テクノデリック ~ EEL Products/ Techno Coat

長かった秋もこの週末でようやく終わるようで、横浜は明日から一気に冷え込むらしいですね。

暖冬暖冬と云われてきましたから、どうやら冬の準備がまだお済みでない方も少なくないご様子。

ダウンとか極寒冷地向けのものとまでは言わないまでも、保温性の高い外套はあったほうが安心でしょう。


EEL Productsからこの冬に向けて届いたTechno Coatは、その名の通りテクニカルな一着です。

高密度に織られたポリエステルコットンの生地にフリースをボンディングし、さらに裏地にも高密度生地を当てることで、すぐれた防風性と保温性を実現しています。

さらに前立てはファスナーとスナップボタンの二重構造。

袖口もスナップボタンでタイトめに調節可能で、

生地から構造に至るまで、冷気の侵入をとことんシャットアウトしてくれます。

コート自体はゆったりした(とはいえ近年のEELのなかではややおとなしめ)Aラインで、身幅のみならずアームホールもたっぷりしていますから、中に厚手のニットなどを着こんでも窮屈にはなりません。
かなり厳しい寒さの日にもしっかりと対応してくれることでしょう。

オンラインストアはこちらです


冬枯れの 森の朽葉の 霜の上に 落ちたる月の 影の寒けさ ~ ASEEDONCLOUD/ Forest arctic coat

モグラはわたしの地下室に巣をつくり、ジャガイモを三つに一つの割でかじり、壁塗りの際にのこった毛と鳶色とびいろの紙とでそこに寝ごこちのよさそうな寝床をつくりさえした。
最も野生的な動物だって人間とおなじように居ごこちのよさとあたたかさを愛するものなので、それをうるために十分気をつかうからこそ冬がしのげるのである。

ヘンリー・デイヴィッド・ソーロー『森の生活―ウォールデン』(神吉三郎訳)

いつもより遅い訪れとはいえ、それでも冬の足音がいよいよはっきりと聞こえてきそうなきょうこのごろ、思い出すのは、クマの代わりに、冬のあいだ動物たちのリーダーを務めることになった少女たちのこと。

たとえ動物のことばを話すことができたとしても、しょせんは人間の身です。
凍てつく森のなかで生活を送るとなると、それはそう容易いことではありません。

彼女たちにまず必要なのは安全な寝床と、暖かい外套でしょう。
そしてその外套は、保温性だけでなく森の生活に順応する運動性も求められます。


Forest arctic coatは、トレンチコートを原型にしながらも、長すぎては作業の邪魔になりかねない袖や裾を短くすることで、それを実現した一着です。

英国産の羊毛(ウエルシュマウンテン種、ヒルラドナー種)とニュージーランド産の羊毛をブレンドし、ションヘル機でゆっくりと柔らかく織り上げた生地を使用しています。

このウェルシュマウンテン種の毛は敢えてケンピを採用していますが、ケンピというのは繊維が枯死した、いわば不良羊毛。
染色性に劣り、毛の一本一本が硬く太く、手触りがごわごわしている一方で、耐久性に優れ保温性が高いという特性も備えており、英国のホームスパンツイードなど野趣味溢れる生地に使われたりします。

このケンピの茶色と無染色ウールの暖かい乳白色によって、目が細かく格子柄をつくりだしました。
目にも温かみを感じさせる、とても魅力的な生地です。

丈夫で暖かいというのはまさに冬の森の生活にぴったりで、コートの前立てをしっかりと閉めることでさらなる保温効果が期待できます。

さてコートを見ていきますと、先述の通り、袖は短めに設定されています。

Kigansai knit blouseを重ねてみますと、

およそ8.5分丈といったところでしょうか。

身頃にはものを入れるための大きなパッチポケットと、手を暖めるハンドウォーマーポケットが左右にそれぞれついており、

ハンドウォーマーでなくこのパッチポケットに手を入れたときにも袖口が干渉せず綺麗に収まるよう設計されています。

もちろん動物たちと暮らす冬の森だけでなく、市街地での生活にも馴染んでくれるデザインです。
何といっても着用時がもっとも美しいコートですので、まずは店頭にてお試しを。

