(ジャークチキンと焼売をいただきました)、

日が暮れて試合開始が迫れば始まるのは、美しきトリコロールギャラクシー。

清水も演出に乗りつつ、それを上回る迫力で応戦してきます。ムムムッ。

ええと肝心の試合に関しましては、完全にしてやられたと言いますか、マリノスの長所を徹底的に封じ込むカチカチ全員守備ロングカウンター一発作戦にまんまとはまり、ポゼッション率およそ80%を叩き出しながら惜しいシーンもあまり作れず。

まさかの今季J1ゲームのホーム初敗戦を目の当たりにすることとなりました。

今月は苦手な相手ばかり続きますが、まだ優勝も可能な状況、ここは踏ん張っていかないとですね。

さて、実は今回はスタジアムに特別ブースが設けられ、おなじみLIVRERを手掛ける洗濯ブラザーズの皆さんがサンプルを配りながら洗濯について語っていました。

マリノスに洗濯?

関係ないようで実は深い関係がございます。

横浜F.マリノスの選手たちを支える心強きホペイロ(用具係)緒方圭介氏。

その緒方氏がユニフォームや靴のケアで使用している洗剤が、LIVRERのスポーツウェア用洗剤です。

同じ横浜だから使ってもらえるなんて甘い世界ではありません。
たしかな品質あってこそ。
プロの用具係さんが信頼を置くそんな逸品を、このたび当店でも展開することとなりました。

通常ラインですら超高性能の洗剤、そこに生分解性の高い合成界面活性剤を微量加えることで、さらに洗浄力を強化したモデルです。

泥やファンデーションといった不溶性汚れをしっかりと分解するだけでなく、悪臭の原因でもある菌の分解性に優れています。
もちろんスポーツ用品のみならず、ペット用のマットや、フィッシングウェア等に付着した生臭いにおい、加齢臭などにも対応します。

最近は大手メーカーもにおいを消す効果を謳う商品を洗剤のみならずいろいろと出しているものの、海外の柔軟剤の悪影響か、強烈な香料でごまかしているような代物も増えてきたようで、とくに化学物質過敏症(CS)の方は至る所でめまい、吐き気などに苦しまれていると聞きます。

LIVRERの茂木さんの奥様も妊娠中に他所で干していた柔軟剤のにおいで体調を崩され、そうした経緯もあって洗剤全般的にごくやさしい、食品にも使える程度の香料に抑えられていますが、このSportはにおいを消す効果に自信があるあらわれか、洗剤では珍しい無香料です。

猛暑で汗のにおいも気になる時期、まずは一度その性能を確かめてみませんか?

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それから ~ writtenafterwards/ Thick Mandarin Jacket

いやはやこのブランドを仲町台の地で紹介することになるとは、夢にも思いませんでした。

奇才・山縣良和氏の手掛けるwrittenafterwards(リトゥンアフターワーズ)は、「装う事のいとおしさを伝え、流行の成り立ちや本質を伝えること、創造性を持って今を表現していくこと、そして心に届けること」を掲げ、教育、社会、文化、環境的観点を持つコミュニケーションツールとしての衣服の役割を提案する、単なるアパレルの枠に収まらぬレーベルです。

もともとセントマーティンズの同窓生2人で立ち上げたブランドですが、もうひとりは発足数年後に脱退し自らのブランドを始動、それが当店ではすっかりおなじみとなったASEEDONCLOUDデザイナーの玉井さんだったりします。

山縣さんの活動は幅広く、彼が設立したファッション専門学校「ここのがっこう」は洋裁というよりもクリエーションに特化したユニークな学校で、講評会のゲストなどにも内田樹氏や会田誠氏、養老孟司氏などファッションの分野にとらわれない人選が光ります。

すでにお気づきの方もいらっしゃるかも知れませんが、リトゥンの服は、きわめて先鋭的です。

モードという便利な言葉でさえも窮屈なほど、それは「服」なのかと疑念すら生じる作品も少なくありません。

そんなリトゥンからある日想定外のお声がけをいただき、展示会に伺いますと、

魔女たちがいかがわしい儀式のような何かを行っていました。

こわい。

今季のリトゥンは”Who is the witches? Who are the witch”、魔女裁判がテーマです。

魔女を裁く側も、本質的には魔女そのものではないか、場合によっては魔女として裁かれるのではないか、相反する価値観の反転によってすべての人が魔女たりうることを提示しています。

ちょうど先日あいちトリエンナーレ騒動もあり(まだ継続中の事案ですが)、こうした視座の違いについて考えさせられました。

名古屋市長、関係者に謝罪要求(共同通信)

名古屋市長や多くの日本国民にとってはガソリン脅迫はよいことではないけれど共感はできる範囲で、とにかく悪いのは少女像やその他の作品でありそれを税金を使って展示した主催者であるとしたわけですね。

実質的に、政権の主義主張に反する表現に対してのテロ行為、恫喝は公権力が支持しますよと表明されたのだとしか認識できませんが、客観的事実はひとつでありながらも多角的なもの、それもまたどこからものごとを見るかによるひとつの景色に過ぎないのかも知れません。

すべて、後世から振り返ったときに歴史の結果が示してくれることでしょう。

それはさておき、リトゥンならではのこうした魔女のインスタレーションや美しい新作の展示に感銘は受けたものの、さすがに当店で取り扱っているほかの商品との整合性があまりにもとれず、ウムムどうしたものかと考えていたのですが、そのとき山縣さんの着ていたジャケットがふと目に留まりました。

絶妙なバランスのデザイン、饒舌な素材感、気になって仕方ありません。

素敵なジャケットですね、それオーダーできますか、と、初対面なのに思い切り不躾なお願いを駄目もとでしてみると、まさかの快諾。
本来19SSに提案されていた商品だったようですが、生地が残っているので生産可能とのことでした。

ついでに、近くにいた魔女が着ていた服が色違いの同素材だったため、二色作っていただけることとなりまして。

そんな次第で、このマンダリンジャケットが当店に登場することになったのです。


まず目を引くのが深く陰影の刻まれた、表情豊かなコットンリネンの生地。


肉厚で、剛性が高く、一枚仕立てながらしっかりした着心地です。

特徴的なチャイナボタンはやや大ぶりで、愛らしい存在感を放ちます。

長めに設計された袖。

カフスの部分で折り返して着用するのもよいでしょう。

もともと春物としてデザインされてはいるものの、秋にもじゅうぶん活用できる一着に仕上がっています。

黒はもちろん、秋の白って、新鮮ですよね。

レディース中心のブランドなのに男性用のジャケット(身長173cmの店主が袖を折り返すとちょうどよく着られるサイズ感です)、しかも過去の品番というトリッキーな仕入れ方をしていますが、服そのものが佳いのでそれはもう仕方のない話です。

店/ブランド間のテイストやジャンルの境界を越えたその魔術的魅力、是非一度お試しを。

オンラインストアはこちらです→ ブラック/ ホワイト