オンラインストアはこちらです


ティーンネイジ・ドリーマー ~ mando/ グレンチェックサイドシームレスパンツ

今季からお取り扱いをはじめたばかりのmando、しかしさすがのブランドの実力、そしてお客様方の審美眼の高さもあって、想定以上にご好評いただいています。
もうすっかり店内に馴染んでしまいました。

このパンツも残り1本となりましたので、ご紹介できるうちにしておかねばなりませんね。


ともすれば学生服や、或いは往時の先生が穿いていたとかと、どうも懐かしき学校での日々にまつわるイメージを持たれがちなチェックパンツも、mandoの手にかかればモダンに生まれ変わります。

適度な厚み、密度をもったウールの生地に、

2プリーツのフロントデザイン、

紳士重衣料の文法をふまえたつくりと、

クラシカルな要素を盛り込みながらも、そこに偏らない、この絶妙なバランスが同ブランドならでは。

脇の縫い目を排した筒状の構造は、脚をなめらかに囲むような円みを生んでいます。
敢えてセンタークリースもつけておらず、とても軽快な印象です。

なお、以前ご紹介したポリエステルのパンツと異なり、こちらは裾がシングルで仕上げられていますので、丈の合う方でしたらそのまますぐにお召しいただけます。

極端なところのないやや太めのシルエットは、さまざまな嗜好の服に合わせられそうです。

気温が低くなり、こうした温かみのあるウールのパンツが活躍する季節となりました。
冬本番を迎えるにあたり、是非ご検討ください。

オンラインストアはこちらです


こぎつねコンコン ふゆのやま ~ comm. arch. / Hand Framed Blue Fox CD

ときおり暖かい日もあるものの、朝晩はじめ全体的な空気は漸う冬めいて、それに伴い暖かいニットをお探しの方がだいぶ増えてきました。

ひとことでニットといっても、素材はウール、カシミア、アルパカ、モヘア、ヤクなどいろいろあり、そのどれもがそれぞれの魅力を備えていますよね。

今回ご紹介するカーディガンで使用されているのは、豪州産メリノウール、そしてブルーフォックス(青狐)です。



ブルーフォックスはホッキョクギツネの一種で、白に灰色の毛が混ざった毛をもっています。
青くはありません。

青くないのにブルーとは面妖な、と思われるでしょうが、ネコ目の動物は赤色と黒色を発現させる遺伝子を持っているらしく、そのうちの黒色を薄くする遺伝子が働いて、かつ体の色が薄くなった場合、その毛色を「ブルー」と呼ぶそうです。

ホッキョクギツネは氷点下50度でも平然としていられるほど寒さにめっぽう強い動物ですから、その毛の暖かさは言わずもがな。

毛足が短くてとても柔らかく、また綿毛が密生しているため、直接肌に触れてもチクチクせず、マフラーや襟などに使うのに適しています。
狐の毛皮を使った襟巻、最近はあまり見なくなりましたが、ある年齢以上の方にはお馴染みでしょう。

ちなみに、このカーディガンをつくるにあたり、狐は一匹たりとも殺傷していませんし、もちろん痛めつけてもいません。

野生でなく養殖されたブルーフォックスから、生きた状態で専用コームで梳き、毛を採取しています。

こうして集めたをナイロンの補強糸と一緒にウールに練りこむような形で、カシミア用の紡績機を用いて撚糸しています。

この上質な糸をたっぷり使って、手横編み機にて密度を詰めながら編み立てられたのが、このカーディガンというわけです。

しっとりとした肌触り、豊かな肉感、品の佳い風合い、軽さ、そして抜群の保温性。

冬のカーディガンのひとつの理想形と呼べるほどの、完成度の高い仕上がりとなりました。

なお、こちらは女性用のみの展開です。

オンラインストアはこちらです→ アルパインシープ(ミックスベージュ)/ ミスト(ミックスオフホワイト)


ゆっくりと 12月のあかりが灯りはじめ ~ EEL Products/ メリーベスト

きょうも季節外れのぽかぽか具合ですが、この冬は日ごと時間帯ごとの気温の乱高下が激しく、着るものに悩む方が多いようです。

そのためか、例年以上にベストの需要が高まっています。

おなかと背中(とくに腰)を暖めるだけで芯から冷えにくくなり、袖がないため暑くなりすぎないだけでなく、重ね着も容易。

EEL Productsの新作メリーベストもまたそうした特性を備え、きっと多くの方の期待に応えてくれるであろう逸品です。




表地には塩縮加工を施したウールコットンの生地を、裏地には毛足の長いポリエステルナイロンのボアを使用しています。

保温性の高さはご覧の通りで、くわえて柔らかくポコポコした風合いの表地と動物的な裏地のコントラストが、その名”Merry(陽気な、愉快な、おもしろい)”は言い過ぎにしても、ほのかに甘いユーモアを感じさせます。

両脇には身幅を調節できるアジャスタとしてボタンが2列設けられ、また袖ぐりも深めになっているため、薄いものからボリューミーな上着に至るまで、さまざまな服の上に重ねることができます。
実に心憎いアイディアですね。

分厚い外套で完全防備するだけが冬の装いではありません。
状況に応じていろいろな服をじょうずに重ねることで、軽快に暖かさを愉しむことができますよ。

オンラインストアはこちらです→ ブラウン/ ネイビー/ チャコール


GO WEST! ~ あなたの街のユーフォニカ(大阪篇) 

信じられないことに、来年当店は10年目に突入します(1/25で9周年です)。

それもこれも皆様のお力添えあってこそです。
ほんとうに有難うございます。
その先の10年後もまたこうして皆様方と驚きを共有できれば幸いです。

ただ、さすがに今後も変わらず横浜の片隅の小さな町でただ無為にじっとしているだけでは、いつまでも認知度は低いままですし、店主の見聞も拡がりません。

そろそろ新しいことを始めてみたいなア、だんだんとそんな欲が出てきます。

しかしながら、そうはいっても万年零細商店ですからね。
どこかに支店を出して人に任せるとか、そんな景気のいい話になるはずがないでしょう。

であるならば、いっそ店主自身が行商人の如く外に出ればいい、ほんの数日のあいだなら仲町台の店が閉まっていてもきっとだれも気付くまい…

そんなことをボヤボヤと考えていたところ、営業代行のプロとして年柄年中全国各地を廻っている川内主税さん(以前Youtubeに出演させていただきましたので、ご存知の方もいらっしゃいますよね)からご紹介を受けまして、早くもその計画が実現することになりました。

というわけで、1/20~21の2日間、大阪にて期間限定出店致します!

こういうイベントで厄介な問題のひとつが場所探しですが、このたび心斎橋のオーダースーツ店LEGAREさんのご厚意を受けまして、何とプライベートサロンルームを貸していただけることに。

ふだんはこうしてスーツやジャケット、生地などの見本が並んでいるところが、すべて当店の品に入れ替わります。

場所はこちらです。
〒542-0081
大阪府大阪市中央区南船場3-8-14 ACN心斎橋Garden 2F

心斎橋筋商店街のビルの2階でして、外からは様子が見えないものの、この会期中は予約制ではありませんので、どうぞお気軽にお越しください(なお、写真ではシャッターが降りていますが、1階にはLEGAREさんと経営母体を同じくする現代アートギャラリーi GALLERYが入っています)。

出店時間は下記の通りとなります。
1/20(土) 12:00-19:00
1/21(日) 12:00-18:00

会期中は同じフロアでLEGAREさんのドレスシャツ受注会も開催されるとのことですから、そちらも是非ご利用ください。

なお、お支払いにつきましては、
クレジットカード(一括払い)
または
キャッシュレス決済(楽天ペイ、Paypay、メルペイ、d払い、au pay)
のみの対応となりますこと、予めご了承願います。

言うまでもなく、当店としても、こうして大阪まで行き他店様をお借りするからには、漠然としたラインナップを持ち込むわけにはいきません。

県外出店だからといって色目を使いローカライズを狙うのではなく、あくまで、横浜の店が大阪に出る意味を忘れずに。

ですので、大阪で現在取扱店のないブランドを中心に、「そこでしか見ることができない、そこでしか買えない」をテーマとして品物を厳選していきます。

大阪はじめ関西近郊にお住いで、当店に興味は無きにしもあらず、でも遠すぎてさすがに行けないな、という方もいらっしゃると思います。
この機会に遊びにいらしてくだされば、恐悦至極です。

なお、このイベントに際し、事前準備も必要なため、1/19~21の3日は仲町台の店舗と通販の出荷業務はお休みとさせていただきます(通販のご注文は承ります)

来年の事を言えば鬼が笑うとは云うものの、いまからワクワクが止まりません。
大阪の地で皆様にお会いできること、とても楽しみにしています。

(2024/1/9補記 追加情報はこちらをご覧ください)


雲まであがれ 天まであがれ ~ KINGSLEY WALTERS STUDIO/ ADDINGTON & BARNET

いわゆる秋冬シーズンが終盤を迎える12月ですが、ここにきて、当店初登場となる素晴らしきニューカマーをご紹介します。

ロンドンを拠点とするKINGSLEY WALTERS STUDIOは、その名の通りデザイナーであるKingsley Waltersが手掛けるレザーブランドです。

彼はもとはジャマイカの人で、首都キングストンで生まれ育ち、11歳の時ときに家族とともにイングランドに移住しました。
爾来、ロンドンをホームタウンとして活動しています。

学校を卒業後、数年シェフとして働き、その後サヴィルロウでテーラリングを学んでいましたが、当時あくまで趣味として自分自身や友人のために小物を作っていたところ、やがて口コミ経由でオーダーメイドの注文を受けるようになり、而して2015年、彼は自身のレザーブランドを発足させることになります。

製品に捺された特徴的なKINGSLEY WALTERS STUDIOのロゴは、凧を模したものです。

彼がジャマイカで過ごした幼き日々、学校が休みになるとマンゴー畑に出かけ、他の子供たちとサッカーをしたり、手作りの凧を使って凧揚げ合戦をしたりして過ごしたそうです。
凧合戦で勝ったチームは、お店で飲み物やパンを買うことができたのだとか。

自身のルーツを考えると、凧を一から手作りしたのがすべての始まりだったと、彼はそう振り返っています。

そうしてブランドのロゴを凧に定め、何年も経ったある日、彼はまだやり方を覚えているかどうか確かめることにしました。
今度はマンゴー畑の上ではなく、ロンドンのパーラメント・ヒルの高いところで。
自身の年齢や場所は変わっても気持ちは変わることなく、凧が空に舞い上がると、昔のように笑っている自分に気がついたそうです。

この物語こそがKINGSLEY WALTERS STUDIOそのものと言えます。
自身のルーツであるジャマイカでの日々、ロンドンでの生活を融合させ、英国の伝統的なハンドクラフト技術を駆使した、手作業によるものづくり。
そのすべての製品は、使い込まれ、時間の経過を経ることで成長し、生涯の友となります。

キングズリーは自身の工房で、革小物からバッグ作りまで、定期的にワークショップを開いています。
「自分のブランドをある程度のレベルまで高めてから、ジャマイカに戻って子供たちとワークショップをやりたいんだ」と彼は云います。
「コミュニティのために何かしたい。誰かが何かをやっているのを見なければ、そこにチャンスがあることに気づかない。子供たちに面白いと思ってもらいたいし、自分にもできることだと思ってもらいたい」。

実にナイスガイですね。

それでは、そんなキングズリー自身の手でつくりだされるレザーバッグをご覧いただくことにしましょう。

まずはA4サイズがすっぽり収まるショルダーバッグ、ADDINGTON。


タンニン鞣しが施された肉厚の一枚革を使った、頑強且つ軽快な鞄です。
ウィスキーブラウンと称されるこの茶色もまたいい雰囲気。

このバッグに限らず、すべての製品は手作業で裁断され、蜜蝋でコーティングした独自の糸で縫製されています。

ショルダーストラップはバックルで長さを調節可能です。

お次は、もう少し小振りのショルダーバッグBARNET。


ちょっと珍しいコの字型の真鍮の留め具が目を惹きます。

銅のリベットで各パーツがしっかりと固定され、耐久性は抜群です。

なお、キングズリーはイングランドのウェスト・ミッドランズのとある鋳物工場で金具のほとんどを調達しています。
ここは1832年に馬具用金具の鋳造所として設立され、現在も変わらず高品質の金具を製造している、彼が全幅の信頼を置く工場です。

バッグに話を戻しますと、こちらも調整可能なショルダーストラップで、実はこの部分のみプチ別注、レギュラーモデルより50cm近く長めに設定されています。

もともとはメッセンジャーバッグ的な具合でかなり短めにたすき掛けするイメージだったようですが、体型やアウターを選ばずに、多くの人多くのシチュエーションに適応すべく、この長さへと変更しています。
こんな無茶ぶりが可能なのも、生産規模が小さい(キングズリー本人がOKならそれでできてしまう)からです。

なお、ADDINGTONもBARNETも、仕切りやポケットのないシンプルな内部となっています。

シンプルで故障の少ない構造、丈夫で使い込むほどに風合いが育っていく革や金具、そして素朴ながらも美しいデザイン。

着目すべきKINGSLEY WALTERS STUDIO、まずはこの2型から、以後どうぞお見知りおきを。

オンラインストアはこちらです→
ADDINGTON ウィスキーブラウン
BARNET ブラック


Roaming sheep in search of the place you’ve never known ~ ASEEDONCLOUD/ Shepherd coat

毎年冬になると旅に出てしまうクマの代わりに動物たちのリーダーを務めなくてはならない少女たちも、その間ずっと森で過ごしているわけではないようです。

蓋し、秋冬は羊飼いにとって決して暇な時期ではありません。

寒くなれば放牧していた羊たちを呼び戻しに行かねばなりませんし、ときに街に出て、必要なものを買い出しに行かねばならないこともあるでしょう。

そんなさまざまなシチュエーションに対応してくれる外套は、まさしく必需品ですね。



Shepherd coat、その名の通り羊飼いのためのコートです。
ちなみに、Shepherdの語は”sheep herder(羊の牧畜民)”を略して生まれたのだとか。

素材は2種類、まずは肉厚のコットン”Fiedstone moleskin”。

今季のASEEDONCLOUDのコレクションの重要なテーマである「魔除け」、そうした行為にまつわる石は、光沢のある黒いものが多いそうで、そうした石を想起させる、深い艶をもった無起毛モールスキンです。

ひじょうに高密度に織られており、頑強で雨風をしのいでくれます。

とはいえ本格的なワークウェアに用いられるそれとは異なり、原料には高級綿であるギザコットンを用いているため、しっかりした剛性とともになめらかな肌触り、優美な質感も備えています。

裏地には生成のコットンツイルを採用(袖裏はすべりのよいポリエステル)し、さらに防風性を高めながら印象を軽く仕上げました。

もう片方はウールポリエステルのブランケット素材”Light blanket”。

先述の頑強そのものなコットンモールスキンとは対照的に、長年使い込んだ毛布のような柔らかい生地です。

とても甘く織られているため、コートの自重で生地が伸び、結果独特のゆらぎが生まれています。

こちらの裏地は、Kigansai shirtにも使用されている、羊飼いの一年が描かれた細畝コーデユロイ。

実に贅沢ですね。

コート自体の形状としては、全体にたっぷりとした分量の生地を使いながらも、ピークトラペルや腰の絞りによって適度にフォーマルな印象を与えるようバランスを整えています。

これなら、羊飼いの子たちが街で過ごすときも、仕事着とは思われないでしょう。

一方で仕事着としての側面もなおざりにされてはおらず、背面のセンターベントは通常より深く切り込まれており、馬に乗るときなどにも対応しています。

見るほどに細やかなデザインワークで、さすがASEEDONCLOUDと唸らされます。

この冬ロングコートをお探しの方には必ずお薦めしたい傑作です。

オンラインストアはこちらです→
ブラック(Fiedstone moleskin)/ ブルーグリーン(Light blanket)


俺嘘ない本当 自分の手でするControl ~ Ithe/ No.70-IO

Itheにとって、この2023年というのはひとつの節目だったのではないでしょうか。

発足時から「見立て」をデザインの礎に置き、主に価値のない古着の構造だけを抜き出し再構築してきた同ブランドも、イザコートを皮切りに、独自企画を主軸に据えるようになりました。

そもそもItheのデザイナーである吉﨑氏は、もとはかなりデザイン性の強いクリエーションを得意としてきた人です。
ゼロベースでのオリジナルの企画ができないはずがなく、あくまでItheのコンセプトとして敢えてしなかっただけですから、60点以上ものサンプリング~再構築を経て、いよいよブランドも次のステージに進むときと考えたのでしょう。

Itheらしさは変えず、あくまでItheとしての新しいデザインを。

そうして生まれたのがこのNo.70-IOです。


これからの時期に重宝する、暖かなフリースのプルオーバー。

厚みを抑えた、毛足の短いイタリア製のフリースは、ビスコースを混ぜることで一般的なそれとはまるで異なる柔らかさ、なめらかな肌触りを生み出しています。

外からは判らないのですがハンドウォーマーポケットに沿って、身頃がメッシュに切り替えられています。
そのため、ポケットの部分が不必要に盛り上がることなく、すっきりしたシルエットが保たれました。

単体で見るとアウトドアっぽい印象を抱くかも知れませんが、着てみるとフリースというよりスタンドカラーのシャツに近い雰囲気になるのだから不思議なものです。

このプルオーバーに限った話ではなくフリースの特性として風は通しますので、冬は防風性の高いコートの中に着るミッドレイヤー的な使い方が向いています。
風さえ防いでしまえば暖かいので、真冬でも重宝しますし、その薄さは春先でも違和感なく適応してくれるはずです。

イザT、イザシャツ、イザコートと、どれもヒットしてはいますが、それでも特別枠であった独自企画。
いよいよそれが特別でなく、「これぞItheの現在地点」と言える日が来ました。

オンラインストアはこちらです


愛のしるし ~ Jens/ DOMIT CARDIGAN

冬の上着の代表格といえばやはりコートですが、基本的な移動手段が自動車だったり、そもそもが暑がりの方にとっては、ややオーバースペックだったりするようです。

さっと脱着できて着丈が長くなく、それでいて防寒性のしっかりしたものを求められるケースは、店頭でも決して少なくありません。

そんな向きにお薦めしたいのが、こちらJensのDOMIT CARDIGAN。



その名こそカーディガンではあっても、ガウンのようなジャケットのような…カテゴリーをなかなか定めづらい服です。

ラムウールの編み生地は柔らかく、

総裏仕様で、かつ袖にまでふっくらとした中綿が仕込まれているため、軽量かつとても暖かい一着となっています。

ボタンが省かれたJensらしいミニマルな前立てですが、付属している共生地のベルトを締めることでしっかりと閉じることができます。

また、このベルトをネクタイのようにあしらうことも可能です。

そのときは、ベルトのずれを防ぐため、うなじ部分に設けられたループに通すことてベルトを固定します。

禁欲的に見えて遊び心も忘れない、このブランドならではの愛嬌のある仕様ですね。

マスタード(という呼び名のオレンジがかったライトブラウン)、ブラック、どちらの色もそれぞれ違った甲乙つけ難い佳さがあります。

女性がたっぷり着るのも可愛いものですが、一般的には男性にちょうどいいくらいのサイズ感です。
まずは店頭にてお試しを。

オンラインストアはこちらです→ マスタード/ ブラック